猫が好む猫草は、ペットショップやホームセンター、無印などで簡単に手に入ります。しかし猫が食べた葉は枯れやすく、日持ちもしないので割高に感じること方もいるのではないでしょうか。
猫草は、自宅で種から水耕栽培(水栽培)で簡単に育てることができます。この記事では、猫草の種から始める水耕栽培の方法や、ハイドロカルチャーでの育て方についてわかりやすく説明します。
猫草の水耕栽培について
猫草の基本情報
猫草という品種の植物はありません。猫草とは、猫が好んで食べる草の総称です。猫は葉っぱの先が尖ったイネ科の植物を好んで食べます。
猫草として販売されている種や苗は、燕麦(えん麦・オーツ麦)、小麦、大麦などのイネ科の植物です。えん麦単体や種をブレンドしているものなど、商品によって変わります。栽培は簡単で、種から育てる場合は、猫や犬が食べれるようになるまで10日ほどと短く、だれにでも簡単に育てることができます。
猫が草を食べるのは、毛玉を吐き出すためや、胃がムカムカするとき、ストレス解消ともいわれます。しかし猫は肉食で、野菜を消化する酵素を持っていないといわれているので、猫が食べないからといって、無理に食べさせる必要もありませんし、大量に食べると嘔吐や下痢の原因にもなるので注意してあげましょう。
作物名 | 燕麦・小麦・大麦など |
---|---|
科目 | イネ科 |
発芽適温(地温) | 10℃~20℃ |
生育適温 | 18℃~22℃ |
育てやすさ | 簡単、初心者でもOK |
猫草の水耕栽培
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、野菜だけでなく果物や花など、様々な植物を衛生的簡単に育てることが可能です。プロの農家だけではなく、家庭菜園・園芸でも人気の栽培方法です。
室内やベランダで手軽に栽培ができ、土で部屋が汚れず、虫も発生しにくいので水耕栽培キットなども多く販売されています。
水耕栽培には育てやすい植物と、育てにくい植物がありますが、猫草は種をまいてから10日間ほどで収穫できる、植物の新芽(スプラウト)を育てるので、水耕栽培に向いている植物です。
猫草の水耕栽培は種から始めます。栽培は、スポンジやキッチンペーパーなどを使った方法もありますが、おすすめはスプラウトの容器を使った方法です。100均などで手軽に手に入ります。また土のかわりにハイドロボールを使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。
猫草の水栽培の手順
用意するもの
- 猫草の種
- スプラウト栽培の容器
- アルミホイル、新聞紙など
手順(水耕栽培)
- 手順1種まき
容器の穴が開いている方に種をまきます。種は、容器の底面積の8割程度。種が重ならないように撒きます。種の上から霧吹きで水をかけ湿らせておきます。
下の容器に水をいれ、セットします。 - 手順2遮光して発芽を待つ
暗い場所で、発芽を待ちます。
(段ボールをかぶせたり、アルミホイルや新聞紙を被せたりしてもよいでしょう)
水は毎日霧吹きで、タネが乾かないように水やりをします。 - 手順3育苗する
根が生えてきたら、水替えは毎日行いましょう。夏は雑菌が繁殖しやすいので朝・晩2回変えます。
- 手順4日光に当てる
葉が3cm~5cmほどになったら、日光に当てて育てます。夏場は直射日光に当てると、容器の温度が高くなりすぎるためカーテン越しの窓際で育てます。
- 手順5収穫
草丈が10cm以上になれば、収穫の時期です。そのまま与えるか、カットして食べさせましょう。種まきから10日ほどで食べられるようになります。
猫草 ハイドロカルチャーの手順
猫草は発芽率が7割~8割と少し低めで、嫌光性種子(けんこうせいしゅし)で光が当たると発芽しにくくなるため、直接ハイドロボールに種をまくのもおすすめです。
用意するもの
- ハイドロボール小粒(事前に水洗いをして、乾燥させたもの)
- プラスチックコップ(底に穴がない容器なら空き瓶などでもOK)
手順(ハイドロカルチャー)
- 手順1種まき
容器(プラコップ)に、ハイドロボールを7分目ほど入れます。その上に、種をバラバラと重ならないように撒きます。
上から種が隠れる程度のハイドロボールを被せ、霧吹きで水を与えます。 - 手順2発芽を待つ
日の当たらない場所で、新聞紙などを上からかけ、タネが乾かないように霧吹きで毎日水を与えます。
- 手順3育苗する
発芽がそろうのを待ちましょう。根っこが下に伸びるまでは、水やりは霧吹きのまま、与えます。下に水が溜まりすぎないように注意しましょう。
- 手順4日光に当てる
葉が3cm~5cmほどになったら、日光に当てて育てます。夏場は直射日光に当てると、容器の温度が高くなりすぎるためカーテン越しの窓際で育てます。
根が張ってきたら、水やりをして育てます。容器の5分の1程度水を入れて育てます。 - 手順5収穫
草丈が10cm以上になれば、収穫の時期です。そのまま与えるか、カットして食べさせましょう。種まきから10日ほどで食べられるようになります。
猫草 水耕栽培の育て方
栽培環境
発芽するまでは、日の当たらない暗い場所で管理し、ある程度発芽したら日の当たる風通しの良い場所で管理しましょう。
夏は涼しい場所、冬は暖かい場所で管理しましょう。夏の直射日光は、葉焼けや水温が高くなるリスクがあるため、直射日光はカーテン越しの窓際などで日に当てて育てます。耐寒性は強くないので、冬は室内で管理しましょう。(発芽には日数がかかります)
水やり
水は発芽するまでは、霧吹きで与え、種が乾かないように注意して育てます。乾燥をふせぐために、新聞紙やアルミホイルを被せておくのも効果的です。
発芽したら、水は毎日変えましょう。特に夏場は水が腐りやすいため、できれば朝、晩交換するのがおすすめです。ハイドロカルチャーでは水をやりすぎると根腐れの心配があります。根が伸びるまでは、霧吹きで株の根元に与えます。根が全体に張ってきたら、容器の5分の1程度まで水をいれて育てましょう。
葉先が黄色くなってしまうのは、日光・水・肥料が足りない可能性があります。根が伸びると急激に水を吸い上げるようになるので、水切れには注意が必要です。
肥料
栽培期間の短い猫草は、肥料がなくとも10㎝程度までは十分育つため、肥料を使わなくても育てることができます。肥料を使うと、葉が太くなり成長が早くなります。肥料を使う場合は、発芽して根がのびてから葉が3cm~5cm程度に伸びてから、水の交換のときに水に溶かして使います。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
容器について
容器については、今回はスプラウト栽培の容器を使った方法で説明しましたが、自作することも可能です。水耕栽培では、ペットボトルとスポンジを使った水耕栽培キットなどがよく使われますが、猫草には不向きです。ペットボトルは不安定でスポンジは軽いので、猫が食べるときに倒してしまう恐れがあります。
スプラウトの容器がなければ、豆苗プランターやザルと受け皿が一緒になったものなどを使うとよいでしょう。2つあれば、ローテーションして栽培できます。穴が大きい場合には、ザルの方にキッチンペーパーなどを敷いてから種をまくとよいでしょう。
ハイドロカルチャーであれば、穴の開いていない容器であればなんでもOKです。ジャムの瓶の空き瓶や、豆腐などが入った容器などでもOKです。猫が食べる量に合わせて大きさは調整するとよいでしょう。
ハイドロボールについて
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。
水耕栽培ではハーブなどはペットボトルと水だけで育てる方法が多くありますが、ここではハイドロボールを使った方法を紹介しています。
ハイドロボールは、正式名称をレカトンといい、粘土を高温でやくことにより、発砲されます。この発砲されることで、水や空気を保持することができます。空気を多く含むと、根の成長を促しますし、水の管理も容易になります。
観葉植物の水耕栽培につかわれるハイドロボールですが、ハイドロボールを培地として直接種を植えつけることもできます。100均などでも手軽に購入でき、洗って再利用も可能です。
また地方自治体によって処理する方法は違いますが、燃えないゴミや一般ごみとして捨てることができるところが多く、土のように処理に困ることもありません。またある程度の重さがあるので猫が倒してしまうこともあまりなく、倒してもコロコロと転がるだけなので掃除も簡単です。
まとめ
水耕栽培で猫草を育てるのは、簡単で水と種さえあれば栽培できます。我が家の猫は、食べるのは水菜の方が好きで、猫草は食感が好きなのか、5本ぐらいかじって1本食べるという贅沢食いをします。
猫が食べたところから、腐ってしまうので手で取り除いておくと見た目がよくなります。水耕栽培で猫草を育てることになれたら、自分で食べる野菜やハーブなども育ててみませんか。我が家の猫が大好きな水菜も、再生栽培(リボベジ)の水耕栽培で育てています。
『農家web』ではこのほかにも、スプラウトの容器で育てることができる豆苗、カイワレ大根、ブロッコリースプラウトや、ハイドロボールを使ったレタスや、ベビーリーフなどの野菜、シソやバジルなどのハーブの水耕栽培の記事もたくさんありますよ。