水稲の除草剤には多くの種類があります。この記事では、農薬検索データベースの検索数の上位15位までをランキング方式で紹介し、除草剤の剤型や種類、成分などについてもわかりやすく説明します。
水稲除草剤 検索ランキング一覧
農家webでは、農家や家庭菜園など農業者が誰でも無料で簡単に農薬を検索できる「農薬検索データベース」を運用しております。このサイト内で移植水稲の除草剤の検索数をランキングで表しました。
順位 | 商品名 | 剤型 | 種類 | 成分:HRAC |
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1位 | エンペラージャンボ | ジャンボ剤 | 初・中期一発処理剤 | ピラクロ:HRAC14 ピリミノバックメチル:HRAC2 フェンキノトリオン:HRAC27 |
2位 | クミアイサキドリEW | 乳剤 | 初期剤 | ブタクロール :HRAC15 ペントキサゾン: HRAC14 |
3位 | ノミニー液剤 | 液剤 | 中・後期剤 | ビスピリバックナトリウム塩:HRAC2 |
4位 | クリンチャーバスME液剤 | 液剤 | 後期剤 | シハロホップブチル :HRAC1 ベンタゾンナトリウム塩 :HRAC6 |
5位 | トドメバスMF液剤 | 液剤 | 後期剤 | ベンタゾンナトリウム塩:HRAC6 メタミホップ:HRAC1 |
6位 | BASFバサグラン液剤(ナトリウム塩) | 液剤 | 中・後期剤 | ベンタゾンナトリウム塩:HRAC6 |
7位 | ツイゲキ豆つぶ250 | 豆つぶ剤 | 中・後期剤 | シメトリン :HRAC5 ピリミスルファン :HRAC2 フェンキノトリオン :HRAC27 |
8位 | シグナスジャンボ | ジャンボ剤 | 初・中期一発処理 | テフリルトリオン :HRAC27 フェントラザミド :HRAC15 メタゾスルフロン :HRAC2 |
9位 | アシュラジャンボ | ジャンボ剤 | 初・中期一発処理剤 | トリアファモン : HRAC2 ピラクロニル : HRAC14 ベンゾビシクロン : HRAC27 |
10位 | 日産クリンチャーEW | 乳剤 | 後期剤 | シハロホップブチル:HRAC1 |
11位 | バッチリLXジャンボ | ジャンボ剤 | 初・中期一発処理 | イマゾスルフロン :HRAC 2 オキサジクロメホン :HRAC0 ピラクロニル :HRAC14 ブロモブチド :HRAC0 |
12位 | クリンチャーEW | 乳剤 | 後期剤 | シハロホップブチル:HRAC1 |
13位 | ツイゲキ1キロ粒剤 | 粒剤 | 中・後期剤 | シメトリン :HRAC5 ピリミスルファン :HRAC2 フェンキノトリオン :HRAC27 |
14位 | エンペラーフロアブル | フロアブル剤 | 初・中期一発処理剤 | ピラクロ:HRAC14 ピリミノバックメチル:HRAC2 フェンキノトリオン:HRAC27 |
15位 | パワーウルフ1キロ粒剤51 | 粒剤 | 初・中期一発処理剤 | ブロモブチド :HRAC 0 ベンスルフロンメチル : HRAC2 ベンチオカーブ : HRAC15 メフェナセット : HRAC15 |
剤型の選び方
水稲の除草剤には、粒剤・ジャンボ剤・豆つぶ剤・フロアブル剤などの多くの剤型があります。剤型で効果に違いはありませんが、特性に合わせた使い方をしないと本来の効果を発揮できません。自分の田んぼの環境にあった剤型を選ぶために、剤型の特徴を説明します。
粒剤
粒剤は、手間がかかるが、棚田や・場所によって雑草の生え方に違いがある、水持ちの悪い田んぼにおすすめの剤型です。
粒剤は、昔からある剤型で薬剤は地面に定着してから処理層が広がり、水中であまり移動しません。そのため均一に聞かせるためには散粒機で、田んぼ全体に満遍なく散布する手間がかかります。
ただしその特性のため、散布後の雨で有効成分が流亡することもすくなく、棚田などでは薬剤が上から下に流されることもないため、効果にむらがでることもありません。また薬剤も自分で調整できるので雑草の多い場所に多めになどの調整も可能です。
ジャンボ剤
ジャンボ剤は、畔から田んぼに投げるだけで、水溶性フィルムが溶けて成分が拡散。ゴミも少なく散布量の計算が楽な状型です。
ジャンボ剤は、粒剤や豆つぶ剤を水溶性フィルムで包んだパック上になっています。1パック25g~50gで、10a当たり10~20個投げ込むだけで水面に広がります。大きさの違う田んぼがいくつかあっても計算もしやすく、水で溶けるフィルムなのでゴミも出ないのが魅力です。
水面に広がる性質上、藻やごみなどの障害物があると拡散が悪くなります。また剤が一度溶けてから3日~4日かけて沈殿するので、水持ちが悪い田んぼではうまく拡散しないこともあります。
豆つぶ剤
豆つぶ剤は、粒剤でアゼからひしゃくや手などで、直接散布するだけで、水面に浮かんで拡散。大きな田んぼでも簡単に遠くまでで飛ばせます。
豆つぶ剤と、ジャンボ剤と同様に、あぜ際から、ひしゃくなどを使って、水面にまくだけで水面を移動して拡散する便利な剤型です。計量する手間はかかりますが、大きな田んぼなどではジャンボ剤を田んぼの真ん中まで、投げ込めないため田んぼに入る必要があります。その点、豆つぶはひしゃくでまけば10m程度まで飛ぶため、1haほどの田んぼならアゼ際からの散布で中央まで薬液が届くでしょう。
水面に広がる性質上、藻やごみなどの障害物があると拡散が悪くなります。また剤が一度溶けてから3日~4日かけて沈殿するので、水持ちが悪い田んぼではうまく拡散しないこともあります。
フロアブル剤
フロアブル剤は、粘着のある液体で希釈せずにアゼ際から散布する、水口からの流し込みも可能な剤型です。
フロアブル剤は、散布後一度沈殿した後に水に溶けだして、広がり数日間かけて沈殿します。幅30mほどの畑であれば、アゼから散布するだけで全体に広がります。また水口から流し込みも可能なので、用水が豊富であれば簡単に散布が完了します。
水面に広がる性質上、藻やごみなどの障害物があると拡散が悪くなります。また剤が一度溶けてから3日~4日かけて沈殿するので、水持ちが悪い田んぼではうまく拡散しないこともあります。
乳剤・EW剤
水に溶けにくい有効成分を有機溶媒に溶かし乳化剤を加えた油状液体の製剤で、可燃性の危険物であることが多い剤型です。水に希釈し乳濁した状態で使用します。EW剤は、登録上乳剤に分類されていますが、乳剤を改良して、成分を水溶性のポリマーなどで被覆した剤型です。危険物には該当しません。
水稲除草剤の種類
水稲の除草剤は、その散布する時期と効果により「初期剤」「中期剤」「後期剤」「一発処理剤」に区分されます。それぞれの除草剤に使用適期があり、この適期を外すと除草の効果が十分発揮できません。必ずその適期にあった除草剤を使いましょう。1回の除草剤の散布では、栽培期間全体を通した防除効果が不十分な場合は、2回以上の処理を行う体系処理が有効です。
- 初期剤…代かき直後から田植え7日前まで、もしくは田植え直後~ノビエ1葉期までに使用する除草剤。
- 中期剤…初期剤を散布した後、その後に生える後発雑草に対してノビエが3~4葉期になるまでに使用する除草剤
- 後期剤…初期剤+中期剤もしくは、一発剤を使って防除した後に、残った雑草に使う除草剤
- 一発剤…1度の散布で初期剤と中期剤の両方の効果が期待でき、省力化できる便利な除草剤
体系処理とは
体系処理とは、当初から計画的に、効果のある除草剤を組み合わせて複数の除草剤を使うこと。除草剤は適期に散布しないと効果が半減します。そこで発生する雑草の適期に合わせた、効果のある除草剤を使うことで、省力化・コスト減にもつながります。
初期剤の効果はおおよそ15日~20日しかないため、その後に発芽した雑草には効果がありません。中期剤をつかって体系的に防除する必要があります。
一発剤は便利で長く効果がでますが、コストも高めで、田植直後には散布できないものもあります。初期剤+中期剤を使った方がうまく防除できる場合もあります。散布の時期と雑草の発芽時期を見極めて、どちらが良いか見極めて使いましょう。
HRACコードを使ったローテーション散布
除草剤が効かない雑草が増えているという話をよく聞きます。殺虫剤と同様に、除草剤に抵抗性を持った雑草が増加しているから。最近は、この抵抗性を防ぐため、水稲の除草剤は単剤ではなく混合剤が増えています。これが除草剤のコストが高くなっている原因でもあります。
抵抗性を防ぐには、同じ成分だけでなく、成分によって雑草に効く仕組み(作用機能)が同じものを連続して使わず、ローテーション散布することが大切です。
この作用機能(作用機作)はいくつかのグループ分けすることができ、それが系統です。系統は世界共通のコード「RACコード」に分類されています。殺虫剤ではIRACコード、殺菌剤ではFRACコード、そして除草剤には「HRACコード」が使われます。
HRACコードが異なる除草剤を順番に使うことによって、抵抗性雑草の発生を抑えることができます。HRACコードは一部ラベルに記載しているものもありますが、記載されていないものも多くあります。農薬検索データベースには、RACコードの他適用表、使用上の注意も一覧でみることができますのでそちらも活用してください。