レモンバームは、摘み取った葉を叩くとレモンの香りのするハーブで、丈夫で繁殖力が強いので、収穫しながら育てられるので水耕栽培に向いたハーブです。
この記事では、レモンバームの水耕栽培について、タネや挿し木からはじめる水耕栽培の手順や収穫までの育て方についてわかりやすく説明します。
レモンバームの水耕栽培について
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
レモンバームの基礎知識
レモンバームはシソ科の多年草で、レモンと同じ香り成分シトラールを含んでいるためレモンのようなさわやかな芳香があり、ハーブティーや料理やケーキなどのデザートの香りづけとして人気があります。レモンバームは別名「メリッサ」とも呼ばれますが、これはギリシャ語のミツバチの意味を持つ言葉が由来で、レモンバームの花はミツバチが好むので、受粉が必要な果実や果樹などのそばで育てると授粉を助ける効果もあります。
栽培は生育適温は15℃~20℃ですが暑さ寒さにも強く、繁殖力が強いので家庭菜園初心者にもおすすめのハーブです。低日照にも強く、明るい日陰であれば元気に育つので、室内で育てる水耕栽培にも向いています。
学名 | Melissa officinalis |
属名 | シソ科コウスイハッカ属 |
原産地 | 南ヨーロッパ |
草丈 | 30cm~60cm |
耐寒性等 | 耐寒性 強い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「思いやり」「同情」「共感」 |
栽培期間
レモンバームは、土で育てる場合はは発芽温度が20℃前後のため春か秋に種をまきます。さし木も春か秋に行います。多年草ですが冬は休眠期に入るため、寒さで葉は枯れることもありますが春になればまた新しい葉が生えてきます。
水耕栽培でも同様に育てることはできますが、4月~6月に種まきか挿し木で始めるのがおすすめです。冬も10℃以下にならないように室内で管理すれば、葉を落とさずゆっくりと生長させることができます。
レモンバームは株が古くなると葉が固くなるため2年~3年に1度株をフレッシュさせる必要があります。水耕栽培では植え替えしないので、翌年の春に元気な葉茎をつかって挿し木をして新しい株を作っておくと、また夏にはまたやわらかい葉のレモンバームが収穫できます。
タネまきから始めるレモンバームの水耕栽培
レモンバームの種は小さく、初期の生育が遅いので10日~14日程度かかることもあります。低温だと発芽がおそくなるので、発芽温度20℃を保てる時期を選びましょう。
時期
レモンバームの発芽温度は、20℃~25℃。タネまきの時期は、4月~6月が適期です。室内で発芽温度が保てるのであれば、この時期以外でも発芽させることもできます。
準備するもの
- レモンバームの種
- スポンジ(キッチン用のスポンジでOK 。メラニンスポンジは不可。やわらかめがおすすめ)
- 水
- ラップもしくはティッシュペーパー
- 竹串(爪楊枝でも可)
- 500mlのペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- カッターもしくはハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。7日~15日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
1つのスポンジから複数の芽が出て場合は、一番大きな苗を残して間引きしましょう。もったいなからといって残しておくと大きく生長しません。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7収穫する
葉が茂ってきたら、いつでも収穫できます。わき芽を残して茎先を切って収穫すると、次々と新しい芽がでてきます。
挿し木から育てるレモンバーム水耕栽培
レモンバームは、挿し木で増やすのが成長も早く、簡単にふやすことができるのでおすすめ。水挿しで簡単に発根します。レモンバームを育てている友人から分けてもらったり、スーパーなどで売っているレモンバームからも増やせます。
挿し木の準備
レモンバームの苗から挿し木をする場合は、元気の良い若い芽を選んで先端から10㎝~15㎝にカットします。スーパーなどのレモンバームもなるべく新鮮なうちに、挿し木にしましょう。
一番上の葉だけ残し、下葉は切り落とします。一番上の葉が大きいようなら蒸散を防ぐために切り取ります。切り口は斜めにスパッときって断面を広げます。すぐに水に浸けるので先に器に水を入れておきましょう。
準備するもの
- レモンバームの挿し木(挿し穂)
- スポンジ
- ペットボトル500ml
- メネデール(発根促進剤なくても可)
- 水耕栽培用肥料
- 水
発芽促進剤のメネデールは、あると発芽の確立がUPします。小さなものがホームセンターでも売られています。活力剤ですので、植物が弱った時にも使えます。
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を飲み口から7センチ程度のところをカッターやハサミなどで切り取ります。
上部を逆さにして下部にセットして使います。
- 手順2スポンジに枝をセットする
スポンジを3㎝角に切り、カッターで切込みをいれ、水を吸わせます。スポンジの間にレモンバームの茎を入れます。
- 手順3ペットボトルに設置
ペットボトルの下の部分に水をいれ、手順2で作った苗とスポンジを上部にセットします。口の部分から水を吸い込みます。
- 手順4水の交換
明るい日陰に置いて、2~3日に1度水を換えましょう。スポンジが乾かないようにします。水替えはメネデール100倍液を使います。ペットボトルの下の部分が汚れていたら、洗って清潔にしておきます。
- 手順5発根後
発根には、2週間から1か月ほどかかります。根がスポンジの下からでてきたら水の量を変えます。根の半分が根につかるぐらいにして根の上部は空気が当たるようにして育てましょう。
ここからは水耕栽培用の肥料を与えて育てます。培養液(肥料を入れた水)は3日に1度は替えましょう。
レモンバームの水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
レモンバームは耐陰性があるので、日当たりの悪い場所でも育つことができます。しかし長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。明るい日陰もしくは夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けましょう。
レモンバームは、耐寒性も強い多年草です。屋外などで育てている場合は、冬は寒さで地上部分が枯れたように見えますが、根は生きているのでまた春になると芽吹いてきます。室内で育てる場合には、温度が10℃以下にならないように育てれば、一年中枯れずに楽しめます。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料
収穫を楽しむレモンバーム栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときに規定量に薄めて使います。苗が小さいうちは規定量より薄めて使いましょう。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
収穫・保存
レモンバームは、初夏に小さな白い花を咲かせます。この頃が最も香りが高くなる収穫のベストタイミングです。花が咲くと葉が固くなるため、その前に収穫を兼ねて、草丈を半分ほどに切り戻しをしましょう。切り戻してもまた新しい新芽が生えて、長く収穫が楽しめます。
収穫したレモンバームを保存したい場合には、生のまま冷凍するか、風通しの良い日陰で乾燥させてドライハーブとして保存します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでレモンバームの水栽培(水耕栽培)について説明してきました。丈夫で日陰でも耐えられるので水栽培初心者の人にもぴったりです。ここではペットボトルを使った方法を紹介しましたが、水耕栽培には他にも土の代わりの培土を使ったハイドロカルチャーなどもあります。観葉植物などの栽培でおしゃれで人気があります。
レモンバームは古くから薬草として使われ、神経を落ち着かせ不眠症やイライラの解消や抗ウイルス効果など多くの効果があるといわれるハーブです。近年の研究ではアルツハイマー病をはじめとする認知症の予防にも役立つハーブとして注目されています。室内でも簡単に育てられるのでぜひ水耕栽培で育ててみてください。
種まきから育てられる栽培キットなども、便利です。
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの水耕栽培はレモンバームの他に、アロマティカス、イタリアンパセリ、大葉(しそ)、クレソン、ディル、パクチー、バジル、三つ葉、、ラベンダー、ルッコラ、ローズマリー、ミントの育て方の記事があります。下記の記事から、それぞれのコンテンツにアクセスすることができます。
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