この記事では、自分で作ることができるカリウム肥料の簡単な作り方と肥料の使い方を詳しく解説します。
カリウムとは
カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。
カリウム肥料の作り方
カリウム肥料は作れるのか?
市販されている硫酸カリウムや塩化カリウム、ケイ酸カリウム、硝酸カリウムなどをご自身で作るのは無理でしょう。
しかし、カリウムが多く含まれた有機肥料を作ることはできます。
カリウムがたくさん、草木灰肥料の作り方
カリウムを多く含む有機肥料として、草木灰があります。草木灰は、ご自身でも作ることができます。
草木灰とは
草木灰とは、焼かれた草木(草や木)に由来する灰のことで、カリウムが豊富に含まれるためカリ肥料として利用されます。焼かれた草木(草や木)の種類によって成分含有量が異なるため、「特殊肥料」に分類されています。
リン酸も含まれていますが、草木灰に含まれるリン酸の形態は水にとけにくく、植物の根は吸収することができません。そのほか石灰、ケイ酸をはじめ多くの無機物を含有しています。
草木灰の作り方
草木灰は自作することもできます。作り方は簡単で、植物体(稲藁、雑草、枯れ草、落ち葉、剪定枝など)を燃やして、灰にするだけでOKです。その灰をそのまま草木灰として利用できます。したがって、火鉢や囲炉裏の残り灰も、草木灰として利用できます。
草木灰を自作する際に、万が一にも火事や燃え広がる恐れがあってはいけないので、地面に穴を掘り、新聞紙を敷き、その中で植物体を燃やすとよいでしょう。低温でゆっくりと燃やしますが、水などをあらかじめ用意し、いつでも火を消すことができるよう万全を期すようにします。
草木灰を作る際の注意点(必ず確認すること)
注意点としては、野外における焼却(野焼き)が例外を除き法令で禁止されていることがあります。法令とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)および他の条例を指します。
その例外のひとつに、「農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却」が挙げられています。具体的には、稲藁、籾殻、剪定枝などの農作業から生じた廃棄物の焼却が想定されているため、それらを用いて草木灰を作ることは認められます。
ただし、野外における焼却(野焼き)は原則として禁止されていることは認識しなくてはいけません。法令違反やトラブルを避けるためにも、事前に自治体に確認するようにしましょう。
作った草木灰肥料は販売できるか
知っておかなくてはいけない注意点として、「肥料の販売」の話があります。必要な届出をせずに販売すると法令違反とされ罰則が科される場合があります。
実際に、焚き火や薪ストーブから出た灰を肥料として販売したことで警視庁に検挙される事案が発生しており、農林水産省が注意喚起をしています。インターネットオークションやフリマアプリ(メルカリなど)が身近になったことによる落とし穴といえるかもしれません。法令の確認と遵守を心掛けましょう。
作った草木灰肥料の使い方
作った草木灰肥料は、市販のものと同様に使用することができます。草木灰の基本的な使い方は、以下のとおりです。
使い方としては、元肥の場合、種まきや植え付けの少なくとも1週間前までに草木灰と土を混ぜるようにします。地面に撒き、一緒に耕すようにするとよいでしょう。追肥の場合、作物や植物の生育に応じたタイミングで根に直接当たらないように草木灰を施肥します。速効性があるので、追肥にも適しています。
注意点として、硫安、化成肥料、堆肥などと草木灰を混用するとアンモニアガスが発生する可能性があります(一般に、酸とアルカリを混ぜると中和反応が起きます)。アンモニアは、農作物の苗や根などに広く生育障害を起こします。また、混用でなく近接散布であってもアンモニアが発生する可能性があるので、期間を開けてそれぞれを施す必要があることも知っておきましょう。

私はやったことがありませんが、灰を溶かして、液体肥料(液肥)として施用することもあるようです。
草木灰肥料の利用価値
草木灰の肥料以外の利用価値としては、病害虫への防除効果など下記のものが挙げられます。