ヘチマ栽培において、収穫を増やしたり葉を茂らせるには、摘心(摘芯)と呼ばれる作業が大切です。この記事では、ヘチマの摘心(摘芯)方法について、プランター、地植え、グリーンカーテンで作りたい場合の栽培別にわかりやすく説明します。
ヘチマ栽培の摘芯について
摘芯(てきしん)とは、茎や枝の最先端の芽を摘む作業で、ピンチとも呼ばれます。摘芯をすることでわき芽を増やしたり、生長を止めたりすることができます。
ヘチマ栽培では、収穫量を増やすために親づるを摘芯して子づるを伸ばして育てます。親つるは実つきが子つるより悪いため、ヘチマ栽培ではできるだけ行うとよいでしょう。また緑のカーテンを作る場合も、隙間なく葉を茂らせるためにも必要な作業です。
ヘチマの摘芯のタイミング
ヘチマの摘芯は、仕立て方や生育状況によっても変わります。摘芯の方法は生産者によってもいろいろありますが、一例をここで紹介します。
プランター栽培
植え付けた後、草丈が50cm程度になったら、先端から2節程度下をハサミや手で摘みとります。親つるを摘芯すると元気な子づるが4~5本伸びてくるので、支柱に誘引して育てましょう。支柱の高さを超えるようになったら子づるも摘芯して草丈を調整します。
また日照や風通しをよくするために、株元から20cmまでのつるやわき芽は、切り取ります。枯れた葉などがある場合も、取り除いておきましょう。
緑のカーテンを作る場合
プランター栽培で緑のカーテンを作りたい場合には、早めに摘芯し子づるを伸ばしましょう。本葉5枚~6枚の頃に親づるを摘芯します。子づるが伸びてきたら、葉に日が当たるように誘引します。子づるや孫づるが伸びてきたら小まめに誘引して、ネットに隙間がないようにしましょう。
子づるがネットを超えるようになったら、子づるを摘芯して孫づるが横に伸びるようにして育てましょう。また下の方につく花は、早めに摘み取り(摘花)することで、葉が大きくなります。
地植え
地植えの場合は、支柱を立てずに地這栽培する場合は、本葉が5~6枚展開したときに親つる(主枝)の先端を摘心し、4~5本の子づる(側枝)を伸ばして育てます。
棚仕立ての場合は、親づる(主枝)が棚の高さに達したら摘芯し、上部にある子蔓を4~5本伸ばし、下の方についている葉やつるは、切り取ります。子蔓が伸びたら摘芯して孫蔓に摘果させます。
ヘチマの摘芯の方法
摘芯は手でひねり取るか、ハサミでカットします。剪定ハサミでカットする場合には必ず消毒をしましょう。親づるを摘芯する場合は、一番下に生えている双葉は本葉の数には数えません。
地面から近い子づるやわき芽をカットするのは、株元を風通しを良くするとともに、土ハネを防止し、病気を予防する効果もあります。
剪定ハサミなを使用する場合は、病原菌の伝染には十分に注意しましょう。気になるようであれば、一回ごとに消毒(エタノールや次亜塩素酸カルシウム、第三リン酸ナトリウムなど)を使用すると良いでしょう。
薬液を入れることで自動消毒ができるハサミもあります。プロ農家はこれらを使用することも多いです。
その他ヘチマの栽培と摘芯について
ヘチマ栽培の基礎知識
ヘチマは、沖縄ではナーベラーと呼ばれ食用として炒めものや、スープなどにも使われます。食用の果実は、固い繊維ができる前の果実を若どりしたもので、少し苦味とぬめりがあります。全国的にはたわしや化粧水などに古くから使われてきました。
栽培は日の当たる場所であれば、容易です。夏の暑い時期に盛んに成長し、放任栽培でもよく育ちます。病害虫の被害も少ないため家庭菜園向きの野菜です。つるが、他のものに良くからみつくので、ネットなどを使って緑のカーテンにして日除け代わりにも栽培できます。
作物名 | ヘチマ(ナーベラー) |
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科目 | ウリ科ヘチマ属 |
原産地 | 熱帯アジア |
発芽適温(地温) | 25℃~30℃ |
生育適温 | 20℃~30℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0~7.5 |
育てやすさ | 簡単 |
摘芯を忘れた場合
畑に行く時間がなくて摘芯をしないうちに、親づるが大きくなってしまった。そんな場合はどうしたらよいのでしょうか。本葉5~6枚は目安ですのでそれ以降に行ってももちろん大丈夫です。
子づるに花がつきやすいので、できれば摘芯することをおすすめしますが、ヘチマは摘芯せず放任しても栽培は可能です。
摘芯と整枝
摘芯したら、子づるが伸びてきます。子蔓の2~3本になったら不要なわき芽をカットしたり、ネットや支柱に誘引するのも忘れずに行いましょう。ネットに絡ませておくだけでもよいですが、大きな子づるは、誘引テープ使うとよいでしょう。ある程度になれば子づるも孫づるも放置しても、ネットに絡みつきますがグリーンカーテンを作る場合は、こまめに位置を調整して、隙間がないように葉を茂らせるようにしましょう。