コスカシバは、幼虫が枝幹の樹皮下を食害してももの樹皮を荒らしたり、樹勢の衰退、最終的には枯死させることもあります。ここではもものコスカシバの防除について説明します。
コスカシバの生態・防除時期
コスカシバは鱗翅目(チョウ目)スカシバガ科に属する蛾の仲間で、幼虫がももや桜などのバラ科の樹皮下を食害しを食害します。
樹皮上の肌の荒れたところに卵を産みつけ、樹皮下で幼虫越冬します。ふ化した幼虫の食害が3月頃から始まり、成虫の羽化は9月をピークに5月から10月頃と幅があります。
コスカシバの薬剤による防除の時期は、越冬幼虫が活動を始める3月中下旬(発芽前)と,成虫の羽化最盛期後の10月ごろに行うのが効果的です。3月の農薬散布は若齢幼虫には効果がありますが、大きくなった幼虫には効果が薄いため、被害を見つけて捕殺します。
発生が多い場合には、成虫の発生が始まる前に交信攪乱用のフェロモン剤をつかったり、梅雨時期の生物農薬も有効です。
コスカシバの防除方法
コスカシバの防除は化学農薬による化学的防除の他に、天敵製剤などをつかった生物的防除、捕殺などによる物理的防除などを組み合わせる、IPM(総合的病害虫・雑草管理)防除が効果的です。
化学的防除
化学農薬による防除は、コスカシバの防除の基本です。コスカシバにおすすめの農薬について紹介します。
散布時期 | 農薬名 | 希釈倍率 | 使用液量 | 使用期日 | 使用回数 | 使用方法 | RACコード | 特徴 |
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開花前まで | フェニックスフロアブル | 200〜500倍 | 5〜200㍑/10a | 開花期まで | 1回 | 樹幹部及び主枝に散布 | 28 | 害虫の筋肉収縮作用を有するジアミド系殺虫剤 加害ステージの幼虫に高い活性を示します |
成虫発生盛期後 | トラサイドA乳剤 | 200〜300倍 | 100〜450㍑/10a | 収穫後〜発芽前(幼虫食入期) | 1回 | 樹幹及び主枝に十分散布する。 | 1B | 特殊浸達性活性剤配合により、樹皮内の隠れた幼虫に効果を発揮。 |
この他、ももに適用のある農薬はここからほぼすべての農薬が検索できます。
物理的防除

コスカシバの幼虫は、頭部が黄褐色で胴部は淡黄白色です。幼虫がまだ成長していない3月頃に捕殺をしましょう。
幼虫が食害している場所は、虫フンや樹脂(ヤニ)が排出されるのでこれを目安に、樹皮をナイフなどで切り取って捕殺します。
まだ幼虫が浅い場所にいる場合には、虫フンや樹脂の出ているところを、樹皮の上から木槌などで軽く叩いて、圧殺する方法もあります。
生物的防除
化学農薬の他に、生物農薬やフェロモン剤も有効です。
その他対策のポイント
古木や樹勢が弱ってくると被害にあいやすくなるため、特に注意しましょう。農薬散布をした後には10日~20日後に、効果がでてるか確認しましょう。
各地域の防除暦や予察情報などに注意し、適期に防除対策をすることが大切です。多発している場合には、地域で対策に取り組む必要があります。
農業アプリを活用しましょう
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