ハート型の葉っぱが特徴的なカタバミ。カタバミはひとたび芝生に生えると、ちぎれやすいだけに手で草取りするのは難しい雑草です。
ここでは、カタバミの除草方法、また芝生に生えてしまったカタバミを除草、退治する方法を徹底解説します。
カタバミとは?
科 | カタバミ科カタバミ属 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Oxalis corniculata |
別名 | カガミグサ、ショッパグサ、スズメグサ、ネコアシ |
カタバミの特徴
カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で、カガミグサ、ショッパグサ、スズメグサ、ネコアシと多くの別名を持ちます。
種子とほふく茎で繁殖するのが特徴で、非常に強い繁殖力を持っており、放っておくと、芝生に勝ってしまい、芝生を枯らしてしまう可能性があるため、繁殖する前に除草しなくてはなりません。
しかし、カタバミは千切れやすいために手で草取りするのは大変困難です。畑地だと耕起して掘り起こすことができるのですが、芝生の場合は耕起するわけにもいきません。このため、芝生に生えると大変厄介なのです。
クローバーとカタバミは違うの?
カタバミとクローバーは共に三つ葉で非常に似ているため、よく間違われますが、クローバーはマメ科、カタバミはカタバミ科で、そもそも分類が異なります。
見分け方としては、カタバミの葉っぱは明確な「ハート型」をしています。逆にクローバーは丸型のものが多いです。また、クローバーの葉っぱは、白いライン模様が入ることが多いため、その点でも見分けることができます。
また、花の形は明確に違います。下の写真、イラストをどうぞ参考になさってください。
カタバミの除草、防除方法
芝生など周りの植物に関係なく除草できる場合
周りに枯らしたくない植物がない場合は、非選択制(どんな種類の雑草でも枯らす)の除草剤が使用できます。非選択制の除草剤で、多年草の除草に適するものの代表はグリホサート系除草剤です。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | ネコソギロングシャワーv9 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | |||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
また、グリホサートよりも速効性を求める場合は、根までは枯れないですが、バスタ、ザクサのようなグルホシネート系除草剤を使用するのもおすすめです。(100均のダイソーもグルホシネート系を販売しています)
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
また、特定農薬など、できるだけ安全な成分で除草を行いたい場合は、下記を参考にしてみてください。
カタバミが芝生に生えていたら?
カタバミは手での草抜きしても根が地中に残り、本質的な解決になりません。このため、芝生で使える選択性の葉茎処理剤を使用することで駆除、防除することになります。
どんな除草剤を使えばいいの?
芝生で使える選択生の葉茎処理剤の中でも、特にカタバミ駆除におすすめしたいのは、メコプロップ(MCPP)が成分になっている除草剤です。
メコプロップ(MCPP)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。スギナやクローバー、カタバミにピンポイントで効きます。
基本的には、MCPPでクローバーを除草しつつ、MCPPで効かない雑草をアージラン液剤やザイトロンアミン液剤(共に石原バイオサイエンス(株))で補完駆除していくのがベストな方法になります。
カタバミ除草におすすめの除草剤
芝生除草剤MCPP液剤
芝生用除草剤 MCPP液剤は、丸和バイオケミカル、理研グリーンが販売している、褐色澄明水溶性液体の芝生用除草剤です。
成分は、メコプロップ(MCPP)で、メコプロップ(MCP P)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。
主な特長は、
芝生で安心して使える
イネ科の植物にはほとんど効果がないため、芝生に対して安心して使用することができます。
広葉雑草、スギナに優れた効き目
広葉雑草、特にクローバーなどの一年生の広葉雑草、またスギナに代表されるトクサ科の雑草に強い効果を発揮します。
処理適期が広い
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、浸透移行性があるため、幅広い処理適期を有し、非常に使い勝手が良い液剤です。
日本芝、西洋芝(ブルーグラス)に使用可能
高麗芝や野芝などの「日本芝」や「バミューダグラス(バーミューダグラス)」、またケンタッキーブルーグラスと、幅広い芝で使用することができます。
ただし、西洋芝は日本芝のように、除草剤を散布して早期に結果が出るのに対し、適用の除草剤を使用しながら、時間をかけ、次第に雑草を少なくしていく、というステップを踏みます。
シバキープAL (レインボー薬品(株)) (液剤)
こちらもMCPP(フェノキシ酸系)が成分で、日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)とケンタッキーブルーグラスに使用できます。シロザ、コニシキソウ、タデ類、イヌビユ、ブタクサ等の一年生広葉雑草に効果を発揮し、スギナもしっかりと枯らします。
シバキープエース液剤、シバキープエースシャワー (レインボー薬品(株))
こちらはMCPP(フェノキシ酸系)とアシュラムが混ざった除草剤です。日本芝にしか使えないのが難点ですが、対象芝が日本芝の場合は、後でアシュラム等を散布する手間が省ける、万能の芝生用除草剤です。希釈するタイプと、そのまま使える、ノズル、シャワー付きタイプがあります。
シバゲンDF (石原バイオサイエンス(株)) (粒剤)
成分
フラザスルフロン水和剤
説明
ゴルフ場の芝生の除草を目的として開発された製品です。葉茎処理効果と土壌処理効果を併せ持つため、時期に関係なく使用できます。
また、除草対象の雑草は最も幅広く、イネ科、カヤツリグサ科、広葉タイプの一年生雑草から、多年生雑草まで効果を発揮します。芝生に生える厄介な雑草の代表種、スズメノカタビラやメヒシバ、また地下茎を作るハマスゲ、ヒメクグ、チドメグサ、カタバミもしっかり枯死させます。
更に、シバゲンはゴルフ場用に開発されているだけあって、日本芝(野芝(ノシバ)や高麗芝(コウライシバ))のみならず、ティフトンで有名なバミューダグラスなどの西洋芝(ベントグラスは除く)、また近年繁殖させ易さで普及しているセンチピードグラスでも使用できる、おすすめの除草剤です。
MCPPでは枯らすことができない雑草は、下記の除草剤で補完していくことになります。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
ザイトロンアミン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 トリクロピル(PRTR・1種)
ザイトロンは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、広葉雑草に高い効果を発揮する選択性の葉茎処理剤です。多年生の難防除の広葉雑草にも強い除草効果が期待でき、10〜15日でしっかり効果が出ます。逆にイネ科雑草には効果がないため、イネ科雑草の駆除には別の除草剤が必要になります。
2,4-D「石原」アミン塩(24d)
2,4-D「石原」アミン塩は、石原バイオサイエンス(株)が販売している、茶褐色液体色)の選択制除草剤です。成分は2,4PAジメチルアミン塩49.5%で、人畜毒性、環境影響が少なく、ホルモン・吸収移行型の茎葉処理剤です。オーキシン様の作用をもち,雑草の茎葉や根から吸収され,体内の植物ホルモンバランスを攪乱させることで生理的な障害を与え,茎葉を捻転(よじれ)させるなどののちに枯死させます。
広葉雑草によく効き、イネ科雑草には効果が弱いこと、日本芝だけでなく、センチピードグラスに対しても安全性が高く、養生中の雑草管理にも使えるのが特徴です。
芝生の除草 その他について
芝生には、カタバミ以外にも、クローバー(シロツメクサ)、スギナやススキ、メヒシバ、ヤブガラシ、オオイヌノフグリ、カラスノエンドウ、チガヤなど、広葉雑草やイネ科雑草、さまざまな雑草が生えてきます。下記は芝生で使える、おすすめの選択性除草剤、また芝生に生える雑草を紹介していますので、参考にしてみてください。
また、除草剤を撒くのにベストな時期、草抜き道具、除草時に気をつけたい服装などを知りたい方は下記を参考にしてください。
芝生の育成、肥料あれこれ
日当たり・水はけ
植物は光合成によってエネルギーを作ります。特に、芝は日光が大好きで日当たりが良い場所を好みます。また、野外で育てるため、水はけが良い土地が望ましいです。日陰が多い場所の場合は、日照時間が比較的少なくても問題ない品種を選ぶと良いでしょう。刈高を上げてできるだけ葉の面積を多くし、光合成を促進させるなどの工夫も有効です。
水やり・散水
芝は、生育期に比較的多くの水やりが必要な植物です。生育期、土が乾いたら、なるべく水をやるようにしてください。特に猛暑の時期は水やりを毎日してあげましょう。一部の葉が徐々に巻いて丸まっている状態だとすると、明らかに水不足のサインが出ていますので、ホースやジョウロで水やりをしてあげましょう。
基本的な水やりの頻度の目安は週に1〜2度で、夏はできるだけそれ以上に散水するといいでしょう。休眠期の冬場は特に散水する必要はありません。
エアレーション
エアレーションとは、芝生に専用の穴あけ機で穴を開けることで、土壌中の酸素を増やし、透水性を高め、土壌表層に溜まる老廃物であるサッチの分解を促進させ、サッチの蓄積を防ぐために行います。
芝生は、畑と違って一度植えてしまうと、耕耘ができません。このため用土が固くなり、サッチが蓄積し、芝の育成を阻害してしまうのです。
エアレーションを行う適期は、芝生の生長がよい時期です。具体的には暖地型は初夏や梅雨明け、寒地型は春と秋が適期となります。また、エアレーションに合わせて、レーキや熊手で蓄積したサッチを取り除く、またサッチ分解剤を使ってサッチを除去するサッチングも行ってください。
目土
目土は、芝生の管理特有の言葉で、「めつち」と読みます。目土は、芝生の上に川砂などをかぶせ、覆うことで、サッチの抑制や表面のデコボコを平にしたり、新芽を保護したり地温を保つ効果があったりと、非常に重要です。具体的には年間に1〜2回、4〜5月、10月に行うのがベストです。
普通の土(そこらのへんにあるような土)を使うのは駄目ですよ!
芝生の目土用の土も販売されていますので、ご自身で目土作業を実施することも可能です。
広い敷地の芝生をお持ちの方は、造園業者などに目土を頼むと良いと思います。ご自身でやるより安く綺麗に仕上がります。
⇒草刈り・芝刈りなど造園を頼みたいときには芝刈り
芝刈りは、刈り込むことによって上への成長を止め、通気を良くして芽吹きを促進させ新芽を増やし、密度を高める働きがあるので、欠かせない手入れの一つです。葉が短くなる分、分けつし葉の枚数を増やして光合成を活発化させ、濃い緑になります。また、芝刈しないと、芝が伸びっぱなしで病害虫のすみかになってしまい、コガネムシなどの害虫のせいでラージパッチ(葉腐病)などの病気になりやすくなります。
生育期は月に2度以上、生育が旺盛で芝が伸びる最盛期は、出来れば週1くらいの頻度で芝刈りしてください。芝刈り機は様々な種類があり、電動、エンジン式、また刈る方式としてはリール式とロータリー式があります。さらに、芝刈機は芝の際をうまく刈ることはできないので、見た目にこだわる方は、際刈りの為にハンディバリカンも必要になってきます。匍匐茎(ほふくけい)のような横に伸びるランナーは気にせず刈って大丈夫ですが、立ち上がりが目立つならば目土してください。
様々な種類があるので、必要な面積に応じて、ベストなものを選んでみてください。
芝生のおすすめ肥料、手入れに関する記事は下記を参考にしてください。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。シャワーやスプレーで散布する際、混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。