金のなる木は、葉挿しや挿し木で簡単に増えるので、ダイソーなどの100均でもよく見かけます。ここでは金のなる木(カネノナルキ)の葉挿しや挿し木の水栽培での増やし方や、ハイドロカルチャーへの植え替え、育て方についてわかりやすく説明します。
金のなる木の基礎知識 水栽培を始める時期
金のなる木の特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
金の生る木は、和名をフチベニベンケイ、花月(カゲツ)というのですが別名のカネノナルキの方が有名です。南アフリカ原産の多肉植物。多肉植物は生育期により「春秋型」、「夏型」「冬型」に分かれますが、クラッスラ属のカネノナルキは、夏に成長する「夏型」です。夏型で暑さには強いですが、寒さが苦手です。乾燥を好み多湿になると根が腐りやすくなります。なるべく乾燥気味に育てる必要があります。
葉挿しや挿し木で簡単に増やせ、丈夫で育てやすいので初心者の人にもおすすめです。大株にならないと花は咲きません。花言葉にはお金に関するものが多くプレゼントとしても人気があります。
学名 | Crassula ovata |
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属名 | ベンケイソウ科 クラッスラ属 |
原産地 | 南アフリカ |
樹高 | 1m~3m |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「幸運を招く」「一攫千金」「富」 |
水栽培を始める時期
葉っぱや、茎からも簡単に増やせることができる金のなる木ですが、時期はいつがいいのでしょうか。適期は4月~10月と寒い時期でなければいつでも行えます。最近の日本の夏は暑すぎるので、真夏は水温が高くなりすぎることがあるので、水差しは真夏は避けたほうがよいでしょう。
小さな苗を、そのままハイドロカルチャーなどに植え替えるときは、夏を避けた生育期3月~6月、9月~10月上旬がおすすめです。
水栽培(水耕栽培)・ハイドロカルチャーについて
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水栽培(水耕栽培)と言います。水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法を、ギリシャ語で「水」を意味する「ハイドロ」と栽培を意味する「カルチャー」とつなげて、ハイドロカルチャーと呼んでいます。
乾燥を好む多肉植物も、きちんと管理すれば水栽培(水耕栽培)で育てることはできます。金のなる木は、成長すると樹高は1m以上になり、幹も太くなります。そのため大きく育てるには土の方が向いています。花を咲かせるほど大きく育てたい場合には土での栽培をおすすめします。
水耕栽培の場合も、水だけで育てる水栽培より、土の代わりになる用土を使ったハイドロカルチャーのほうが、植物をしっかりと支えることができるためおすすめです。
金のなる木の水栽培 葉挿し・挿し木の苗の準備
ここでは、水挿しで発根する葉挿しと挿し木の方法を説明します。金のなる木は、生命力が強いので葉挿しなどは、土の上に置いてあるだけでも発根します。発根したら根の部分だけ水につかるようにすると、切り口が腐りません。
葉挿し
金のなる木は、他の多肉植物と同様に葉からも発芽します。
- 茎のの下葉の方から、指やピンセットで付け根から葉を摘みとります。植え替え時などに鉢から外れた葉でも大丈夫です。
- 摘みとった葉は、日陰で切り口を4日~7日ほど乾かします。(病原菌の発生を防ぐため)
挿し木
成長した金のなる木は、大きくなりすぎた株は好みに合わせて切り戻しすることができます。この枝を使って、挿し穂にすることができます。
新芽もしくは前年枝(2年目の枝)を使います。
- 新芽もしくは前年枝(2年目の枝)を、枝先から5㎝~7㎝で切り取ります。切り口は斜めにカットしておきます。
- 上部の葉3~4枚残して、下部の葉は取り除きます(取り除いた葉は葉挿しにも使えます)
- 新聞紙などの上で、日陰で4~7日切り口を乾かします。
金のなる木の水挿しの手順
それでは、準備できた挿し穂や、葉を使って水挿しの手順を説明します。
準備するもの
- 剪定して乾かした挿し穂・葉
- 透明な器(口が細くなっているもの)
- メネデール(発根促進剤なくても可)
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 金のなる木の葉や、挿し穂を容器に挿します。根元が水面すれすれになるようにするのがポイント。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 2週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が十分に発根したら、ハイドロカルチャーや水栽培(水耕栽培)で育てましょう。
発根促進剤について
生命力の強い金のなる木は、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く丈夫で元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
金のなる木の水栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根した金のなる木の苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤と使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
金のなる木は、大きく成長し根も多く張ります。ある程度の大きさになったらハイドロカルチャーでの植え付けして栽培するのもおすすめです。
準備するもの
- 水挿しで発根した金のなる木の苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 金のなる木の苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
金のなる木の水栽培での育て方
置き場所、日当たり
金のなる木は、日陰に置くと、株が軟弱になるため明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
金のなる木は南アフリカが原産地ですので耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。置き場は温度が5℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
金のなる木の水栽培は、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水栽培は土から栄養が取れないため肥料を使ってあげると生育が早くなったり、幹が太くなります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(害虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
水耕栽培のコンテンツ
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。
多肉植物の他にも、観葉植物や花を楽しむ球根、育てて収穫できる野菜やハーブも水耕栽培で育てることができます。100均などで購入した苗やタネを使って、簡単に育てることができます。興味のある方は下記の記事も参考にしてください。育てたい品種や野菜・ハーブ名から育て方がわかります。
まとめ
金のなる木は、鉢植えが人気で、小さなものなら100均でも手に入る手軽な観葉植物です。しかし大きく育てて花を咲かせるなら土での栽培がおすすめです。
土で栽培する場合には、挿し木の場合は、多肉植物用の土に挿しても発根してそのまま育てることができます。水栽培の根と土の根は、実は違います。水栽培で育てた根は土の養分をうまく吸い上げられないこともあります。土で育てる場合は水挿しではなく、できれば土で挿し木したほうがその後の生育がスムーズです。
しかしこまめに剪定すれば、ハイドロカルチャーなどでも育てられるので是非この記事を参考にして、金のなる木の栽培にチャレンジしてみてください。