少量で料理に彩りと香りが楽しめる三つ葉は、スーパーで売られているものも水耕栽培で育てられているものが多くあります。ここではスーパーで買ってきた三つ葉を使った再生栽培(リボベジ)やタネまきから始める水耕栽培の手順や収穫までの育て方について、わかりやすく説明します。
三つ葉の水耕栽培について
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
葉物の野菜は水耕栽培向きで、特にハーブ類は少量ずつ収穫して、いつでもフレッシュな香りを楽しめるため人気があります。 三つ葉もハーブもセリ科の日本のハーブの1つ。スーパーなどでも売られているものも、根元にスポンジが付いているもがほとんどで、水耕栽培で育てられています。
三つ葉の水耕栽培は、播種(種まき)と、苗から始められます。苗はスーパーで売られているスポンジのついた三つ葉をつかって、リボベジ(再生栽培)ができます。三つ葉は、種の発芽率がよくないので、このリボベジが一番簡単です。
三つ葉の水耕栽培 再生栽培(リボベジ)の手順
三つ葉の準備
三つ葉は、スポンジが付いているものを選びます。根が白いものを選びましょう。根が茶色くなっているものは、うまく育たない可能性が高いです。三つ葉は、根から5㎝程度の部分の茎を包丁やハサミなどでカットします。
水耕栽培の手順
一番簡単な方法は、水に浸けるだけ。これだけでも三つ葉は新芽がでて収穫を楽しむことができます。
準備するもの
- 茎をカットした、三つ葉の苗(根の付いている部分)
- コップなど、水位がわかりやすい透明な入れ物
- 水耕栽培用肥料(なくてもある程度育ちます)
手順
- 三つ葉をコップに入れます
- 肥料を溶かした水を、コップに入れます。水位はスポンジが半分浸かる程度です。
- 3日1度ほど培養液(肥料を溶かした水)を交換して、明るい日陰で管理します。
タネまきから始める三つ葉の水耕栽培の手順
時期
三つ葉の発芽適温は、18℃~25℃。タネまきの時期は、春まきが3月下旬~6月、秋まきが9月~10月が適期です。室内で発芽温度が保てるのであれば、この時期以外でも発芽させることもできます。
三つ葉の生育温度は、15℃~20℃と、暑さには強くありません。秋まきのほうが温度管理が容易です。
種の準備
三つ葉の種は、発芽率が悪く発芽までに10日以上かかります。常温で丸1日水に浸けてから種まきをしましょう。
準備するもの
- 一日水に浸けた三つ葉の種
- スポンジ(キッチン用のスポンジでOK 。メラニンスポンジは不可。やわらかめがおすすめ)
- 水
- ラップもしくはティッシュペーパー
- 竹串(爪楊枝でも可)
- 500mlのペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- カッターもしくはハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を3~4粒差し込みます。三つ葉の種は好光性種子なので、あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。10日~15日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
本葉が2~3枚出てきたら、元気な苗を残して間引きしましょう。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7収穫する
葉がある程度大きくなってきたら、収穫しましょう。カットした部分からまた成長して収穫ができます。培養液を使って育てましょう。
ハイドロカルチャーで育てる 三つ葉の水耕栽培
大きく育てて、何度も収穫を楽しみたいのであればハイドロボールを使った、ハイドロカルチャーで育てるのがおすすめ。ハイドロボールを入れることで、根が大きく育ち三つ葉を支えることもできます。
準備するもの
- 茎をカットした、三つ葉の苗(根の付いている部分)orスポンジで発芽させた苗
- 穴の開いていない透明な容器(コップや、ペットボトルをカットしたものでもOK。ある程度深さがある方がよい)
- ハイドロボール(小粒or中粒 事前に水洗いをしておきましょう)
- 根腐れ防止剤(ゼオライト・ミリオンAなど。なくても可)
- 水耕栽培用肥料
手順
- 根腐れ防止剤を、容器の底が見えなくなる程度入れます
- ハイドロボールを、容器の3分の1程度入れます
- ハイドロボールに穴を空けて、三つ葉の苗をスポンジごと入れて植えつけます
- 培養液(肥料を溶かした水)は容器の6分の1から5分の1程度入れます。水位計がある場合にはOPまで入れます
- 半日陰で管理します。
三つ葉の水耕栽培の育て方
置き場所、日当たり
三つ葉は半日陰で湿気の多い場所を好みます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
暑さと乾燥に弱く、冷涼な環境を好みます。夏は温度が上がりすぎないように気をつけましょう。寒さには、やや強いので5℃以下にならない環境であれば、越冬も可能です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から秋は、鉢の中が乾いてから2日~3日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から休眠期の冬は成長が鈍化しますが、室内であれば成長しているので同様に水やりをしましょう。乾燥時には霧吹きで葉水を与えて湿度を与えてください。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
収穫を楽しむ三つ葉栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
まとめ
和え物やお吸い物などに日本料理に欠かせない三つ葉。料理に入れるだけでワンランク上の味わいになります。水に浸けておくだけで、緑色の新芽が成長して、再収穫ができるほど簡単です。
水耕栽培は、ハーブの他リーフレタスなどの葉物野菜や観葉植物の栽培もできます。土を使わないので虫もつきにくく、室内で育てられるので忙しい人にも始めやすい栽培方法です。
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの水耕栽培は三つ葉の他に、アロマティカス、イタリアンパセリ、大葉(しそ)、クレソン、ディル、パクチー、バジル、三つ葉、ミント、ラベンダー、ルッコラ、ローズマリーの育て方の記事があります。下記の記事から、それぞれのコンテンツにアクセスすることができます。
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