土を使わずにハーブや野菜を育てる水耕栽培は、畑がなくても室内やベランダなどで手軽に家庭菜園を楽しめるとして最近とても人気があります。その中でもレタスは簡単に栽培ができるので、初めての方でも挑戦しやすい野菜です。
ここでは、レタスの水耕栽培について、種まきから収穫までの育て方や、栽培キットの作り方まで初めて水耕栽培をする方にもわかりやすく説明します。
レタスの水耕栽培について
レタスの基礎知識
レタスには、通常の玉レタスのように結球するもの、サニーレタスのように結球しないリーフレタスの他にも半結球ロメインレタスなどがあります。
栽培が簡単なのは、リーフレタスで、一般的な結球する玉レタスより栄養価も高く、栽培期間も短く、簡単で成長した外側からかき取って収穫できることからカキチシャとも呼ばれ、長く収穫が楽しめるので家庭菜園では人気のレタスです。
レタスの生育温度、発芽温度は15℃~20℃程度と冷涼な気候を好みます。レタスの栽培は春か秋になると、ホームセンターなどで苗も販売されますが、リーフレタスなら種まきから40日~50日程度で収穫できるので、種まきからも簡単に栽培ができます。種から育てれば、間引きした苗や残った苗をまいてベビーリーフとして食べることもできます。
作物名 | レタス |
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科目 | キク科アキノノゲシ属 |
原産地 | 西アジア、地中海沿岸 |
発芽適温(地温) | 15℃~20℃ |
生育適温 | 15℃~20℃ |
育てやすさ | 簡単 |
栽培時期
水耕栽培では室内で栽培することが多いので、温度管理がしやすく生育温度を保てれば栽培は可能ですが、育てる植物の生育時期に合わせて育てると栽培が容易です。できるだけ土耕栽培と同じ時期に育てるとよいでしょう。
レタスの発芽温度は15℃~20℃。露地栽培であれば春か秋に種をまくことができます。春まきであれば、3月下旬から5月頃までに種まきをし、秋は8月下旬から9月に種をまいて育てると育てやすいでしょう。
室内で育てる場合には、発芽温度が保てるのであればいつでも大丈夫です。レタスの生育温度は15℃~20℃程度と冷涼な気候を好みます。初心者の人は、秋まきのほうが簡単に栽培が可能です。
レタスの種類
水耕栽培に向いているレタスの種類についていくつか紹介します。レタスミックスとして売られている種まきからは、いろいろなレタスの種が入っています。大きく育てて食べるというよりは、若い幼菜をベビーリーフとして収穫して楽しみます。
品種名 | サニーレタス | グリーンリーフレタス | サラダ菜 | サンチュ |
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概要 | ||||
特徴 | リーフレタスの代表 葉先が濃い赤紫色で、カールします。 葉が柔らかくクセがない。 | リーフレタスの葉が緑色のものの総称。 くせのない味や歯触りで、レタスより歯ざわりがしっかりしています。 | 結球するレタスですが、栽培期間が短く栽培が簡単。 結球するまで育てず収穫もできます。 | 韓国料理にも使われる、リーフレタスの仲間です。レタス類の中でも暑さに強いので育てやすい。 |
レタスの水耕栽培のポイント
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、野菜だけでなく、観葉植物や果物などのさまざまな植物を衛生的に育てることができます。
水耕栽培ではさまざまな野菜や植物を育てることができますが、葉物野菜や大葉やバジルなどのハーブは特に栽培が簡単で、レタスも特別な設備がなくともペットボトルやスポンジなどをつかって、簡単に栽培することができます。
レタスの水耕栽培はサニーレタスなどのリーフレタスが栽培しやすく涼しい気候を好むため、春や秋に栽培を開始するのがおすすめです。
レタスの水耕栽培の手順
それではレタスの水耕栽培の手順について順に説明していきます。
栽培容器を作る
まずはレタスを栽培する容器をつくりましょう。水耕栽培では身近なものをつかって栽培キットを自作しますが、ここでは基本のペットボトルとキッチンスポンジを使った方法を説明します。スポンジに種をまいて、ペットボトルの飲み口にセットして使います。
用意するもの
- ペットボトル500ml以上
- スポンジ(キッチンスポンジでOK。やわらかいもの。メラニンスポンジは不可)
- ハサミ、カッター
- ビニールテープ
- アルミホイル
作り方
- ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- ペットボトルを切った部分は、ビニールテープを貼っておくと安全です
- ペットボトルの下側にアルミホイルをまきます。
- スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みをいれておきます。
種まき
複数作りたい場合は、発芽してから苗をスポンジにセットすると手間がかかりません。
用意するもの
- 2cm~3cm角に切ったスポンジ
- レタスの種
- タッパーなど穴の開いていない容器
- 竹串
種まきの手順
- 容器に水をいれ、スポンジに水を十分に吸い込ませます
- スポンジの十字の中央に3粒ほど種をまきます。竹串を使うと簡単です。
- タッパーに水をいれスポンジを入れます。水位はスポンジが1cmほどつかる程度
- タッパーのフタを斜めにかけて、種を乾かさないようにして発芽を待ちます。(ラップをかけて、竹串で穴を複数空けてもOKです)
- レタスの種は好光種なので、発芽には光が必要です。室内の明るい場所で管理しましょう。
- 発芽したら、日の当たる場所で管理します。
- 双葉がでたら、生育の良い苗を2本残して間引きます。
- スポンジの下から根がでて、本葉が2枚ほどになったら生育のよい苗を1本に間引きます。
レタスの収穫までの育て方
用意するもの
- ペットボトルの栽培容器
- スポンジで発芽した苗
- 水耕栽培用の肥料
手順
- 手順1栽培容器を作る
ペットボトルを使って栽培容器を作ります。
- 手順2種まき
スポンジに種をまいて、乾かさないようにして発芽を待ちます。
発芽したら、日当たりの良い場所で育て、本葉2枚で1本に間引きます。 - 手順3植え付け
ペットボトルに苗をセットして、本格的な栽培に入りましょう。
ペットボトルの飲み口が下になるように、スポンジをセットします。根を傷めないように注意し、飲み口から根がでるようにしましょう。ペットボトルの下部に培養液(肥料を入れた水)をいれて、ペットボトルの上部をセットします。水位は、根の半分程度が水に浸る程度です。
- 手順4栽培
できるだけ日当たりの良い場所で管理し、培養液が減ったら継ぎ足しながら育てます。
1週間に1度は、すべての水を入れ替えましょう。容器が汚れていたら洗います。編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順5収穫
草丈が20cm程度になったら収穫のタイミングです。外側の葉から数枚かき取りながら収穫すると、また葉が生えてくるので長い間収穫が楽しめます。
レタスの水耕栽培の育て方
容器・用土
レタスは、特別な設備がなくとも十分収穫が楽しめます。ペットボトルを加工した栽培キットは、さまざまな野菜や観葉植物の挿し木などにも使えます。ペットボトルの容量は500ml~1ℓ程度のものを使うとよいでしょう。容器が大きいほど苗は大きくなります。
透明な容器は、光にあたることでアオコ(藻)が発生します。根に藻がつくと根から酸素を呼吸できなくなり、生育に影響を及ぼします。容器は必ず遮光して育てましょう。アルミホイルなどで容器を包むほか、見た目が気になるならペットボトルカバーや、好きな柄の布やバンダナなどを巻いても。
大きく育てるならペットボトルなどがよいですが、たくさん種をまいてベビーレタスなどを収穫したい場合は、スポンジとハイドロボールを使った方法もあります。余った種などを有効活用できます
栽培環境
レタスは、日の当たらない場所で育てると、ひょろひょろと細い茎が伸びてしまう徒長が起きてしまいます。芽がでたらすぐに、日の当たる場所で育てましょう。
室内で育てる場合も、日当たりの良い窓辺で育てましょう。ただし暑さには弱いので、温度が上がりすぎない場所で育てましょう。LEDライトも有効です。
また高温と長日(日中の時間が長い)と、花芽がついてとうが立ちやすくなります。ベランダや室内で栽培するときには、街頭の光や部屋の光が当たらないように注意しましょう。夜は段ボールなどで覆っておくとよいでしょう。
水位・水やり
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
育苗をする場合の、理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。週に1回程度は交換しましょう。成長してきたら、培養液がきれないように継ぎ足しして育てましょう。
ただし気温が高くなると水が濁るので、濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。根に藻がつくと成長を阻害するので、できるだけ根の部分は遮光し、水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料
水耕栽培でレタスを育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
収穫
リーフレタスなどは1ヵ月半ほどで収穫できます。株元から切り取って収穫するか、外葉から少しづつかき取って収穫すると、2週間もすれば新しい葉が生えてまた収穫することができます。
少しづつ収穫できるので、パンに挟んだり、料理の彩りに、いつでも新鮮なレタスが味わえます。
まとめ
ペットボトルを使った水耕栽培は、発芽率もよく収穫まで短いレタスは最初に栽培する人が多い野菜でもあります。リーフレタスは、スーパーで買ってきたレタスからも再生栽培(リボベジ)もできます。やはり採れたての野菜は味も違いますし、自分で作った野菜は農薬等の心配もいりません。
ぜひまずはレタスの水耕栽培を始めてみましょう。この他にもさまざまな野菜やハーブ、観葉植物なども水耕栽培で育てることができます。キッチンハーブも少量づつ収穫できるので、おすすめですよ。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。野菜だけでなくハーブや、観葉植物、多肉植物、花を楽しむ球根なども水耕栽培で育てることができます。
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