全国農地ナビとは?
全国農地ナビとは、全国の農地情報を、誰でもweb上で見ることができるクラウドサービスです。
もともと、農地の権利関係や利用状況は各農業委員会で農地台帳をまとめていますが、その情報を知りたい時に知ることが難しい状況でした。
そこで、農地中間管理機構による農地集積・集約化を進めるため、各市町村の農業委員会が整備している農地台帳の農地情報を、電子化・地図化して全国的にクラウドシステムとして構築し、誰でも見れるようにしたのが全国農地ナビです。
平成27年4月から開始していて、お気に入り機能の追加や検索速度の向上などの機能が28年4月から図られています。
全国農地ナビができたことで、借りることができる農地の情報が公開され、借りたい人が知ることができるようになりました。今まではその自治体の農業委員会に個別に問い合わせないと、農地の情報を手に入れることはできなかったのです。
全国農地ナビが開発されたことで、農地の情報がまとまる、農業従事者や優休農地の減少を食い止めることができる、また農地を集約する、やる気のある新規就農者を増やして日本の農業をより発展していけるのではと期待されています。
全国農地ナビで何ができるの?
全国農地ナビで知ることができる情報
全国農地ナビを使うと、今まで見ることができなかった、下記のような農地情報を地図とともに見ることができます。
- 所在・地番、地目(水田、畑など)、面積
- 農振法や都市計画法の地域区分
- 所有者の農地に関する意向(貸したい、売りたいなど)
- 耕作者ごとに付番した整理番号
- 賃借権等の権利の種類とその存続期間
- 農地中間管理機構の権利取得や転貸の状況
- 遊休農地の判断と措置の実施状況
大きなポイントは、農地の地目、地域区分などの属性以外に、「所有者の農地に関する意向」そして「遊休農地なのかどうか」がわかるという点です。
なかなか現地を見ても、借りれるのかどうかの意向はわかりません。遊休農地、休耕地(耕作されていない農地)は実際にそうなのかどうか、見てわからないケースも多くあります。
このため、インターネット上で、実際に借りることができるのかどうか、ここまでの情報がわかるというのは、本当に素晴らしいサイトだと言えるでしょう。
農地は場所、地番がわかりにくいが、航空写真で正確に把握することができる
農地は謄本や公図を片手にいざ現地に行っても、どこからどこまでがその農地なのか、わかりにくいケースがよくあります。
全国農地ナビを使うと、図のように、地番と該当する農地が航空写真上でしっかりわかります。これは実際に農地を探した身としても、画期的なものと言えます。
農地は周辺環境が様々で、トラクターなどの農機をどう入れるか、またその農地への導線がどのようになっているかは、大変重要な情報です。航空写真から農地が把握できると、導線のチェックが現地に行かずにある程度でき、大変便利です。
逆に農地を売りたい、という方は、下記をご参考にしてみてください。
全国農地ナビの使い方、検索方法を徹底解説!
地図から探す方法
現在就農されていて農地拡大したい農業者の方、またこれから農家になろうとされている新規就農の方は、この方法で探される方が多いかと思います。
地図から探す場合は、図の画面からまず都道府県を選択します。
都道府県を選択すると、下のような画面になります。
ここで、市をクリックすると、下記のより細かい地区の選択に進みます。市の中全体の農地を見たい場合は、[地図]をクリックしてください。
[地図]または、大字の名称をクリックすると、その場所の航空地図の画面になります。
航空図を見ると、見える「青丸」が農地になります。気になる農地があれば、クリックしてみてください。クリックした「青丸」が「赤丸」に色分けされ、地図の下にその農地の詳細情報が表示されます。
条件から探す方法
条件から探す場合は、最初の画面から、「条件を探す」をクリックします。そうすると、下記のような画面が現れます。
全国農地ナビの最大のポイントは、農地の地域区分などの属性以外に、「所有者の農地に関する意向」そして「遊休農地なのかどうか」がわかるという点です。
こちらの検索画面から、「農地に関する意向」また「遊休農地かどうか」で選択し、希望する自治体でその条件を絞った検索をかけることができます。是非とも試していただきたい機能です。
筆ポリゴンとは?
全国農地なびは筆ポリゴンを採用しています。筆ポリゴンとは、農林水産省が実施する耕地面積調査等の母集団情報として、全国の土地を隙間なく200メートル四方の区画に区分し、そのうち耕地が存在する約290万区画について衛星画像等をもとに、筆ごとの形状に沿って作成した農地の区画情報です。
この筆ポリゴンのおかげで、一見するとわかりにくい農地の区画を視覚的に把握することができます。
農地を探す他の方法
全国農地ナビを使って、希望する農地を発見し、その自治体の農業委員会に問い合わせる方法のほかに、下記のように農地を探す方法がありますので、参考してみてください。
直接農家に問い合わせる
新規就農の場合、実際に農家の方から紹介を受けて、新しい農地を貸してもらうケースが一番多いです。農地を探されている方は、指導を受けている農家の方や、各自治体の農業振興課などで、実際の農業者を紹介してもらって、そこで農地の紹介を受けるのも有力な方法です。
各自治体の農地中間管理機構(農地バンク)に問い合わせる
農地中間管理機構とは、農地の、貸し手と借り手を繋げる中間的な受け皿です。平成26年度に全都道府県に設置されました。基本的に全国農地ナビの情報に基づくため、重複するところもありますが、機構に農地を貸したい方、機構から借りたい方は、各都道府県の農地中間管理機構のホームページをご覧ください。
まとめ
全国農地ナビは、今まで見ることができなかった、農地の出し手の情報が公表された画期的なシステムと言えるでしょう。公表される情報も、農地の集積・集約状況や賃借権等の権利の終期、また所有者の意思と、非常に有益な情報です。
農地ナビができた背景には、農は日本のくらしの基盤であり、農地は防災にも役立ちます。リタイアしたい農家の方の農地を国として残していきたい、また農家が組織として農地をまとめて、国の農業を強くしていきたいという想いがあります。
今まで眠っていた情報を掘り起こし、供している農地ナビ。これらの一元化された項目情報を入手して、是非農地の拡大や新規就農に繋げてみては如何でしょうか。
(補足)
農業委員会とは?
農業委員会とは、地方自治法や農地法で規定された日本の地方自治体に置かれる行政委員会のことを指します。主な役割としては、農地の売買や賃貸、転用に対し、その内容が日本の農業の発展に沿うものかどうかをチェック、抑止する機能を担っています。
特に大きな役割としては、農地法第3条で、
「農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない」
と制限されており、農地の売買、賃貸借は、農業委員会の許可が必要になるように規定されていることです。また、農用地を宅地等他の用途に転用する場合も、農地法第4条により、農業委員会の許可が必要になり、日本の農業の重要な役割を担っています。
農振法区分の地域区分とは?
農用地区域
市町村が定める農業振興地域整備計画において指定されています。(農業振興地域の整備に関する法律)
甲種農地
甲種農地とは、第1種農地の条件を満たす農地であって、市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地等、特に良好な営農条件を備えている農地のことを言います。(以下、農地法施行令)
乙種農地
乙種農地とは、以下の3種類の農地のことを指します。
- 第1種農地
10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等、良好な営農条件を備えている農地 - 第2種農地
市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地 - 第3種農地
市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
市街化区域と市街化調整区域〔区域区分〕とは?
市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域のことで、住宅や施設などを積極的に作って活性化を行わない地域のことを言います。
市街化区域とは、市街化を活性化する地域のことで、住宅街や商業施設などがある市街化された区域、またこれらを概ね10年以内で市街化を進める区域のことを言います。
例えば、東京都は、都心に近いところは殆どなく、八王子市、青梅市、あきる野市、町田市のような市町村には市街化調整区域が多く存在しています。
生産緑地とは?
生産緑地地区とは、市街化区域内において農地等を計画的に保全することにより、農林漁業との調整をとりつつ、良好な都市環境の形成を図ることを目的とした都市計画の制度です。
生産緑地に指定されると、税制面での優遇措置として、固定資産税及び都市計画税が宅地並み課税から農地課税に変わるほか、納税猶予を受けることができます。
一方で、所有者は生産緑地を農地として管理することが義務付けられ、公共施設等を設置する場合や、買取申出により行為制限が解除された場合などを除き、農用地以外での土地利用に制限がかかることになります。