葉挿し・挿し木・株分けから始める　ペペロミアの水耕栽培

ペペロミアは、直射日光が苦手で耐陰性が高いため水耕栽培（水栽培）でも育てやすい植物です。ここではペペロミアの茎や葉、株分けしたペペロミアを使った水耕栽培やハイドロカルチャ―への植え替え、育て方のを初心者の方にもわかりやすく説明します。

ペペロミアの水耕栽培の始め方・時期

水耕栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。植え替え時期と同じ、5月中旬～8月までが適期です。最近の日本の夏は気温がかなり高くなります。できれば生育期初期の5月中旬から7月頃に行うのがおすすめ。

ペペロミアの水耕栽培は、さし木、株分け、葉が多肉質のものは葉挿しからもから始めることができます。おすすめは、剪定した茎をつかったさし木です。葉挿しは、水挿しでは時間がかかるうえ、管理が少し難しくなります。また土で育った株を株分けすると、根が水耕栽培にうまく順応できないこともあります。

ペペロミアの水挿し（さし木）の方法

水耕栽培を始めるのにおすすめの、水挿しでのさし木の方法についてまず説明します。

挿し穂の準備

さし木に使う茎を、挿し穂と呼びます。まずは挿し穂の準備をしましょう。ペペロミアは成長すると、姿が乱れてくるので適宜剪定しますが、その剪定した茎をつかって挿し穂にすることもできます。

1. 茎の先端から5㎝ほど、もしくは節が3節～4節程度のところカットします。
2. 先端の葉を2～3枚残し、下葉は取り除きます。上の葉が大きいときには、葉を半にカットします。
3. 切り口は、スパッとカッターなどで斜めに切ります。

準備するもの

• 剪定した茎
• 透明な器（空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。）
• メネデール（発根促進剤なくても可・発根の成功率が上がります）

発根促進剤について

ペペロミアは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。

手順

1. 容器に水（水道水）を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
2. ペペロミアの挿し穂を入れます。節が水につかるまで入れます。
3. 発芽するまで2～3日に1回に水は変えましょう。時々霧吹きで葉水を与え乾燥しないようにします。
4. 一カ月程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。3～４週間程度で新しい根が生えてきます。
5. 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培（水耕栽培）で育てましょう。

ペペロミアの株分けから始める水耕栽培

ペペロミアは成長すると、わき芽がでて増えていきます。このわき芽を植え替え時に株分けして水栽培してみましょう。

1. 植え替える鉢植えのペペロミアは、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
2. 鉢からペペロミアを取り出し、根から土をほぐして落とします。
3. 芽が２～3個付いている状態の株を、株分けして水耕栽培用に使います。
4. 水栽培に使う株は、根を水でよく洗い土を落とします。根が生えていない場合には、上述のさし木の要領で発根させます。

ペペロミアの葉挿しから始める水耕栽培

多肉質な葉をもつ種類のペペロミアは、葉っぱからでも増やすことができます。斑入りのものは、斑がなくなってしまうので、さし木で増やしましょう。

葉挿しは、水挿しで発根させてある程度の大きさまで育てるのは少し難しいので、ここではバーミキュライトを使った方法を紹介します。バーミキュライトは、水耕栽培でもよくつかわれる素材で苦土蛭石を1000℃以上の高温で焼成した鉱物です。土ではないので、一般ごみなどで処理できる自治体も多く、100均などでも手軽に手に入ります。

準備するもの

• バーミキュライト
• ペペロミアの葉（葉柄を3㎝程度残してカットしたもの）
• ルートン（植物成長調整剤なくても可・発根の成功率が上がります）
• 鉢

植物成長調整剤

発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤や植物成長調整剤も有効です。土やバーミキュライトにはルートンが便利です。粉末状で水で練って切り口に塗ったり、切り口を水に浸けて粉末をまぶして使います。ルートンは食用にする植物には使えません。農薬ですので使い方には、ラベルをよく読んで使用方法を間違わないように気をつけましょう

葉挿しの手順

1. ペペロミアの葉は元気なものを選び、葉柄（ようへい）を3㎝ほど残してカットします
2. 切り口は日陰で、半日から3日ほど乾かします。
3. 切り口に水で練ったルートンを塗ります。
4. 鉢に、バーミキュライトをいれさし床にします。
5. ペペロミアの葉柄の部分を、３で作ったさし床に軽く差し込みます。
6. 葉水で水を与えます。
7. 明るい日陰で、時々葉水で水を与えて乾燥させないように管理します。
8. 新芽が2～3枚ほど出てきたら、植え替えの時期です。水耕栽培に移行するか土や、ハイドロカルチャーで育てましょう。1か月半～2か月ほどかかります。

ペペロミアの水栽培への植え替えの手順

準備するもの

• 水挿しで発根したペペロミアの茎　or 株分けしたペペロミアの脇目
• 容器（透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい）
• 根腐れ防止剤（ミリオンA・ゼオライトなど）

手順

• 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
• ペペロミアを入れます。
• 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
• 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤と使わない場合は2～3日に一度は替えます。

ハイドロカルチャーへの植え替え

土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土（培土）として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。

水栽培で育ててから、ある程度の大きさになったらハイドロカルチャーでの植え付けして栽培するのもおすすめです。土に植え替えたい場合は、水栽培で長く育てると土から栄養を取るのが難しくなります。発根したらなるべく早く土に植え替えるとよいでしょう。

準備するもの

• 発根したペペロミアの苗
• ハイドロボールなどの人工石
• ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
• 底に穴がない鉢（透明な容器であれば水位がわかりやすくなります）
• 土入れ（小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可）
• ハサミ
• 割り箸等の棒状のもの
• この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ

手順

1. 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
2. ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
3. ペペロミアの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
4. 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
5. 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位（OPT)まで入れましょう。

ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。

ペペロミア水耕栽培の育て方

ペペロミアの特徴　

植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。

ペペロミアは、コショウ科サダソウ属の総称です。原種が1000種以上あるといわれ、生長する姿は横に広がる匍匐タイプ、上に真っすぐ垂直に伸びる直立木立タイプ、中心から放射状に広がるロゼットタイプなどがあります。また葉も多肉質なものも多く、多肉植物としても人気がある品種もあります。

品種により多少特徴がことなりますが、基本的に熱帯に自生しているので暑さには強く、寒さにはそれほど強くありません。冬は8℃以下にならないように、室内で管理すれば冬越しも可能です。

直射日光に当てると葉焼けが起きやすいので、明るい日陰で管理しましょう。栽培も難しくなく生長が緩やかな品種を選べば、室内でもコンパクトに育てることができます。

学名	Peperomia
属名	コショウ科サダソウ属
原産地	熱帯・亜熱帯地域
樹高	品種による　5～20cm
耐寒性等	耐寒性　やや弱い　耐暑性　強い
花言葉	「艶のある」「かわいらしさ」「片思い」

ペペロミアの種類

ペペロミアには多くの品種があります。代表的なものをいくつか紹介します。

品種名	特徴
ペペロミア・オブツシフォリア	園芸種の代表品種。茎は直立から大きくなるとほふくして 生長します。葉は多肉質で濃緑色をしています。 黄色い斑が入るバリエガタや、白と黄緑色の斑が入る グリーン・ゴールドなどがあります。
ペペロミア・アルギレイア	ロゼット状に成長します。丸みのある葉に、銀色の縦縞が特徴で、 その見た目からスイカペペと呼ばれて流通しています。
ペペロミア・カペラータ	ロゼット状に成長する小型種、葉が縮んだようなシワが入るのが 特徴。チヂミと呼ばれることもあります。
ペペロミア・フォレット	鮮やかな緑色の葉に3本線が入った葉が特徴。丈夫で育てやすく、 生長がゆるやかなので、室内でも育てやすい品種です。
ペペロミア・コルメラ	小型の多肉植物として人気の品種。粒状の葉が連なって直立型 に生長します。

置き場所、日当たり

ペペロミアは多くの種類は、明るい日陰を好みます。多肉質の葉をもつ種類は、なるべく日の当たる場所で育てましょう。ただし水耕栽培では、直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。

ペペロミアは熱帯が原産地ですので暑さには強いですが、耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓際に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。置き場は温度が8℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。

水の量と交換時期

植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。

理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の２が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。

ハイドロカルチャーの水やり

ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから２日～３日ほど待ってから与えましょう。

水は鉢の5分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin（水切れ）まで下がってから2～３日ほど待ってから水をopt（適正水位）まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1～2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。

もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。

肥料

ペペロミアは、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水栽培は土から栄養が取れないため肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水耕栽培の肥料は、液体肥料（液肥）や、粉末を水に溶かして使います。春から秋まで月に2回ほど肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。

水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。

まとめ

ペペロミアは種類が豊富で、小さなものなら100均などでも見かけます。室内の明るい場所で乾燥気味にそだてると上手く育ちます。直射日光に当てずに育てるので、マンションなどの室内でも十分育てることができます。

水栽培は、土や病気の心配も少なく手入れも簡単です。初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。家の中にグリーンがあると癒されます。ぜひお気に入りの品種を見つけて、ペペロミアの水耕栽培にチャレンジしてみてください。

ハイドロカルチャー用の苗も売られています。水位計やハイドロボールなどがセットになっているものもあるので、失敗しにくいので初心者の人にもおすすめです。