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肥料

自然農法と肥料の関係

自然農法の写真例 肥料

自然農法とは?

自然農法(自然栽培)とは、日本で初めて自然栽培を提唱し実践した岡田茂吉の定義である「農薬や人糞肥料・化学肥料を⼀切使⽤せずに、枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し、⾃然界の⼟壌と同じ⽣命⼒溢れる⼟を作り出し、⾃然の仕組みを上⼿に再現した農産物⽣産⽅法」を起点とした栽培方法です。

この定義を起点として、田畑、水田、周りの環境(虫など)を出来るだけ自然のままに残し、「 不耕起(耕さない)」「不除草(除草しない)」「不施肥(肥料を与えない)」「無農薬(農薬を使用しない)」を特徴とする農法と理解している方もいます。

また、日本の代表的な農法としては、「慣行農法(慣行栽培)」、また昨今広まっている「有機農法(有機栽培)」があります。

慣行農法とは?

「慣行農法」とは、農薬、化成肥料を栽培に応じて相当数投入や散布を行う一般的な農法で殆どの農家の農法はこの農法です。日本では栽培される作物の約99%が慣行農法で栽培、収穫されています。

有機農法とは?


「有機農法」とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農法で、有機農業・有機栽培とも呼ばれています。こちらは、自然農法と慣行農法の中間的なもので、出来るだけ土壌の微生物等を有効活用して、有機質肥料を使って土づくりをするもので、昨今、有機農法を取り入れる農家、新規就農の方は増加しています。

自然農法、慣行農法、有機農法の違いは?

慣行農法、有機農法の二大農法と比較しても、自然農法はかなりユニークな農法であると言えます。それでは、これらの農法の違いはどのようなところにあるのでしょうか?一覧でまとめてみました。

農法肥料の使用農薬の使用安定栽培の難しさ(※)生産量
自然農法不使用不使用非常に難しい非常に少ない
慣行農法使用(化学肥料・有機肥料)使用比較的易しい多い
有機農法使用(有機肥料)使用(極力使用しない)難しい少ない

※慣行農法が簡単という話ではありません。農薬、肥料を適切に使用することで安全で良い作物を作りやすいということです。

自然農法は、コンパニオンプランツをうまく取り入れたりしながら極力コントロールできる範囲を増やして行ないますが、自然に委ねるところがやはり大きく、大規模栽培で行える農家はまだ少ないと言えます。

初めてやってみようかという場合は、周りの影響に配慮しながら、まずは農園の水はけがいい1区画や、家庭菜園規模で始めてみるのがおすすめです

現在の自然農法

自然農法は、「農薬や人糞肥料・化学肥料を⼀切使⽤せずに、枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し、⾃然界の⼟壌と同じ⽣命⼒溢れる⼟を作り出し、作物を育てる⾃然の仕組みを上⼿に再現した農産物⽣産⽅法」を主軸とする農法であり、大地のもと、太陽の光で作物を育てていく露地栽培を基本とするところは共有しています。

しかし現在では、自然農法の農法自体は、様々な種類が派生するに至っています。様々な改良・派生が行われていて、植え付け・育苗・生育時期は周りの表土の草を抜くなど適度に除草を行うことや他の農法と同じく、畝を作る自然農法もあります。肥料についても、落ち葉や生えている雑草を土中にかきこむのは勿論、畑から取れた野菜の野菜くず米ぬか、麦の籾殻、なたね油の搾かす(油かす)などの有機物を土中に戻し分解、循環させる自然農法も存在しています。

現在、種苗法改正が話題になりましたが、種子に関しては、自然農法は、野菜をその土地に合ったものにしていくために、自家採種(自分で種採りすること)が望ましいとされていますが、採種についても様々な考え方が存在しています。

自然農法と肥料

自然農法を「不施肥(肥料を与えない)」と定義すると、そもそも肥料に値するもの自体元肥追肥することは出来ないと考えられます。

しかしながら、「枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元する」という定義から考えると、落ち葉や刈った雑草は勿論、畑から取れた野菜の野菜くずや米ぬか、麦の籾殻、なたね油の搾かす(油かす)を土壌に戻すことは認められますし、より定義を広くし、自然農法は「無農薬・無化学肥料」で作物を栽培し、収穫すると定義している農家の方もいます。

このような定義の場合は、刈り取った草や田んぼのわら、籾殻、米ぬかに加え、腐葉土や発酵した鶏糞堆肥、天然素材の苦土石灰など、その畑に元々なかった有機物も、その田畑の土壌の微生物を活性化させ生命力を強化すると言えます。自然農法をこのように解釈すると、適度な有機質肥料を利用することが可能になります。

また、緑肥用の作物を育ててそれらをすき込むことも良いでしょう。時間はかかりますが、手をかけた分、良い土作りができるでしょう。

まとめ

上記のとおり、自然農法(自然栽培)はとても難しいです。また、実際にできた作物がスーパーで販売されているもののイメージ(綺麗・形が揃っているなど)と違い、戸惑うこともあるかもしれません。まずは実際に自然農法や有機農法で作られた野菜を購入して「自然農法、有機農法でできた野菜」のイメージを持つといいかもしれません。

自然農法は時間はかかりますが、その分自然からの力を存分に受けた作物が収穫できます。興味のある方は少しずつ始めてみるとよいでしょう。

執筆者・監修者情報
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編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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