消石灰はカルシウムを補う土壌の肥料として利用されますが、雑草対策にも消石灰は有効なのでしょうか?ここでは、消石灰などの石灰は雑草対策に有効なのかどうか、またその他の雑草対策についても説明していきます。
消石灰は雑草対策に有効?
最近では、消石灰や苦土石灰に除草効果があるのではないかという議論もなされています。結論から言いますと、石灰窒素に含まれる除草成分のシアナミドの成分はないことから、消石灰、苦土石灰に石灰窒素のような除草効果はありません。
雑草対策という観点で考えると、石灰は土壌を酸性から中和し、アルカリ性に変化させる土壌酸度(pH)の調整剤としての働きを持ちます。このため、酸性を好みアルカリ土壌には生えにくいスギナやメヒシバ、カヤツリグサ、オオバコ、ドクダミ(どくだみ)などは生えにくくなる可能性はあります。しかし畑作など作物の栽培を考慮すると、除草のために石灰を多く混入することは除草以外の栽培などへのデメリットの方が大きくなります。また芝生の場合は過度なアルカリ性土壌は適さないため、芝生に消石灰はおすすめできません。こういった理由から試せる場所が限られますので注意が必要です。
石灰の種類の紹介を参考までに説明します。
消石灰 (水酸化カルシウム)
空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムとなります。速効性があり、アルカリ性が強いのが特徴です。施肥後、定植・播種まで20日以上おく必要があり、反応が強すぎるので取り扱いづらい石灰です。
生石灰 (酸化カルシウム)
加水により発熱し消石灰に変化します。消石灰と同様、速効性があり、アルカリ性が強いのが特徴です。施肥後、定植・播種まで20日以上おく必要があり、反応が強すぎるので取り扱いづらい石灰です。
苦土石灰
水に溶けにくく、カルシウムの効きは遅いのが特徴です。 マグネシウム も含まれており、補給ができます。散布後すぐに定植・播種することができます。
石灰窒素は雑草対策に有効です
石灰窒素は単肥としてよく使われる肥料の一つで、窒素肥料の一つです。石灰窒素は石灰石を原料とするカーバイドに高温で窒素を吸収化合させたもので、窒素成分の他に、カルシウムや炭素成分が含まれています。
さらに石灰窒素は農薬成分であるカルシウムシアナミドが含まれていて、土壌中で水分と混ぜると有効成分のシアナミドを分離し、このシアナミドが病害虫と接触して効果をあげる殺虫、殺菌効果を持ちます。さらにシアナミドは除草、防草効果もあります。具体的には一年生雑草の繁殖が少なくなったという効果が判明されています。代表的な一年生雑草は、コナギ、イヌビエ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、オヒシバ、メヒシバ、スベリヒユ、ブタクサ、ツユクサなどです。雑草を防除することで結果、害虫も少なくなります。
土壌改良効果もあり、畑作では、特に土中のセンチュウの殺虫効果が認められています。暖かくなってきた春先、作付け前に石灰窒素を全面散布し、用土と根和することで効果が出ます。(10aに50〜100kgが目安です)
水稲では、特にスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)、ザリガニ、ユリミミズに効果があります。代かき、灌水時に全面散布してください。灌水状態を保ち、1週間は落水、掛け流しを行わないのがポイントです。(10aに20〜30kgが目安です)
石灰窒素最大の特徴として、土壌中で肥料成分として分解されるのは勿論、農薬効果があるシアナミドは、土壌中で肥料成分に分解され残留性がなく、非常に環境保全に合致した農薬であると言えます。
除草・防草したいときの方法 ①除草剤
除草剤とは?
除草剤を買おうと思ってホームセンターの除草剤コーナーに行っても、液剤、粒剤など種類がありすぎて、また除草剤は使い方を間違えると危険な感じもして、どう使えばいいのか、途方に暮れたりしませんか?
除草剤とは、植物を枯らす効果を持つ薬剤の総称です。その種類は、液体だったり、固形の細粒、粒状だったり、またどんな効果で植物を枯らすのか、効きめの持続力もまちまちです。ここではまず、除草剤の種類と特性に合わせた効果的な使い方、そして具体的に販売されている除草剤がどれに該当するのか、徹底解説します。
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」 特徴と見分け方
まず、除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長、生育している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草をある程度刈る必要があり、その後での散布が必要になってきます。
「茎葉処理剤」は、散布された薬剤に接触した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。実際に除草剤を手にとっても、明確に「土壌処理剤」なのか「茎葉処理剤」なのかわからないケースがありますが、そんな時は、「土壌散布」と書かれているものは、「土壌処理剤」、「茎葉散布」と書かれているものは「茎葉処理剤」と判定してもらって間違いありません。
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」 使う時期は違うの?
「土壌処理剤」を使用する時期は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない耕耘後、または播種(定植)前後になります。既に大きくなってしまった雑草や、塊根、塊茎から出ている雑草を枯らすことは期待できません。
対して、「茎葉処理剤」は、雑草が発生して育っている時期に使用します。
葉や茎にしっかりかかると効果が出るため、あまりにも雑草が繁茂していると、全てにしっかり除草剤がかからず、残ってしまうこともあります。このため、どちらしても、雑草が茂る前に雑草駆除することが重要です。それぞれ使用する時期が異なるので、上手く使い分けることが重要です。
主な葉茎処理剤一覧
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | ネコソギロングシャワーV9 | アースカマイラズ | カダン 除草王 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | グリホエース | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | (株)ハート | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ○ | ○ |
葉茎処理剤は主に液体の除草剤であり、商品によっては、原液を希釈して薄めて使用する必要があるものと、希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できる液剤があります。
主な土壌処理剤一覧
商品名 | カダン除草王 | ネコソギパワー粒剤 (ネコソギトップW) | ネコソギエースV(粒状) | クサノンEX粒剤 |
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概要 | ||||
販売元 | フマキラー(株) | レインボー薬品(株) | レインボー薬品(株) | 住友化学園芸(株) |
有効成分 | カルブチレート | アミカルバゾン ブロマシル | ヘキサジノン DBN、DCMU | ターバシル フルミオキサジン |
農耕地使用 | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ✖️ |
除草・防草したいときの方法 ②防草シート
雑草や草を生えないようにするため、土面に設置する防草シート。繁茂した雑草をシートで覆って押さえ、太陽光の熱で枯らしてしまう除草シート、マルチングシートもありますが、一般的には、雑草を抑え、マルチングするシートを、防草シートや除草シートと呼んでいます。防草シートは除草に大変役立つツールです。
防草シートの種類と機能
防草シート(除草シート)は、光を遮る(遮光)ことで、植物に光合成を行えないように抑制します。この結果、植物は炭水化物を生成できなくなり、生長しなくなり、雑草の出現を防げます。しかし、防草シートの種類によって遮光率や耐用年数、水はけ、透水性(雨が降る時に水たまりが出来やすいかどうか)も違ってきますし、使い方によって経年劣化の速度も変化します。
下記では、防草シートの機能やおすすめの防草シートをはじめとして、防草シートを敷き詰めて隙間をゼロにし効果を最大にする養生テープ、ピンなどの資材もご紹介しています。是非ご一読ください。
防草シート砂利、バークチップ、ウッド チップ、人工芝と組み合わせてパワーアップ!
市販されている防草シートは、最大手のプランテックス(旧名称 ザバーン)はじめ、全ての防草シートは、むき出しで使用していると、紫外線で徐々に劣化していきます。またむき出しのままだと、見た目も殺風景です。
劣化を防ぎ耐久性を高めるために、防草シートを下地にして、玉砂利や砕石、石、バークチップ・ウッドチップや人工芝を敷いて紫外線をカットする方法があります。またシートの目隠しにもなり、景観、色合いも綺麗になります。高機能な防草シートだと、この方法で格段に耐久性が高まり、半永久的に雑草の繁茂を防ぐことができます。
芝生などのグランドカバープランツ(+植栽シート)も有効です
除草後、防草シートを張って、人工の芝を敷くことの他に、芝生やヒメイワダレソウ、クラビアを植えたりするなど、自生するグランドカバープランツ(地面、地表を覆うために植栽する植物)、低木、植木を植え付け覆うことで緑化し、景観を美しく保つ方法があります。この場合は、植栽シートをうまく活用したり、グランドカバーの手入れが必要になってきます。植栽シートと芝、ヒメイワダレソウなどのカバープランツの組み合わせは非常に色合いも美しいので、チャレンジする価値があります。どんなグランドカバープランツがいいかは、植え付ける場所が日陰なのか、日当たりがいいのかなどで異なってきますので、場所に応じて選んでください。
芝生の手入れ(散水、施肥、エアレーション、目土など)や雑草対策には下記コンテンツが充実していますので、芝生を植える場合は参考にしてみてください。