草刈機(刈払機)は、刃を左右に振って草を刈り取ります。そのため刈刃に石などの障害物が当たって、思わぬ方向に飛ぶ石ハネが起こってしまうことがあります。
小石でも勢いよく飛べば自分や周りの人へのケガにもつながりますし、周りに車などがあれば、傷がついたり、車の窓や家の窓にヒビが入ってしまったということもあります。この記事では、草刈機の石が飛ばないようにするための、刈刃や使い方、対策などについて説明します。
刈刃(ブレード)について
草刈機の刈刃には、チップソー・ナイロンコード・金属刃、樹脂刃などがあります。刈刃によって、石が飛びやすい刈刃があるのでしょうか。
2017年に公表した国民生活センターが刈刃ごとの飛散物についてテストした結果があります。
テストは、金属刃(4枚刃・8枚刃)・チップソー・ナイロンコードカッターに20㎜~30㎜の小石を当てて飛散距離及び飛散速度を調べるというもの。結果は金属刃が飛散距離・速度が速く自動車の窓ガラスを割るほどの威力があった。ナイロンコードは飛散距離は短く、速度も遅かったが周りの砂も巻き込んで飛んだ。
金属刃は、刃の間に石が入り込み、刃の回転により遠くまで飛んだといえます。チップソーは石の大きさがチップの間に入らなかったため、このテストでは飛ばなかったようですが大きさによっては、金属刃と同様に、威力のある石が飛ぶこともあります。また石にあたると刃が欠けて、一緒に飛ぶというリスクもあります。
国民生活センターは、安全性の高いナイロンコードカッターの使用をすすめています。しかしナイロンコードカッターは距離や威力はあまりないかもしれないですが、小石や枝などの障害物はかなり飛びやすいです。飛散防止対策が必須です。
参照:国民生活センターHP 刈払機(草刈機)の使用中の事故にご注意ください!
それぞれの刈刃の特徴については下記のとおりです。
チップソー
チップソーは、鋼製の丸、円盤型の鋸(ノコギリ)の刃先部分に超鋼のチップをロウで接着し研磨したもので、刈刃の主力といえます。
切れ味がよく、太い葉茎もバシバシ刈り取りできます。しかし刃が障害物にあたるとキックバックという現象や、刃が欠けて飛んでくるなど危険性も高いので取り扱いには注意が必要です。
ナイロンコード
刃の部分が、テニスラケットのガットのような、紐式のナイロンコードになっている刈刃で、高速回転させることで、雑草を削り切り、刈り込むものです。
刃ではなくナイロンの紐のため、障害物にあたっても刃が飛んだり、キックバックもおきません。安全性が高く初心者におすすめの刃です。ただし、コードが高速回転するため小石や、枝などが飛び散りやすいので飛散防止が必要です。またチップソーよりパワーが必要です。
金属刃
硬い金属で出来た刃。ノコギリ状の2枚刃から8枚刃などがあります。チップソーが出てくる前はこちらが主流で、耐久性が強く研磨して長く使うことができ経済的で、農家の方には根強い人気があります。
かなり重く、キックバックの危険もあります。石が飛んだ時の威力も大きいので取り扱いに慣れているプロ向けといえます。
樹脂刃
樹脂でできている小型ナイフのような形状のブレード(刃)で、リールを中心に高速で回転することで草を切断するもの。
樹脂刃は、障害物に当たっても金属刃に比べて、当たると樹脂刃が引っ込むために衝撃は少なく、ナイロンコードカッターと同じく、キックバックが起こりにくいという特性があります。また、チップソーやナイロンコードカッターと比べて、使用時の騒音はかなり小さいです。音が小さいことは、樹脂刃の最大の特徴だと思います。
国民生活センターのテストでは樹脂刃のテストはありませんが、障害物に当ると刃が引っ込むという特性上、ナイロンコードと同様に安全といえるでしょう。
ナイロンコードカッターの安全性を持ちつつも、静音性に優れ、ある程度の切断力も期待できる、ナイロンコードカッターとチップソーのハイブリッドのようなブレード(刃)であるといえます。
しかし摩耗が早いことや、切れ味が落ちやすいことなどのデメリットもあります。また樹脂刃はそれほど普及していないため、種類があまりありません。樹脂刃を使いたいならマキタの草刈機がおすすめです。
石が飛ばない草刈機の使い方
事前準備
まずは、草刈をする場所の点検をしましょう。
どんな刈刃をつかっても、石がなければ飛ぶことはないのです。ですので最初に取り除ける石は取り除きます。その他空き缶やごみも取り除き、小動物などがいないかも点検しておきます。取り除けないものは、しるしをつけておきましょう。
草刈りの使い方のポイント
背の高い草は、複数回に分けて切る
事前に草刈りをする場所を確認しても、草が生い茂っている場所では、草で障害物が見えないということもあります。背が高い草は、複数回に分けてきりましょう。生い茂った草は、一度25㎝ほどの高さできりそのあと根の近い部分を刈り取ると、草刈機への負担も減り草が枯れやすくなります。特にナイロンコードは高い草が苦手ですので、上部から粉砕していくとよいでしょう。
高刈り
石の飛散防止には、草の根元から5㎝ほど上をカットする「高刈り」もおすすめです。
草の根元ギリギリをカットしようとすると、小石などの障害物に当りやすくなります。石が飛ぶ以外にも、キックバックの危険もあります。刈払機は少し浮かせて使うのがポイントです。根元から5㎝ほど残して草刈りをしても、草の生長速度にそれほど変わりはありません。また広葉雑草が広がりイネ科雑草が減るというメリットもあります。
高刈りにはジズライザーがおすすめです。これをつけることで刃の先端を地面から少し浮かして作業する必要がなく、地面に付けて滑らせるように動かすことができるので、圧倒的に楽になり、安定した高さで草を刈ることができます。
飛び石に特化した刈刃
飛び石を防止することに特化した刈刃もあります。エンジン式刈払機のアタッチメントとしてつける刃で、「上下刃逆回転ハサミ式」の刈刃です。低回転で、上下の刃が逆回転することで、草を挟み込んで刈ります。低速で回転するため、飛び石が少ないので安心です。ハサミ式なので挟めない草は枯れません。また重量がありますのでそちらも考慮して使いましょう。
商品としては、アイデックスの「スーパーカルマー」や、ニシマキの「草刈丸」、三陽金属の「無双ツインブレード」などがあります。
スーパーカルマー | 草刈丸 | 無双ツインブレード |
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対策方法
飛散防止カバーは必ず取り付ける
草刈機(刈払機)には、大抵「飛散防止カバー」がついています。飛散物からの防護にはとても重要です。たまに取り付けをせずに使っている人もいますが、かならず正しく取り付けましょう。破損したり、草刈機についていない場合には、さまざまな草刈機(刈払機)に取り付けられるものも、あるのでそちらを使いましょう。
純正品以外にも、幅の広いものや、地面との接触はやわらかいすだれ状のシートになっているものなどもあります。
飛散防止ネットの設置
駐車場や歩道の近くなどは、気をつけていても石が飛んでケガをさせたり、車を傷つけてしまうおそれがある場所では、物理的に飛散事故を防止するネットの設置がおすすめです。
人が支えて使うものや、自立式のものもあります。大抵は小さくなって折りたためるものがほとんどです。
その他の安全対策
飛び石以外にも、草刈機は正しく使わないと思わぬ事故につながります。説明書をよみ正しく使いましょう。またケガをしないためには、服装も大切です。安全対策については詳しい記事がありますので、そちらも参考にしてください