パセリはスープやサラダ、つけ合わせなどに少量づつ使うので、収穫しながら育てられる水耕栽培におすすめ。ここではペットボトルを使った、種・苗から始めるパセリの水耕栽培の手順から、失敗しない育て方のポイントなどを、わかりやすく説明します。
苗から始めるパセリの水耕栽培の手順
パセリは種まきからも始められますが、育苗の期間が長いので家庭では、苗から始めるのがおすすめです。ここでは市販の苗をプランターに植え付けする手順を紹介します。
準備するもの
- パセリの苗
- スポンジ
- 水耕栽培用の肥料
- ペットボトル
- ハサミ、カッターなど
事前準備
まずは、ペットボトルで水耕栽培の容器をつくりましょう。1株であれば、500mlのものでOKです。
- ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。
- 切り取った上部の切り口の部分を、スポンジにのせマジックなどで周囲をペンでなぞり、それに合わせてスポンジを切ります
- 切り取ったスポンジは、中央に切り目をいれておきます。
手順
- 手順1苗の準備
ポット苗をポットから出します。土をほぐしながら落とします。
散水ノズルを使って、根の周りについている土をきれいに落とします。 - 手順2容器にセット
準備したスポンジの切り目の部分に、根の部分をはさみます。株元はスポンジの上から出るように挟みましょう。
ペットボトルの上部にスポンジをセットし、飲み口の部分から根をだすようにします。ペットボトルの下部の部分に、水をいれて根が2/3つかるようにセットします。
- 手順3新根の発芽を待つ
しばらくは、水を毎日変えながら水耕栽培用の根がでるのを待ちましょう。肥料は与えず明るい日陰で管理しましょう。
- 手順4培養液で育てる
白い根がでてきたら、培養液(肥料を入れた水)で育てます。水に水耕栽培用の肥料をいれ、明るい場所で育てます。培養液が減ってきたら継ぎ足し水が切れないように注意しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。大きくなると倒れやすいので、マグカップなどにいれるのもおすすめです。
- 手順5収穫
茎葉(本葉)が15枚以上になれば収穫できます。短いものは残し、長く伸びた外葉から収穫しましょう。少しづつ小まめに収穫しましょう。
花が咲くと、葉茎が固くなるので花芽は早めに摘み取りましょう。
種から始める水耕栽培の手順
家庭では苗から育てるのがおすすめですが、播種(種まき)からも育てることができます。パセリは、播種から発芽まで10日~20日、育苗期間は約60日程度かかります。発芽率が悪いので、1晩水に浸けてからタネをまくとよいでしょう。
種まきの時期
パセリの発芽温度は15℃~25℃と幅広く、時間がかかりますが8℃ぐらいでも発芽します。露地栽培では、3月~5月の春まきと9月~10月の秋まきが種まきの適期です。室内であれば20℃ぐらいを維持できれば発芽させることができます。
準備するもの
- パセリの種
- スポンジ(キッチンスポンジでOK やわらかいものを選びましょう。メラニンスポンジは不可)
- ペットボトル(350mlか500ml)
- ハサミ・水・竹串
育苗の手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。イタリアンパセリの種は好光性種子なので、あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。発芽までは10日~20日程度かかります。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
本葉が2~3枚出てきたら、成長していない苗があれば間引きしておきます。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。背丈が高くなると倒れやすいため、陶器のコップなどもおすすめです。
パセリの水耕栽培の基本情報
水耕栽培とは
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
パセリの基礎知識
パセリは、セリ科の二年草(種をまいた翌年に花を咲かせる)のため、長く収穫が楽しめます。肉料理のつけ合わせなどに使われえる、葉が縮れてカールしているカーリーパセリと、パクチーに似た、平たい葉のイタリアンパセリがあります。
栽培は地中海沿岸が原産で冷涼な気候を好むため、春か秋に苗を植えつけて育てるのが一般的です。タネからも育てられますが、パセリは発芽率が低く、初期成長が遅く、苗になるまでに2か月以上。収穫には100日以上かかります。家庭では一株あれば十分ですので、園芸店やホームセンターなどで苗を買ってきて始めるのがよいでしょう。苗からなら収穫まで30日程度、病害虫に強く丈夫で育てやすいハーブです。
作物名 | パセリ |
---|---|
属名 | セリ科オランダゼリ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
発芽温度 | 15℃~25℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
栽培難易度 | 苗からなら簡単 |
パセリの品種
カーリーパセリは日本やアメリカで主流ですが、ヨーロッパではイタリアンパセリが主流です。栽培方法は変わりませんが、イタリアンパセリの方が病害虫などに強く丈夫なので育てやすい品種です。
種類名 | 特徴 | 概要 |
---|---|---|
モスカールドパセリ | 葉が縮れてカールするカーリーパセリの品種 パセリの仲間の中でもカールが強い品種 | |
パラマウントパセリ | 葉が縮れてカールするカーリーパセリの品種 濃緑色で肉厚、品質が良い定番の品種 | |
イタリアンパセリ | 平たい葉が特徴。カーリーパセリより香りが強く、 味は苦味が少なくせがない。 |
栽培時期
水耕栽培は、室内で育てられるので生育温度保てれば一年中栽培は可能ですが、生育時期に合わせた栽培をすることで失敗のリスクを防げます。できれば土壌栽培と同様の時期に植え付けやタネまきをするとよいでしょう。
パセリは家庭菜園では、春まきか秋まきが一般的です。寒冷地では秋まきは向かないので、春に種まき、植え付けをしましょう。耐暑性や耐寒性も強いので、中間地以西では真夏、真冬を除けば一年中栽培が可能です。
春まき栽培
地域 | 播種(種まき)時期 | 植えつけ時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | 4月中旬~6月上旬 | 5月 | 10月上旬~11月中旬 |
中間地 | 4月~5月 | 5月 | 10月~11月 |
暖地 | 3月中旬~5月 | 3月下旬~5月 | 9月中旬~11月 |
秋まき栽培
地域 | 播種(種まき)時期 | 植えつけ時期 | 収穫時期 |
---|---|---|---|
寒冷地 | ー | ー | ー |
中間地 | 9月~10月 | 9月中旬~10月 | 11月~4月 |
暖地 | 9月中旬~10月 | 10月 | 11月中旬~5月上旬 |
パセリの水耕栽培の育て方
置き場所、日当たり
パセリは、乾燥と直射日光に弱いので、半日陰で育てましょう。半日陰で早めに収穫するとやわらかい葉が収穫できます。比較的暑さにも強いので、室内であれば夏でも育てることはできますができれば25℃以上にならない場所で管理しましょう。直射日光は、葉焼けや容器内の温度が高すぎる可能性があるので、カーテン越しの光で育てましょう。
寒さにも強いので、冬も収穫することも可能です。ただし5℃以下になると成長が止まりますので、8℃以下にならない環境で育てましょう。窓辺などで育てると夜間急に冷えるので注意が必要です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
育苗をする場合の、理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は3日1度、最低でも週に1回程度は交換しましょう。成長してきたら、培養液がきれないように継ぎ足しして育てましょう。
ただし気温が高くなると水が濁るので、濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。根に藻がつくと成長を阻害するので、できるだけ根の部分は遮光し、水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料
収穫を楽しむパセリ栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換や継ぎ足しのときに、水に溶かして使います。苗が小さいうちは、規定量より薄めて使いましょう。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
肥料は、かならず水耕栽培用の肥料を使いましょう。水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
収穫
パセリは、茎のように見える部分は葉柄で、1本の葉です。途中から切っても新しい葉は生えてこないので、株元から切り取って収穫しましょう。
茎葉(本葉)が15枚以上になれば収穫できます。苗の植えつけから30日程度で収穫できるようになります。短いものは残し、長く伸びた外葉から収穫しましょう。一度の多く収穫すると株が弱るので、長く収穫を楽しみたいなら、株の半分以上は収穫しないで。こまめに収穫することで、風通しもよくなり新しい葉がどんどん育ちます。
まとめ
パセリを料理につかうときに、乾燥パセリをつかっているという人も多いのではないでしょうか。やはり生のパセリは香りが違います。水耕栽培なら手元で育てられるので、彩りの添え物やスープにも手軽に使えます。
パセリは、ハイドロボールを使ったハイドロカルチャーもおすすめです。イタリアンパセリの水耕栽培の記事では、ハイドロカルチャーでの育て方が載っていますので、こちらも参考にしてください。
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