ナブ乳剤とはどんな除草剤？
ナブ乳剤は50種類以上の作物に使え、古くから農家に使われているイネ科雑草に効果のある除草剤です。
ナブ乳剤の有効成分、性状
有効成分 セトキシジム 20.0%
有効成分のセトキシジムは、シクロヘキサンジオン系（HRACコード１）に分類される除草剤で、イネ科雑草体内の脂肪酸の生合成を阻害することで、スズメノカラビラを除くイネ科雑草を枯殺します。
性状は、淡褐色澄明可乳化液体で、水で希釈して散布します。
ナブ乳剤の特徴
ナブ乳剤の特徴は以下です。
- イネ科雑草（スズメノカタビラを除く）のみに効果のある、選択制除草剤
- 雑草の生育期に散布することで、根まで枯らすことができる浸透移行性を持つ茎葉処理剤
- 50種類以上の作物に登録があるので、幅広い作物で使用が可能
- 土に落ちた薬液は、速やかに分解されるため後作作物への影響が少ない
- 遅効性で、完全に枯死するまで7日～10日程度かかる
- 薬液が乾けば効果はかわらないので、散布後の雨にも強い
多くの作物の生育期に登録があるので、幅広く使えイネ科植物のみに影響する選択制除草剤なので、作物にかかっても枯れる心配がないので、安心して使えます。
ナブ乳剤の効果
適用雑草は、一年生イネ科雑草（スズメノカタビラのぞく）、ススキ、チガヤなどがあります。優れた浸透移行性で、散布後の雨に強く、散布後翌日以降に雑草を刈り取っても再生しにくくなります。
根まで枯らす除草剤といえば、グリホサート系除草剤ですが最近では、グリホサートに抵抗性のある雑草（オオシバやネズミムギ）などに効果のある除草剤としても最近注目されています。
広葉雑草や、カヤツリグサ科を枯らす効果はありません。これらの雑草が発生している場合には、他の除草剤（ラウンドアップやタッチダウンiQなど）を併用して使う必要があります。
ナブ乳剤の使い方
散布時期
雑草の生育期に散布します。適用作物、雑草により使用時期は異なりますので、ラベルの適用表をよくみてそれぞれの時期に散布してください。以下は適用表から抜粋しています。散布時期を逃さないように散布しましょう。種子を形成してしまうと、タネが拡散してしまう恐れもあります。開花してしまったら除草剤を散布後、2～3日たってから刈り取って処分するとよいでしょう。
| 適用作物 | 適用雑草 | 散布時期 |
|---|---|---|
| 樹木等 | 一年生イネ科雑草 （スズメノカラビラをのぞく） | 雑草生育期イネ科雑草3～5葉期 |
| 樹木等 | ススキ | 雑草生育期（草丈４０ｃｍ） |
| 樹木等 | チガヤ | 雑草生育期（草丈４０ｃｍ） |
希釈倍率
ナブ乳剤は、水で希釈して使います。
ラベルの適用表には、作物や適用場所ごとに倍率等が決まっています。自分の使う場所や雑草にに合わせて使いましょう。除草剤には、希釈倍率の記載がなく、代わりに薬量と希釈水量が書いてあります。これは作物への薬害を防ぐために、面積あたりの薬剤使用量が重要だからです。希釈倍率を求めるのは簡単で、希釈水量から薬剤使用量を割るだけです。
| 適用作物 | 適用雑草 | 薬剤使用量 | 希釈水量（通常散布） | 希釈倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 樹木等 | 一年生イネ科雑草 （スズメノカラビラをのぞく） | 150～400mL/10a | 100〜150L/10a | 250倍～1000倍 |
| 樹木等 | ススキ | 500～1000mL/10a | 150〜200L/10a | 150倍～400倍 |
| 樹木等 | チガヤ | 500～1000mL/10a | 150〜200L/10a | 150倍～400倍 |
除草剤の希釈については、こちらの記事も参考にしてください。
散布のポイント
茎葉処理剤ですので、枯らしたい雑草の茎や葉に散布するだけです。散布もれのないようしっかり葉茎に散布しましょう。選択制の除草剤ですので、イネ科以外で適用作物に登録がある場合には「全面散布」も可能です。
除草剤の希釈倍率は、一番高い濃度で散布するのが一般的です。雑草が生えそろってから、イネ科雑草3葉～5葉期に散布するのが効果的です。雑草が大きくなると除草剤が効かないだけでなく、作物の生育に影響がでます。
ナブ乳剤 価格・適用表
ナブ乳剤は、大きめのホームセンターやインターネットでも手軽に買える除草剤です。500mlで3,000円程度で購入できます。グリホサート系などと比べ希釈倍率が大きいので500mlでも十分使えます。広葉雑草や、カヤツリグサ科が生えている場合は、農耕地で使えるラウンドアップやタッチダウンiQなどのグリホサート系の除草剤と併用するとよいでしょう。適用作物を確認してから使いましょう。
ナブ乳剤の適用表はこちら
