イチジクは、落葉性のクワ科イチジク属の植物で、学名はFicus caricaと言います。野菜などと異なり樹木なので多年生ですが、耐寒性がやや弱く、関東より北の露地では越冬できないとされています。品種にもよりますが、長いものでは6月下旬から10月中旬くらいの秋まで収穫できる点も特徴です。
イチジクの肥料として油かすは使えるか、という話題をよく聞きます。この記事では、イチジクの肥料に油かすが使えるか、その理由とともに紹介します。
イチジクに油かす肥料は最適
結論としては、「イチジクの肥料として油かす肥料は使える」といえます。特に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます。
イチジクの特性として、他の果樹とは異なり結果習性のため、肥効とくに窒素は長期間にわたって持続することが望ましいです。夏の生育期の追肥(夏肥)によって補うことも重要ですが、元肥に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)を多く使うことによって、肥効を持続させることも重要です。
また、イチジクは浅根になりやすいため、肥料やけしやすいという特性があります。油かすなどの有機肥料を使うことで、肥料やけのリスクも下げることができます(但し、与えすぎるとガス害などによる影響もあります)。
\油かす肥料について/
速効性をもたせたい場合はぼかし肥料にする
油かすのもう一つの使い方としては、EMや発酵促進剤など微生物の力を使って予め発酵させた「ぼかし肥料」として散布することです。
ぼかし肥料にすることで、肥料の速効性が増し、肥料の効きが早くなります。
ぼかし肥料は、主原料として米ぬかや油かすを用いることが多いです。米ぬかと油かす、発酵促進剤などを混ぜ合わせてぼかし肥料を作ります。
\ぼかし肥料に関する詳細/
イチジクに使えるその他の肥料
イチジク専用肥料
\初心者におすすめイチジク専用肥料の解説/
イチジクの専用肥料も市販されています。イチジク栽培の特性に合った肥料成分が配合されています。初心者など栽培に自信のない方は、積極的に活用するとよいでしょう。
また、果樹用の肥料を使用することもおすすめです。ハイポネックスのマグァンプKや住友化学のマイガーデンベジフルは、果樹の栽培にもよく使用されています。花ごころにも、花木にも効果がある肥料が多く販売されています。
その他有機肥料(有機質肥料)
イチジクは、元肥に多くの有機肥料(有機質肥料)を活用します。油かす肥料の他にも以下の有機肥料がよく使われます。
その他化学肥料・化成肥料
化学肥料は、緩行性化成肥料と速効性化成肥料がよく使われます。
但し、樹の状態や気候を考慮した施肥が必要です。また、硝酸態窒素やアンモニア態窒素などの無機態窒素(チッソ)は速い効果すなわち速効性があり、よく効くものの「肥料焼け」の原因となるので、利用する場合には様子を見ながらよく観察して、少しずつ与える必要があります。
また、イチジクは酸性土壌を嫌うことから、苦土石灰や熔リンを利用して酸性土壌をアルカリ性に矯正することもあります。
初心者の方は既に配合された果樹用の化成肥料と苦土石灰肥料などを使用することをおすすめします。
イチジク(いちじく)の肥料の購入場所
イチジクの肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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補足:油かすとは
油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。
\油かす肥料について/
油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。
ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸やカリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。
ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。
単位:% | ナタネ(菜種)油かす | ダイズ(大豆)油かす |
---|---|---|
窒素(N) | 5 | 7 |
リン酸(P) | 2 | 1 |
カリ(K) | 1 | 2 |
その他の有機肥料については、下の記事をご覧ください。
補足:ぼかし肥料の材料による成分比の違い
ぼかし肥料は、その原材料となる有機物資材によって成分比が変わってきます。
ぼかし肥料の原料に向いている主な有機物資材の成分をまとめてみましたので、参考にしてください(製品によって、成分比が異なる場合がありますので注意してください)。
\ぼかし肥料に関する詳細/
補足:イチジク(いちじく)の基礎知識
イチジクは、落葉性のクワ科イチジク属の植物で、学名はFicus caricaと言います。野菜などと異なり樹木なので多年生ですが、耐寒性がやや弱く、関東より北の露地では越冬できないとされています。
イチジクは漢字で「無花果」と書く通り、果実の中に花をもつため、外から花を見ることができません(単為結果により、受粉することなく果実ができます)。品種にもよりますが、長いものでは6月下旬から10月中旬くらいの秋まで収穫できる点も特徴です。
日照時間が長い方が好ましいので、日陰ではなく日当たりのよいところをイチジクの置き場として設定しましょう。樹高は1m〜5m程度になりますが、鉢植えでの栽培の場合は剪定をしっかりと行えば、そこまでの樹高にはなりません。
学名 | Ficus carica |
---|---|
属名 | クワ科イチジク属 |
原産地 | アラビア南部、南西アジア |
樹高・草丈 | 1.5〜5m |
耐寒性等 | 耐寒性はやや弱く、温暖湿潤な土地で育ちやすい |
補足:イチジクの肥料のやり方詳細
庭植え(地植え)の場合
庭植え・地植えのイチジクの肥料のやり方の基本は、根が広がっている範囲に施すことです。「根の広がる範囲なんて掘り返してみないとわからない」と思われるかもしれませんが、一般的な樹木は基本的に「葉の広がっている範囲が根の広がっている範囲」と言えます。葉の広がっている範囲を確認して、その下の土にまんべんなく散布すると良いでしょう。
施肥するときには、株元にドーナッツ状に散布します。少し広げることと軽く土に混ぜ込むことを意識するとよいでしょう。
「施肥量はどのくらいが良いの?」とよく聞かれますが、品種や樹齢、樹・土壌の状態、剪定の強さによって異なるのでなかなか的確なアドバイスはできません。また、水田から転換した畑では植え付け後、1年〜2年は肥効が十分で、施肥が不要となることも多いです。
以下に、奈良県の「イチジクづくりのポイント」で記載されていた施肥量を掲載します。以下で記載されている肥料成分の他に、土壌酸度(pH)を考慮して苦土石灰を100kg/10aを基準に施します。完熟堆肥などを使って土壌改良することも求められます。
年間施肥量の合計から、元肥50〜70%、夏肥25〜50%、秋肥0〜12%程度の割合で配分し、肥料をやります。
樹齢 | 成分 | 年間施肥量合計(kg/10a) |
---|---|---|
2年 | N P K | 4 2 2 |
3年 | N P K | 6 5 5 |
4年 | N P K | 10 10 10 |
成木 | N P K | 16 14 16 |
肥料には、ラベルの裏に大まかな施肥基準が載っている場合もありますので、参考にすると良いでしょう。
鉢植えの場合
鉢植えのイチジクにも同様に施肥が必要です。鉢植えのイチジクに施肥する場合は、株元(根元)を囲むように肥料を施します。
施肥量は、品種や樹齢、樹の状態、プランター・鉢の大きさなどによって異なります。庭植えの場合の施肥量よりも少なめを意識して肥料をやるといいでしょう。
肥料には、ラベルの裏に大まかな施肥基準が載っている場合もありますので、参考にすると良いでしょう。
補足:油かす肥料とは
油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。
油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。
ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸やカリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。
ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。
単位:% | ナタネ(菜種)油かす | ダイズ(大豆)油かす |
---|---|---|
窒素(N) | 5 | 7 |
リン酸(P) | 2 | 1 |
カリ(K) | 1 | 2 |