みかんは、オレンジ、キンカン、レモンなどの柑橘(かんきつ)類の中でも、最も身近なもののひとつと言っても過言ではありません。みかんを果樹として栽培することも人気で、プロ農家の果樹園だけではなく、ご家庭の庭での地植え栽培も盛んに行われています。
この記事では、みかんの肥料を与える時期や与え方など、肥料のやり方の基本について、わかりやすく説明します。
肥料を与えるタイミング 春肥・夏肥・秋肥
みかんは「春肥(元肥)」、「夏肥(追肥)」、「秋肥(お礼肥)」の年3回を基準とするとよいでしょう。
春肥(元肥)とは、葉芽の芽生え(新芽)前の春に肥料を施すことで、一般的に2月〜3月頃が適期です。みかんの生育は4月の発芽に始まりますが、3月頃に施用された肥料(窒素)は、4月〜5月によく吸収されて、前年の秋肥の効果を切れ目なく継承します。
夏肥(追肥)は、春肥が吸収され土中の養分が不足したタイミング、具体的には5月中旬~6月上旬頃が適期です。夏肥はまとめてやる他、分けて施肥する方もいます。この時期は、窒素成分が多く吸収されると果実の品質を低下するリスクが高まるため、施肥の量も適量にすることが望ましいです。果実の品質を向上させるために夏肥を施さないという判断もありますが、安定的な栽培のためにもそれは避けたほうが良いでしょう。
秋肥(お礼肥)とは、果実の収穫が済んだ後に肥料を施すことで、一般的に10月頃が目安になります。秋肥の施用目的は、着果負担で低下した樹勢の回復、耐寒性の向上、翌年春の発芽と開花の準備などがあります。
基本的な考え方としては、元肥には有機肥料、追肥には速効性のある化成肥料を施すと良いでしょう。但し、収穫前、収穫期の窒素施用は、果実の品質低下を招く可能性があるので注意が必要です。
もちろん、樹の状態や生長度合いによって必要な施肥量は変わってきますので、その場の状況判断が必要です。
時期(目安) | 施肥の名称 |
---|---|
2月〜3月頃 | 春肥(元肥) |
5月中旬〜6月上旬頃 | 夏肥(追肥) |
10月頃 | 秋肥(お礼肥) |
みかんの肥料やりの時期と与え方
それではみかんの肥料はいつどのように与えればよいのでしょうか。
- 1月・2月花芽分化
冬はみかんの休眠期です。肥料は与えません。
- 2月〜3月
- 4月発芽期
発芽が開始します。2月〜3月に、鉢植え・庭植えともしっかり元肥を施してあるので不要です。
- 5月展葉期・開花期
新しい枝や、果実のために肥料を施します。
緩効性肥料を鉢植えは置き肥し、株元にドーナツ状にまいた後、用土を少し耕して混ぜ合わせます。速効性肥料を使用して、コントロールすることもおすすめです。
- 6月〜7月生理落果期
晩生品種のラビット系は5月下旬から6月上旬に追肥します。鉢植えは緩効性肥料は置き肥し、庭植えは株元にドーナツ状にまいた後、用土を少し耕して混ぜ合わせます。
- 8月~10月果実肥大期から成熟期
収穫が終わった木からお礼肥として、追肥をしましょう。鉢植え・庭植えともに緩効性肥料や速効性肥料を施します。
普通種、早生種などでも肥料のやる時期が異なるので、詳しくはその品種の販売店などに問い合わせると良いでしょう。
- 11月〜12月休眠期
収穫後のお礼肥が終わったら、肥料は翌年2月〜3月まで与えません。
みかんの実付きが悪いのは肥料のせい?
みかんを栽培していると、実が全然つかないという状況に陥ることがあります。実付きが悪い=養分が足りていない、と思われがちですが、肥料のせいだけではありません。実付きが悪いときに考えられる主な原因を以下に簡単にまとめます。
- 樹の栄養バランスが崩れている
みかんは隔年結果性がありますが、施肥や摘果をしっかり行うことで回避できます。異常気象や摘果の不足で着果(着花)の過不足が起こり、それが原因で栄養バランスを崩すことで、実がつかない年(裏年)が起こる場合も多々あります。 - 土壌条件が悪い(適正pHになっていない、物理性が悪いなど)
- 土壌水分不足
- 肥培管理が悪い(硝酸態窒素を与えすぎている)
みかんにおすすめの肥料
\みかんにおすすめの肥料まとめ/
みかん専用の肥料
みかんなど柑橘類(かんきつ類)専用の肥料として、販売されている商品も多々あります。「みかんがおいしくなる肥料」として販売されていたり、「みかんが甘くなる資材」として販売されていますので、初心者の方はそのような商品を使用することで、栽培が楽になるでしょう。
油かす肥料
結論としては、「みかんの肥料として油かす肥料は適している」といえます。特に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます(緩効性肥料)。
みかんの養分吸収(土壌などからの養分の吸い上げ)の特性としては、主に下記のことが言えます。
- 新芽の発芽など初期生育のときは、大部分が前年までに体内に吸収された栄養を使用して生長する。
- 葉や枝が充実してくる5月頃から窒素(N)をよく吸収する。そして6月頃〜7月頃に吸収のピークを迎え、その後も一定量吸収される。
- カリウム(K)も窒素同様、春頃から良く吸収される。
油かす肥料は、窒素が多く含まれています。そして、肥効(肥料の効果)も長い緩効性肥料です。みかんの施肥(肥料やり)の考え方として、夏の生育期の追肥(夏肥)によって補うことも重要ですが、元肥に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)を多く使うことによって、肥効を持続させることも重要です。油かす肥料は、その代表的な資材と言えるでしょう。
\みかんに油かす肥料を使う/
甘いみかんを収穫するためには?
「みかんを甘くする肥料はありませんか?」と聞かれることがあります。結論から言うと、「みかんを甘くする肥料」として販売されている肥料はありません。肥料の種類ややり方だけではなく環境や栽培方法によって大きく差が出ます。
基本的には、みかんなどかんきつ類に適した肥料を適した時期に適量施すことが重要です。そのうえで、甘みなどの食味向上に繋がるような資材を試してみましょう。
\みかんを甘くする肥料の詳細/
みかんがおいしくなる肥料とは?
「みかんがおいしくなる肥料」は、その名の通り、おいしいみかんを収穫するために設計されたみかん専用肥料です。同様の名前を持つ肥料はたくさんあり、種苗店や資材店がそれぞれ独自に開発しているものが多いです。
どの肥料にも共通して言えることは、化成肥料(化学肥料)成分だけではなく有機質肥料を多く配合していることです。カニ殻などの甲殻物質肥料や魚かす肥料などを含むことによって、アミノ酸やミネラル分を補えるようにしています。また、葉緑素の構成成分として重要なマグネシウムも配合することで、葉を残し光合成の能力も高まるようになっています。
\みかんがおいしくなる肥料の詳細/