草刈機(刈払機)の性能やブレード(刃)は年々進化しています。ここでは、草刈機(刈払機)の刃物の部分である、ブレード(刃)の種類と特徴、種類毎のおすすめ替刃、そして刃のメンテナンスや交換、取り付け方法についても説明していきます。
草刈機刃(替刃)の種類と特徴
草刈機(刈払機)のブレード(刃)は、様々な種類があり、大きく分けると、「金属刃」「チップソー」「ナイロンコードカッター」「樹脂刃」があります。
ここでは、それぞれの特徴とおすすめブレード(刃)を紹介します。
金属刃
金属刃とは?
金属刃は、その名の通り、硬い金属で出来た刃で、チップソーが出てくるまでは、草刈機のブレードとして最もポピュラーでした。草刈機用の金属刃は、丸鋸と呼ばれるノコギリ状のものおおよそ2枚刃から数十枚刃という刃の数が違うものになります。
刃が多ければ多いほど、硬い草や笹を刈りやすくなります。丸鋸は雑木、小枝、竹を切ったり藪の除草に使われます。
メリットはなんといっても、金物ならではの耐久性。研磨、目立てで長く使えて経済的です。デメリットは、重いこと、になります。肩掛け草刈機での作業は腕への負担が大きく、長時間に及ぶため、重さを許容できるかどうかが、金属刃を使うかどうかの大きな判断材料になります。
替刃におすすめの厳選金属刃
チップソー
チップソーとは?
チップソーとは、鋼製の丸、円盤型の鋸(ノコギリ)の刃先部分に超鋼のチップをロウで接着し研磨したものです。小さいチップ(英語でtip)のノコギリ(英語でsaw)が付いていることから、「チップ ソー」と呼んでいます。草刈機(刈払機)がこのチップソーを高速回転させることで、雑草を刈り取る仕組みです。
チップソーの特徴と選び方
チップソーは、木工用や金工用まで含めると、本当にたくさんの種類があります。ホームセンターの資材、園芸コーナーに行っても、どれを選べばいいか迷ってしまうかもしれません。草刈り用は、そのチップソーに「草刈り用」と記載されています。ここでは、草刈り用チップソーの選ぶポイントを説明します。
チップソーは金属製で重いため、長時間作業の場合は、出来るだけ軽いものを選ぶ
チップソーは重いです。数あるチップソーを使う作業の中で、草刈りは最も長時間作業になります。このため、できるだけチップソーを軽くするために、チップソーに穴が多数開いてたり、メッシュになっていたりと軽量化されているものがあります。草刈り範囲が広い方や腕力に自信がない方は、出来るだけ軽量のチップソーを選ぶと良いでしょう。
刈る雑草によって、適切な切れ味のものを、そうでない場合は、耐久性のあるものを選ぶ
普通の雑草を刈る場合は問題ないですが、刈る対象に、(タケ)や(ササ)、また榎(エノキ)などの雑木がある場合、また林業での山林の下刈は、チップが多い、切れ味重視の草刈チップソーを選ぶと良いでしょう。チップが多ければ多いほど、当然切れ味は増します。
チップソーのチップが飛びやすいかどうかが耐久性に直結します。出来るだけ本体とチップが接触している面積が多いチップソーを選びましょう。例えば、チップが斜めに埋め込まれている(斜埋込)、またチップの根元に埋め込んで設置面を増やしているチップソーがおすすめです。耐久性のある草刈チップソーを選ぶと、結果としてコストパフォーマンスに優れます。
使用する草刈機(刈払機)に合った外径のチップソーを選ぶ。同じメーカーのチップソーが無難
草刈機(刈払機)本体の適用範囲に合ったチップソーを使うのが原則です。お使いのエンジン式、電動式草刈機(刈払機)の適用外径を必ずチェックし、適用内の外径のチップソーを選んでください。
目安としては、排気量25cc(mL)未満の刈払機には、外径230mm以下のチップソーを、25cc以上の刈払機には、外径230mm以上、例えば外径255mmのチップソーが可能です。
適用外の大きいものを選ぶとパワーが足りず、思ったような効果は出なくなりますし、故障の原因になります。
替刃におすすめの厳選チップソー
概要 | ||||
---|---|---|---|---|
外径(mm) | 230 | 255 | 230/255 | 255 |
チップ数 | 36 | 40 | 36/40 | 40 |
目安価格(円・1枚) | 800円 | 1,700円 | 1,250円 | 1,250円 |
ナイロンコードカッター
ナイロンコード カッターとは?
ナイロンコードカッターとは、草刈機(刈払機)に取り付ける刃の部分(刈刃)が、テニスラケットのガットのような、紐式のナイロンコードになっている刈刃のものを指します。ナイロンコードを高速回転させることで、雑草を削り切り、刈り込む仕組みです。
ナイロンコードカッターの特徴と選び方
キックバックが起こりにくい!紐式なので刃の破損がない!
農作業の機械による事故の原因、第1位は実は、草刈り機(刈払い機)によるものです。草刈機は非常に使用頻度が多いこと、また今でもよく使われるのは チップソー という金属の刃で、高速の金属刃を振り回して草を刈るわけですから、当然危ない作業と言えます。そして、この金属の刃が障害物に当たった時にキックバックという現象が起こり、大事故になるケースが多発しています。
ここで チップソー に変わる草刈り機の刃として開発されたのがナイロンコードカッターです。ナイロンコードは紐状なので、障害物に当たっても金属刃に比べて衝撃は少なく、キックバックが起こりにくいという特性があります。
また、草刈機(刈払機)の事故の中でも、金属刃の破損によって、顔に金属破片が当たって大怪我することも多いのですが、ナイロンコードでは金属刃でないため、この危険性がありません。
つまり、ナイロンコードはキックバック、金属破片の破損による飛散が起こりにくく、岩間や障害物のある場所での草刈りに優れている、安全性が高い刃と言えます。
小石や雑草が飛び散りやすいので、他の刈刃以上に、飛散防護が必要
ナイロンコードカッターは、紐状のコードを高速回転させることで雑草を削り取り、刈り込む仕組みです。このため、金属刃よりも土の小石や雑草を巻き込み、コードで弾き飛ばします。
なので、ナイロンコードを使用する場合は、草刈機(刈払機)にナイロンコード用の飛散防止カバーや、また従来以上にヘルメット、保護メガネ(ゴーグル)、作業服は、小石が飛び散ってすごい速さで飛んでくることを前提にして、頑丈なものをしっかり装着するようにしてください。
ナイロンコードカッターは草刈機(刈払機)の馬力が金属刃以上に必要
ナイロンコードカッターは雑草に当たって引きちぎることで刈り取る仕組みなので、スパッと切れる金属刃と違って、パワーが要ります。また、この仕組みから、高い回転数を維持しないと草を引きちぎり続けることができず、回転数が落ちると絡まってしまいます。このため、金属刃よりも高い回転数を維持し続けるパワーが必要になるのです。
また、後述しますが、種類によっては外形が金属刃より大きく、重いものも多いのです。重いと草刈機(刈払機)に更にパワーが必要になります。
以上から、ナイロンコードカッターは金属刃よりも、パワーが必要になってきます。ナイロンコードに取り替えるときは、その草刈機(刈払機)が対応可能なのか、しっかり確認するようにしましょう。
替刃におすすめの厳選ナイロンコード
概要 | |||||
---|---|---|---|---|---|
種類 | 自動繰り出し式 (フルオートナイロンカッター) | 自動繰り出し式 (フルオートナイロンカッター) | 半自動繰り出し式 (タップ式) | 手動式 | 差し込み式 |
樹脂刃(プラスチック)
樹脂刃とは?
樹脂刃とは、樹脂でできている小型ナイフのような形状のブレード(刃)で、樹脂の刃がリールを中心に高速で回転することで草を切断する仕組みです。マキタから開発、販売されている樹脂刃が有名です。
樹脂刃の特徴
ナイフの形状からナイロンコードよりも大きい雑草を切ることが出来る
樹脂刃はナイフの形状をしていることからナイロンコードよりも大きく生長した雑草の茎を切ることができます。
円盤状ではなくナイフ形状のため、硬いものにぶつかった時の反動が小さい
小型ナイフがクルクルと高速回転する仕組みなので、石やコンクリート、生垣などの障害物に当たっても当たった瞬間に引っ込むため、本体に反動がそんなに伝わりません。このためキックバックも起こりにくいですし、際刈りも安心して行うことができます。
チップソーに比べ、かなり静か
樹脂刃の草刈機(刈払機)はとにかく動作音が静かです。このため、自宅の庭など、音が気になる場所での草刈り作業にも、安心して使用することが出来ます。
代表的なおすすめ樹脂刃
刃のメンテナンス・交換、取り付け方法について
草刈機の刃は、使用によって切れ味が落ちてきます。しかし、しっかりメンテナンスすることで思った以上に長持ちし、作業効率を高めることができます。
メンテナンス方法について
回転軸を掃除して、グリスを充填する
意外とやられていない、回転軸の掃除。草刈機の回転軸の部分は、思った以上にゴミが溜まり、草刈機に負担を与えています。
刈り刃を固定しているネジを外し、刃押さえ金具や刃受け具を外したら、中に絡まっているゴミや草を針金等で取り除いてみてください。(刈り刃を固定しているネジは逆さネジで、時計回りに回すと外れるので、注意してください)
その後、ギアケースにあるグリス給油口のボルトを外して、草刈機(刈払機)専用のグリスを注入してください。刃が以前よりも軽く回るようになるはずです。
目立て・研磨で切れ味を戻す (金属刃・チップソー)
金属刃、チップソーは目立て(研磨)で切れ味が蘇ります。金属刃は、通常通り、グラインダーで研ぐことで切れ味が蘇ります。
目立てで切れ味が蘇るのは、チップソーも同じです。しかし、チップソーの目立てはコツが要ります。
チップは思った以上にすり減りやすいので、グラインダーの研ぎ石をチップの両脇(逃げ面、すくい麺)に1秒ほど当てるようにして、削り過ぎにならないよう注意してください。
交換、取り付け方法について
交換時期の目安
金属刃は目立てしても切れ味が使用に耐えれなくなった時、チップソーはチップがかなり取れてしまっている状態で、機械の振動が以前よりも伝わりやすくなり、切れ味も戻らなくなった時が交換の目安です。
ナイロンコードと樹脂刃は消耗品に近く、ナイロンコード はそもそも摩耗で長さが取れなくなった時、樹脂刃は拭いてメンテナンスしても雑草が絡まるようになって刈りにくくなった時が交換時期の目安になります。
取り付け方法について
刃の取り付け方法については、御使用の草刈り機の説明書と、替刃の説明書をしっかり確認するようにしてください。
よくある問題が、取り付けはできるんだけど、草刈機のパワーと刃が合わないケースです。22ccなのに、外径 255mmのチップソーを選んだり、ナイロンコード を取り付けて、パワー不足で上手く刈り取れない、などです。
草刈機とアンバランスな刃の使用は、故障の原因になるので、しっかり確認するようにしてください!
(よくあるトラブル)刃が回らない時はどうしたらいいの?
ガソリン、バッテリーは十分でスイッチは付くのに突然刃が回らなくなるケースがまま起こります。
このようなケースは、抑え金具、工具、ボルトなどの部品、パーツが緩んで、または金具の摩耗できちんと動かない理由がほとんどです。メンテナンスの時と同様に、刈り刃を固定しているネジを外し、刃押さえ金具や刃受け具を外して、再度取り付けてみてください。中に絡まっているゴミや草がある場合は、取り除いておくといいでしょう。部材の摩耗による場合は、該当部品を交換してください。
修理したい時
刃は消耗品なので、メンテナンスしても十分な切れ味を確保できなくなって場合は、替刃を買い替えることになります。草刈機自体の修理に関しては、メーカーによって、販売店なのか、メーカーの支店や直接問い合わせをするのか変わってきます。
具体的な農機具メーカーの修理方法については、下記にそれぞれ記載していますので、ご参考ください。
その他 アタッチメント
また、既存の草刈り機(刈払い機)に装着できる、ジズライザーに代表されるアタッチメントも多く存在しています。ここでは、農作業に大変役立つアタッチメントを厳選して3点紹介します。
スーパーカルマー pro(プロ) (アイデック)
スーパーカルマーProは、上下刃逆回転のハサミ刈り方式で高い刈取性能を維持しつつ、低速回転での刈り払いができるため、飛散事故や切創事故が起こるのを減らすことができ、より安全に草刈り作業をすることができます。
うね草取りまー (アイデック)
うね草取りまーは、畑の畝の間の草丈がまだそんなに高くない雑草を根本から粉砕除去するアタッチメントです。従来の草刈り機と異なり、雑草を根元から粉砕するため雑草を集める手間が省ける優れものです。
ウィードシェーバー (アイデック)
ウィードシェーバーは畑の作物の株間や畝間、グランドなどに発生する短い雑草を土ごと削り取ることができるアタッチメントです。低速回転で安全かつ、ローターが石に強いので、砂利場でも草削りができます。
まとめ
農機具で刃を使うものは、草刈り機の他に、チェーンソー、ヘッジトリマー、芝生を刈る芝刈機、また大型のスパイダーモア、ハンマーナイフモアのような自走式、乗用式草刈機などたくさんあります。刃は農具の中でもメンテナンスが大事です。ベストな替刃を選んでうまくメンテナンスをして、日々の作業が少しでも楽になれば幸いです。