草刈り作業は大変疲れる作業ですが、草刈機(刈払機)があると、作業が非常に楽になります。では、草刈機にはどんな種類があるのでしょうか?用途に合わせてどんなものを選べばよいのかも踏まえて、解説していきます。
草刈機の種類
草刈機といっても、用途に合わせて下記のように、非常に多くの種類があります。
この中でもメジャーなのが、下記のような、刈払機という小型で、両手で持って草を刈る機械です。
以下では、刈払機を中心に、それぞれの特徴と合う用途について説明していきます。
刈払機(電動、エンジン式)
刈払機は、機械を肩掛け、もしくは背負い、両手でハンドルを握って、チップソーやナイロンコードカッターで生えている雑草を刈る機械です。
電動式とエンジン式
刈払機は動力がガソリンか電力かどうかで「エンジン式」と「電動式」に分かれます。
エンジン式草刈機(刈払機)とは、無鉛ガソリン等の燃料で草刈り機エンジンを起動させ草を刈る機械です。
電動草刈機(刈払機)とは、電気の力で草刈り機エンジンを起動させ草を刈る機械です。コンセントの電源を使用するタイプと、リチウムイオンバッテリーを使用した充電式のコードレスタイプのものがあります。
それぞれに、メリット、デメリットがあります。簡単にまとめるとこのようになります。
電動式刈払機 | エンジン式刈払機 | |
メリット | 作業音が静か | パワフルなものが多いので、さまざまな刃を使うことができる 長い時間作業できる |
デメリット | 1バッテリーの作業時間が短い エンジン式に比べるとパワーが劣りやすい | ガソリンやオイルを混合した化石燃料を使用するため排気ガスを出す(2サイクルエンジンと4サイクルエンジンで混合の必要性が異なる) 作業音がうるさい |
肩掛式と背負い式
エンジン部分を肩掛けするのか、背負うのかでタイプが分かれます。背負式は肩の負担が少なく、女性の方にも使いやすいのが特長です。
刈払機の刃
刈払機の刃(ブレードとも呼ばれます)は様々な種類があり、大きく分けると、「金属刃」「チップソー」「ナイロンコードカッター」「樹脂刃」があります。それぞれに以下のような特徴があります。
刃 | 金属刃 | チップソー | ナイロンコードカッター | 樹脂刃 |
---|---|---|---|---|
概要 | 硬い金属で出来た刃。ノコギリ状の2枚刃から数十枚刃という刃の数のものがある。 | 鋼製の丸、円盤型の鋸(ノコギリ)の刃先部分に超鋼のチップをロウで接着し研磨したもの。 | 刃の部分が、テニスラケットのガットのような、紐式のナイロンコードになっている刈刃で、高速回転させることで、雑草を削り切り、刈り込むもの。 | 樹脂でできている小型ナイフのような形状のブレード(刃)で、リールを中心に高速で回転することで草を切断するもの。 |
特徴 | 耐久性が高く、研磨、目立てと研ぐことで長く使えて経済的。 ただし重い。 | 切れ味がよく、葉茎が太い雑草もバシバシ刈り取れる。 が、危険性も高まるため、取扱に気をつける必要がある。 | キックバック、金属破片の破損による飛散が起こりにくく、岩間や障害物のある場所での草刈りに優れていて、安全性が高い。このため低い 雑木・山林の下刈り、あぜ道などに向く。 が、小石や枝、雑草が飛び散りやすいので、他の刈刃以上に、飛散防護が必要、また刈払機のパワーがチップソーよりも必要になる。 | 安全で静か。 が、耐久性、切れ味はチップソーに劣る。 |
代表的な商品 |
詳しくは下記を参考にしてみてください。
刈払機の用途とおすすめの刈払機
家の庭など、静かに草刈り作業したい場合
この場合は電動式一択です。コンセントがある場合は、下記がおすすめです。
コンセントがない場合は、下記がパワフルで万能でおすすめです。草が絡まるのを逆回転して取り除いたり、防じん・防滴機能の「アプト」搭載で、刃の構造はスイングバックタイプのため、障害物に接触しても自然と刃がスイングバックするので、キックバックが起こりにくくなっています。筆者も自宅用に使っています。
広い空き地や圃場などで使用したい場合
広い場所の草刈りは、長時間パワフルに使用できるエンジン式をおすすめします。
下記は、ハスクバーナ ゼノアの肩掛ループハンドル刈払機で、ストラト・チャージドと呼ばれる、2011年排ガス規制をクリアした、環境に対応した燃費向上が著しい「ストラト・チャージドエンジン」を搭載、振動・振幅を吸収するダンパシャフトを搭載し、振動をかなり低減したモデルで、本当に多くの農家、園芸作業者の方に使われている、ハズレのない商品です。
こちらは肩掛、新型の丸山エンジンを搭載した、環境に対応した燃費向上が素晴らしい草刈機(刈払機)です。そしてこちらの製品も、振動・振幅を吸収する低振動の工夫がなされています。
よりパワーを求め、力に自信がある人には、大型径のチップソーなどが使える25cc以上の肩掛け式の刈払機をおすすめします。このレベルの馬力があれば、ナイロンコードも扱いやすく、平地や傾斜地、際刈りなど、様々な用途に仕える万能の刈払機になります。
自走式草刈機(モアー)
自走式草刈機とは手押し式草刈機とも呼ばれ、ハンドルに力を入れることなく前に自走して草を刈る機械です。振動があるのは刈払機と同じですが、重さを感じない分、刈払機よりも約1/2軽労化し、腰への負担もなくなり、長時間の作業を可能にします。
イメージとしてはミニ耕運機を思い浮かべるといいでしょう。
自走式草刈機にベストな用途
30a(3000㎡)を超え、広範囲に渡る場合は、人の工数を掛けれる場合は、上記の刈払機でも行うことが可能ですが、広範囲の草刈りができる、下記のような自走式草刈機をおすすめします。
また、畦畔などの斜面の雑草を刈る場合も刈払機で行うのは危険が伴います。このような場合は下記のような斜面用の自走式草刈機がおすすめです。
乗用草刈機
乗用草刈機とはその名の通り、乗ったまま草を刈ることが出来る四輪車のことを指します。メリットはなんといっても乗ったままで草を刈ることが出来ること。刈幅も広く、休耕田や果樹園などの広い敷地の草刈りに絶大な効果をもたらします。
代表的な乗用草刈機には下記のようなものがあります。
オーレック(OREC)ラビットモアー(RABBIT MOWER)
オーレックは、ラビットモアー(RABBIT MOWER)というブランド名で、多くの乗用草刈機を展開しています。このラビットモアは、日本の乗用草刈機の中心的な役割を果たしていて、イセキ (ヰセキ、アグリップ)や共立(KIORITZ)(やまびこ)といった、日本を代表する農機メーカーにOEM供給しています。
イセキ (ISEKI)(ヰセキ、アグリップ)や共立(KIORITZ)(やまびこ)の、カラーリングが異なる、OEM供給されたラビットモアーもあります。(性能は同じです)
筑水キャニコム(canycom) まさおシリーズ サンサン マサオ サン
筑水キャニコムは福岡県に本社を置く農業機械メーカーで、特に乗用式の草刈機、運搬車が有名です。
本製品は、筑水キャニコムの乗用草刈機のブランド「まさお」シリーズの中でも、太陽光パネルの下などもしっかり刈ることが出来るように、刈刃がスライドするようになっていて効率的な草刈りができるように工夫されています。
アテックス(ATEX) 刈馬王 R9820A
アテックスは愛媛県に本社を置く農業機械メーカーで、特に乗用式の草刈機や電動車いす、運搬車、ハンマーナイフモアが有名です。
本製品は、アテックスが展開する刈馬王の中でもコストパフォーマンスに優れたスタンダードモデルで、刈馬王はカワサキのエンジンを搭載し、水田での畦や果樹園で小回りが効くように、他の製品よりも横幅が小さくなっています。また、馬力よりも小さめの刈幅設定のため、草丈や雑草の硬さに関係なく、バシバシ刈ることができます。
この他、丸山製作所やハスクバーナ ゼノア、フジイなどから乗用草刈機(ゼノアの名称はハンマー ナイフモア)が販売されています。
自動草刈機、ラジコン草刈機
自動草刈機は、バッテリー駆動で一定の範囲の草刈りを自動で行ってくれるロボットです。お掃除ロボット ルンバをイメージするとわかりやすいかと思います。メリットは大きく3点です。
- 自力で草を刈る必要がなくなり、草刈り作業から完全に解放されます。
- 電動のため静かで、周囲や時間帯も気にせず、稼働できます。
- ロボットが平らな形状で自動運転のため、太陽光パネルの下も難なく草刈りしてくれます。
和同産業 ロボモア MR-300 KRONOSが代表的な製品になります。
ラジコン草刈機はその名の通り、リモコンで日陰等から遠隔地操作できる草刈機です。こちらも自動草刈機と同様に、人や自走式草刈機、乗用草刈機が入りにくい場所の草刈りがしやすく、日陰で作業することができます。
代表的な製品としては、クボタ のラジコン草刈機 ARC-500、ハスクバーナ ゼノアのラジコン草刈機 WM510RC、アテックスのラジコン草刈機 神刈 RJ700、スパイダー(spider) Pro ILD02があります。
ある程度の範囲を自動で草刈りしたい、また、太陽光パネルの下に繁茂する雑草をなんとかしたい場合にはぴったりです。
草刈り時の服装
刈払機などを使用しての草刈作業は非常に危険です。ヘルメット、ゴーグル等下記を参考にしてしっかり準備して行うようにしてください。
草刈機のメンテナンス
刈払機を含む草刈機は故障、摩耗しやすい機械で、使用後のメンテナンス、手入れ、保管が重要です。メンテナンスは下記が参考になります。
その他
また、草刈機の取扱いには講習があります。安全な作業のため、積極的に利用しましょう。