みかんは、オレンジ、キンカン、レモンなどの柑橘(かんきつ)類の中でも、最も身近なもののひとつと言っても過言ではありません。みかんを果樹として栽培することも人気で、プロ農家の果樹園だけではなく、ご家庭の庭での地植え栽培も盛んに行われています。
みかんには、どのような肥料、商品がおすすめなのでしょうか?この記事では、みかんにおすすめの肥料を紹介します。
おすすめのみかん肥料
みかん栽培で利用する代表的な肥料をご紹介します。
みかん専用の肥料
みかんなど柑橘類(かんきつ類)専用の肥料として、販売されている商品も多々あります。「みかんがおいしくなる肥料」として販売されていたり、「みかんが甘くなる資材」として販売されていますので、初心者の方はそのような商品を使用することで、栽培が楽になるでしょう。
油かす肥料
結論としては、「みかんの肥料として油かす肥料は適している」といえます。特に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます(緩効性肥料)。
みかんの養分吸収(土壌などからの養分の吸い上げ)の特性としては、主に下記のことが言えます。
- 新芽の発芽など初期生育のときは、大部分が前年までに体内に吸収された栄養を使用して生長する。
- 葉や枝が充実してくる5月頃から窒素(N)をよく吸収する。そして6月頃〜7月頃に吸収のピークを迎え、その後も一定量吸収される。
- カリウム(K)も窒素同様、春頃から良く吸収される。
油かす肥料は、窒素が多く含まれています。そして、肥効(肥料の効果)も長い緩効性肥料です。みかんの施肥(肥料やり)の考え方として、夏の生育期の追肥(夏肥)によって補うことも重要ですが、元肥に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)を多く使うことによって、肥効を持続させることも重要です。油かす肥料は、その代表的な資材と言えるでしょう。
\みかんに油かす肥料を使う/
米ぬか肥料
みかんには、米ぬかの肥料が使えると聞いたことがある方も多いと思います。
結論としては、「みかんの肥料として米ぬかは使える」ということです。ただし、使い方に注意が必要です。
\みかんに米ぬか肥料を使うときの注意点など/
鶏糞肥料
結論としては、「みかんに鶏糞(鶏ふん)は使えるが、鶏糞の特性をよく理解しておく必要がある」ということです。
鶏糞肥料は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)が豊富に含まれており、かつ牛糞(牛ふん)や豚糞(豚ぷん)よりも速効性のある肥料として知られています。また、比較的安価であることから、栽培のコストを下げたいというニーズにも合致する資材です。
しかし、みかんなどの柑橘類(かんきつ類)に施用すると、果実の品質が下がるということも言われています。これにはいくつか理由がありますが、鶏糞の特性を知っておくことで果実の品質劣化を防ぎながら、肥料のコストを下げることができます。
鶏糞を施用しても、適正量であれば果実品質に及ぼす影響は小さいと言われています。ただし、鶏糞を夏肥としても施用した場合は,果皮色が悪くなったり、クエン酸含量が高くなったりしたという報告があることから、施肥時期としては春肥もしくは秋肥が適しているのではないかと考えられます。
\みかんに鶏糞肥料を使うことへの考え方/
化学肥料(緩行性化成肥料・速効性化成肥料)
化学肥料には、緩行性化成肥料と速効性化成肥料がよく使われます。
但し、樹の状態や気候を考慮した施肥が必要です。また、硝酸態窒素やアンモニア態窒素などの無機態窒素(チッソ)は速い効果すなわち速効性があり、よく効くものの「肥料焼け」の原因となるので、利用する場合には様子を見ながらよく観察して、少しずつ与える必要があります。
そのため、初心者の方は既に配合された果樹用の化成肥料、もしくはみかん・かんきつ類専用肥料を使用することをおすすめします。
有機質肥料を配合した、有機配合肥料もおすすめです。
以下に、おすすめの化成肥料をいくつか紹介します。
ハイポネックス(Hyponex)
ハイポネックスジャパンが製造販売する「錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」という肥料もあります。追肥に利用する錠剤タイプで、置くだけでOKという簡便な肥料です。窒素:リン酸:カリ=8:10:9で配合されているほか、マグネシウム、マンガン、ホウ素、カルシウムも加えられています。
また、ハイポネックスには「ハイポネックス原液」などの液体肥料シリーズもあり、樹勢が弱っているときに与えると良いでしょう。さらにハイポネックスにはマグァンプなど固形肥料のシリーズも販売されています。適している肥料を選択して、使ってみましょう。
マイガーデンベジフル
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得していることや、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしていることや、肥料成分は樹脂コーディングされていて、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶出する量が調節され、効き目が持続するのが本製品の特長です(リリースコントロールテクノロジー)。
追肥として、「マイガーデンベジフル」が有効です。また、「マイガーデン液体肥料」や「花工場原液」、「ベジフル液肥」は速効性の液体肥料なので、樹勢が弱り始めたときに薄めの濃度で与えてあげると良いでしょう。使用方法は各商品のラベルの指示に従ってください。
地植えにおすすめ!打ち込み型肥料グリーンパイル
ちょっと変わった肥料に打ち込み型のグリーンパイルがあります。グリーンパイルは樹木に理想的なバランスで必要な栄養:N(窒素)-P(リン酸)-K(カリウム)を配合した樹木(植木・庭木)専用の打ち込み型肥料です。棒状なので打ち込むだけで施肥が簡単にできます。地植えの樹木におすすめの肥料です。
甘いみかんを収穫するためには?
「みかんを甘くする肥料はありませんか?」と聞かれることがあります。結論から言うと、「みかんを甘くする肥料」として販売されている肥料はありません。肥料の種類ややり方だけではなく環境や栽培方法によって大きく差が出ます。
基本的には、みかんなどかんきつ類に適した肥料を適した時期に適量施すことが重要です。そのうえで、甘みなどの食味向上に繋がるような資材を試してみましょう。
\みかんを甘くする肥料の詳細/
みかんがおいしくなる肥料とは?
「みかんがおいしくなる肥料」は、その名の通り、おいしいみかんを収穫するために設計されたみかん専用肥料です。同様の名前を持つ肥料はたくさんあり、種苗店や資材店がそれぞれ独自に開発しているものが多いです。
どの肥料にも共通して言えることは、化成肥料(化学肥料)成分だけではなく有機質肥料を多く配合していることです。カニ殻などの甲殻物質肥料や魚かす肥料などを含むことによって、アミノ酸やミネラル分を補えるようにしています。また、葉緑素の構成成分として重要なマグネシウムも配合することで、葉を残し光合成の能力も高まるようになっています。
\みかんがおいしくなる肥料の詳細/
みかんの肥料を購入するには
みかんの肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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補足:みかんの肥料やりの時期と与え方
- 1月・2月花芽分化
冬はみかんの休眠期です。肥料は与えません。
- 2月〜3月発芽準備期
寒い冬から目覚め、徐々に生長期に入ります。剪定などもこの時期に行います。
2月頃から3月頃にかけて、春肥(元肥)を施用します。芽生え(萌芽)・開花の時期ですのでしっかり肥料を与えましょう。
鉢植えの場合は、植え替えてから施用しても良いでしょう。新しい用土に植え替えた後、春肥として、固形の緩効性肥料や有機配合肥料を株元に置き肥します。
庭植えの場合は、油かす主体の有機性肥料を、元肥(春肥)として施します。株元にドーナツ状にまいた後、用土を少し耕して混ぜ合わせます。
- 4月発芽期
発芽が開始します。2月〜3月に、鉢植え・庭植えともしっかり元肥を施してあるので不要です。
- 5月展葉期・開花期
新しい枝や、果実のために肥料を施します。
緩効性肥料を鉢植えは置き肥し、株元にドーナツ状にまいた後、用土を少し耕して混ぜ合わせます。速効性肥料を使用して、コントロールすることもおすすめです。
- 6月〜7月生理落果期
晩生品種のラビット系は5月下旬から6月上旬に追肥します。鉢植えは緩効性肥料は置き肥し、庭植えは株元にドーナツ状にまいた後、用土を少し耕して混ぜ合わせます。
- 8月~10月果実肥大期から成熟期
収穫が終わった木からお礼肥として、追肥をしましょう。鉢植え・庭植えともに緩効性肥料や速効性肥料を施します。
普通種、早生種などでも肥料のやる時期が異なるので、詳しくはその品種の販売店などに問い合わせると良いでしょう。
- 11月〜12月休眠期
収穫後のお礼肥が終わったら、肥料は翌年2月〜3月まで与えません。