農業はまさに経営。農業簿記・確定申告以外にも、生産性のモニタリングから改善と、経営管理が必要な領域はたくさんあります。
昔は大掛かりなソフトをダウンロードして行っていたのが、令和に入った今ではスマートフォン、クラウド技術の発達で、手軽に使える便利な農業管理ソフト(アプリ)がたくさん出てきています。
ここでは、実際に農家として使用した感想も交えながら、各ソフトの内容や特徴を中心に説明していきます。是非あなたにあった最新の農業管理ソフトを見つけてみてください。
使いやすい農業管理系ソフト
かんたん栽培記録
かんたん栽培記録は、作物毎に使える農薬や防除方法を確認しながら、誰でも簡単にスマホだけで栽培記録に必要な情報を記録することができるアプリです。
最大のユニークポイントは、防除情報と連動することで、栽培記録できるだけでなく、その作物に発生しやすい病害虫やおすすめ農薬、また農薬に頼らない防除方法も、簡単にカレンダーから確認することができる点になります。
日本全国の予察情報の中から、自動で、該当する場所、作物の最新情報を、いつでも見ることができます。
また、新しい情報が出たときに、毎朝、LINEで通知を受け取ることもできます。わざわざ防除情報をさがす手間が省けます。
Agrion(アグリオン)
こちらも、農業管理アプリになります。Agrion(アグリオン)は作業員の工数管理などをスマホから行うことができ、そのデータを元に生産管理を細かく行うことができます。また樹木一本一本をQRコードで管理し、果樹の生産力の可視化を行うこともできますし、販路の可視化もできます。
特筆すべきは会計ソフト「freee」と連携しているところです。調べる限り現在(2021.9)「freee」と連携している農業管理ソフトはこのAgrion販売管理だけかと思います。このおかげで工数管理から資材や農機具、作付にかかる原価、収量など売上の要素も合わせて、会計一元化することができます。
agri-note(アグリノート)
agri-note(アグリノート)は、稲作が活発な新潟にある会社ウォーターセルが開発、展開している営農支援ソフトです。ウォーターセルはかなり前から農業管理ソフトを開発、強化していて、元々水稲農家向けだったソフトも、今は汎用的で非常に使いやすいものになっています。
作業の進捗や農薬の検索、航空写真マップを使った視覚的な圃場、生育状況、施肥の管理、そして作業の記録の作りやすさなど、ある程度大規模な農家でも十分使いやすい農業管理アプリです。
また特筆すべきは、一般社団法人日本GAP協会より推奨を受けた、「JGAP/ASIA GAP対応農場管理システム」であるということ、JGAPを検討されている農家の方にお勧めできるソフトです。
AgriHub(アグリハブ)
AgriHub(アグリハブ)は、東京都調布市の元エンジニアの現役農家の方が作られた、スマートフォンで農作業管理できる無料のアプリケーションです。
圃場登録し、作物ごとに栽培管理記録が付けれるのは勿論、便利なのは農薬検索機能です。圃場でスマホから検索できますし、また散布を登録していけば、自動で残り使用回数を教えてくれて大変便利です。
また、アップデートされて希釈量の計算も簡単になり、現場では大変助かっています。パッケージソフトではなく、スマホアプリなので今もどんどん便利な機能が追加されています。
筆者もアグリハブユーザーで、圃場管理に利用させてもらっています。スマホひとつで簡単に入力でき、何よりも病害虫対策の農薬散布時に、持っている農薬を登録しておくと残り可能使用回数や必要な水の量がスマホから分かるのが本当に便利です。収穫時の売上管理機能も強化されてきていて、アップデートも早いのでこれから更なるパワーアップを期待しています。
農業収支計算ソフト
減価償却計算ソフト、農業収支計算ソフト
こちらは、東近江市が提供している無料のエクセルの減価償却計算ソフト、農業収支計算ソフトになります。農業用資産について、エクセルに資産を入力することで減価償却費,農機具の耐用年数が計算でき、また収入や経費を入力することにより、税務上の確定申告に必要な収支内訳書(農業用)を作成することができます。
東近江市のように、HP(ホームページ)で減価償却計算ソフト、農業収支計算ソフトがダウンロードできる自治体は増えてきています。気になる方はお住まいのある自治体のHPをご覧になってみてください。
その他
また、農業管理ソフトではありませんが、農薬を希釈する際に、必要な水量などを簡単に計算してくれるソフトもありますのでご紹介します。
スマートフォンでのアプリ
農薬希釈くん
バイエルクロップサイエンス株式会社が提供する無料の農薬希釈の計算アプリです。
WEB上の計算ツール
農家web 農薬かんたん希釈計算
希釈計算アプリ
農薬の希釈の計算方法や希釈方法(混ぜ方、注意すべき点)については下記に詳しく説明しているので参考にしてみてください。
まとめ
このように、最近ではスマートフォンで簡単に入力、管理できる農業管理ソフトが多く開発されています。無料のものも多く、日々改良されているので、これらを農業経営に役立てるのは非常に有意義です。初めて就農される方も、これらを畑の管理に使う使わないで非常に大きな差が出るかと思います。
また、会計ソフトと連動しているものもありますし、管理の見える化は、日々の改善だけでなく、確定申告時の作業を減らしたり、また経営上の意思決定の際の重要な情報にもなります。令 和の収支計算ソフトも自治体のHPから無料で手に入りますので、ぜひ利用してみてください。
確定申告、農業会計、帳簿については下記に詳しく説明、おすすめの会計ソフトを紹介していますので、ご興味ある方はぜひ参考にしてみてください。