パプリカ

パプリカ栽培 芽かき・摘芯(摘心)・摘果の方法

パプリカ パプリカ

パプリカ栽培では、よい果実を多く収穫するためには芽かきや摘芯・摘果という作業をする必要があります。

ここではパプリカ栽培の「芽かき」・「摘芯(摘心)」・「摘果」の作業について、そのタイミングや、位置などイラストを使ってわかりやすく説明します。

「摘心」と「摘芯」、どちらが正しいの?

どちらも正しいです。「摘心」も「摘芯」も同様の意味を持ちます。本記事では、以下から「摘芯」に記載を統一します。

パプリカ栽培について

パプリカの基礎知識

パプリカは、ピーマンと同じナス科トウガラシ属の植物で甘トウガラシの一種です。緑色のピーマンは未熟果で収穫しますが、完熟させると黄色やオレンジ、赤色へと変わりこれがカラーピーマンと呼ばれます。日本ではカラーピーマンの中で、大型で肉厚な品質のものを「パプリカ」と呼んでいます。

ピーマンは、病気や害虫に強いので初心者の人でも作りやすい野菜です。ピーマンは開花後15日~20日で収穫できますが、パプリカは完熟させる必要があるので開花から50日~60日程度かかります。実に栄養をたくさん送る必要があるため、収穫量もピーマンに比べるとかなり少なくなります。

タネから育てると、育苗の期間が2ヵ月程度かかるので、初心者の人は市販の苗から始めるのがおすすめです。寒さを嫌うので、遅霜の心配がなくなってから植えつけましょう。

作物名パプリカ
科目ナス科トウガラシ属
原産地熱帯アメリカ
発芽適温(地温)30℃〜33℃
生育適温25℃~30℃
土壌酸度(pH)6.0〜6.5
育てやすさ普通

パプリカ栽培の芽かきについて

芽かきとは、不要な芽を取り除くことで、通常わき芽を取り除くことから「わき芽かき」や「摘芽」とも呼ばれます。

パプリカの苗は主枝からわき芽が複数でてきます。このわき芽を1~2本残して、他のわき芽を芽かきをすることで、着果の数を制限し、実がなる茎に栄養が行き渡ることで、大きくて良質な果実を収穫することができます。

パプリカ栽培の摘芯について

摘芯(てきしん)とは、茎や枝の最先端の芽を摘む作業で、ピンチとも呼ばれます。摘芯をすることでわき芽を増やしたり、生長を止めたりすることができます。

パプリカの栽培では、果実が次々となり株が消耗して、実がつきにくくなる「なり疲れ」することがあります。摘芯することで、果実のなりすぎず、株の消耗を防ぐことができ、新芽が発生しやすくなります。また背丈が高くなりすぎないように、主枝を摘芯することもあります。

パプリカ栽培の摘果について

摘果とは、株の消耗や良質な果実を収穫するために、幼果のうちに摘み取る作業です。

パプリカは、株の小さなときに一番果がつきやすいため、一番果は摘み取ることで株の消耗を防ぎます。ミニパプリカであれば、一番果だけ摘果すればよいですが、通常のパプリカでは5番花~7番花程度まで、摘花して株を大きくしましょう。適花することでそのあとの収穫量が変わります。

パプリカの芽かきの方法

芽かきのタイミング

パプリカの芽かきは、一番花(一番最初の花)が咲いて、枝が4本程度になった頃に仕立てと一緒に行います。

芽かきのやり方

仕立て方によって、芽かきの本数が変わります。仕立て方は、家庭菜園で栽培されることの多い、主枝からでる側枝(わき芽)を2本残して育てる「3本仕立て」、営農されている農家に多い、主枝1本、側枝1本の「2本仕立て」があります。

パプリカの茎は、一番花の上で2本に分かれて、その後も花の咲くところで分岐しながら大きくなります。残す側枝は、1番花のすぐ下とそのさらに下から出る側枝が勢いのあるものとなるので、3本仕立てはその2本(側枝①・②)を残し、2 本仕立ては、一番花のすぐ下の側枝(側枝①)を残し、ほかの側枝(わき芽)はすべて摘み取ってしまいます。

ピーマンの整枝のやり方を示した画像です。

芽かきが終わったら、仕立て方に合わせて支柱を立て誘引して育てましょう。

パプリカの摘果の方法

パプリカの摘果のタイミング

摘果のタイミングは、まず初めに一番花がついたとき。株が小さいうちに果実がなると株が弱まるため、1番花はすぐ摘花(摘果)します。ミニパプリカであれば、一番果だけ摘果すればよいですが、通常のパプリカでは5番花~7番花程度まで、摘花して株を大きくしましょう。

その後は生育状態を確認しながら摘果します。花が成長点近くで咲いている場合は、株が弱まっています。肥料を与えるとともに、混みあっている花や形のよくない実などを取り除きましょう。

またパプリカはピーマンと比べ完熟するまで育てる必要があります。すべての実を完熟させると株が疲れてしまいます。未熟果の緑の状態のピーマンでも収穫できるので、緑色の状態の収穫を間に挟むと、多収穫が見込めます。

パプリカの摘果のやり方

一番花~7番花は、果実になる前、花がついたらすぐに摘みとります。手で摘みとるか、剪定ハサミで切り取りましょう。

その後の摘果も、基本的には実になる前の花の段階で、摘み取りましょう。もし、花を摘み取ることができなかったとしても、小さな果実の段階で摘み取ることで、株への負担を減らすことができます。

また完熟のパプリカ2~3個収穫したら、未熟果の緑の状態のピーマンを1個収穫するとよいでしょう。

パプリカの摘芯の方法

パプリカの仕立て方には様々な方法があり、摘芯をせず放任で栽培したり、2本仕立ての場合は、側枝からでるわき芽を1本づつ残して、4本仕立てにする場合もあります。

ここでは、主枝と主枝からでた側枝に果実をつけて、側枝からでたわき芽には果実をつけないか、1果だけつける方法の摘芯を説明します。

パプリカの摘芯のタイミング

パプリカの摘芯のタイミングは、仕立てた枝から、わき芽(側枝)が伸びたころです。果実は仕立てた主枝と側枝にを優先します。主枝や側枝からでたわき芽には、一節についたものだけ収穫します。収穫時に枝ごと切り落としてもよいでしょう。果実がつかなくとも、徒長したり混みあっている枝は根元から切り落としても大丈夫です。

パプリカの摘芯のやり方

仕立てた枝から出た側枝(わき芽)が伸びてきたら、葉1~3枚(1節~3節)で、枝の先端を手で摘みとるか、剪定ハサミで切り取ります。

その他芽かき・摘芯・摘果について気を付けること

芽かき・摘芯・摘果をする場合の天候

枝や花・果実を摘みとるときは、天気のよい午前中に行いましょう。摘み取った部分を早く乾燥させて、病気の予防になります。

主枝の摘芯について

主枝や、主枝から残した側枝については基本的に摘芯は不要です。支柱の頂上に届いてしまい、それ以上伸ばせない場合は、作業しにくくなるので先端を摘芯しましょう。

摘芯の方法について

手で摘み取る際には、指先でちぎったり、爪でつまみ切ったりするのではなく、指先で摘んだあと手首を捻って「ポキっ」と折るようにします。こうすることで切断面が綺麗になるだけではなく、切断面に病原菌が付着するリスクを下げることができます。

剪定ハサミを使用する場合は、病原菌の伝染には十分に注意しましょう。気になるようであれば、一回ごとに消毒(エタノールや次亜塩素酸カルシウム、第三リン酸ナトリウムなど)を使用すると良いでしょう。薬液を入れることで自動消毒ができるハサミ(Vカットはさみ)もあります。プロ農家はこれらを使用することも多いです。

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