サッカー場などの競技場から公園、ご家庭の庭まで、芝生はさまざまなところに植えられています。芝生の緑色は、心安らぐ空間を与えてくれます。
芝生を元気で綺麗に維持するためには、適切な水やりがとても重要です。水やりは通常、ホースやじょうろなどで散水をしますが、芝生の場合はスプリンクラーを使うという手段もあります。スプリンクラーを使うことでより均一に、そしてラクに散水することができます。
この記事では、芝生の水やりをラクにする芝生向けのスプリンクラーについて、種類や特徴、選び方、水やりを自動化する方法を紹介します。
スプリンクラーとは
スプリンクラーとは本来、液体や粉末などを散布したり振り替えたりする装置を指します。芝生に使われるスプリンクラーは「散水スプリンクラー」「農業用散水装置(灌漑装置)」と呼ばれ、水源にホースやパイプを接続し、それに取り付けたノズルによって散水します(この記事では、本装置をスプリンクラーと呼びます)。
芝生にスプリンクラーを導入することのメリットを以下に挙げます。
- 広い庭の芝生でも均一に散水することができる。
- 手散水(ホースリールなどを使った水やり)よりも省力化でき、時間、労力の節約になる。
- 手散水よりもムラなく、均一に散水しやすい。
- タイマー装置を組み合わせることで、散水を自動化できる。
芝生の面積が広い運動場やゴルフ場では、水やりにスプリンクラーを使っています。
芝生のスプリンクラーの種類
スプリンクラーは、設置固定の有無や散水方式によって様々な種類があります。まずはどのような種類があるかを知った上で、ご自身の芝生にどのスプリンクラーが適しているかを検討しましょう。
スプリンクラーの種類を分ける大きな要素としては、下記の2つがあります。
- 固定の有無(可搬式、定置式)
- 散水方式(回転式、噴水式、首振り式)
それぞれの特徴について、説明します。
固定の有無(可搬式、定置式)
スプリンクラーを固定の有無によって、可搬式と定置式と大きく2つに分けることができます。
可搬式は、スプリンクラーを任意の位置に移動して使用することができ、小面積の圃場や芝生に用いられることが一般的です。
定置式は、スプリンクラーを予め決められた場所に固定して使用し、果樹園や大きな畑、芝生であればゴルフ場などの灌水に用いられることが一般的です。
ご家庭の庭などの小面積であれば可搬式スプリンクラー、ゴルフ場や運動場など大規模かつ芝生管理が常に必要な場所は定置式スプリンクラーが使われていることが多いとイメージしてください。
この記事は、ご家庭の庭などで芝生管理されている方向けに執筆しますので、可搬式スプリンクラーをメインに解説します。
散水方式による種類
芝生スプリンクラーには、散水方式によって大きく3つの種類に分けることができます。
- 回転式スプリンクラー
- 噴水式スプリンクラー
- 首振り式スプリンクラー
回転式スプリンクラー
回転式スプリンクラーとは、水圧で噴射口を回転させながら散水するタイプです。ノズルを回転させるため、円形に均一に散水することができます。
噴射する形ではなく、水まきのように散水するものもあります。
しかし逆に言えば、円形にしか散水できないため、長方形の庭の芝生などでは角に水が行き届かないという場合もあります。
散水の範囲や角度を調節できるものが一般的で、芝生の形状に合わせた散水が可能です。また、地面に挿すだけで簡易的に固定ができるため、利便性が高いです。移動するときも地面から抜くだけなのでとても楽です。
噴水式スプリンクラー
噴水式は、ノズルから上に向けて水を噴射するタイプです。霧状に噴射するものもあります(噴霧式)。
噴霧式のものは、スプリンクラーがチューブ(ホース)に複数個接続され、スプリンクラーの噴射口から円状にミストを噴霧することで均一に水が行き渡るようになっています。
水を散水するものは、スプリンクラーのノズルから水が放物線状に噴射されることで遠くの範囲まで水が行き渡ります。
首振り式スプリンクラー
首振り式は、水圧によってノズル部分が前後(左右)に動くことで均一に散水できるタイプです。
また、首振り式スプリンクラーと呼ばれている製品は、長方形に散水するタイプが一般的です。
うまく調節ができれば、長方形や扇形、円形などどのような芝生でも水を行き渡らせることができます。
芝生のスプリンクラーの選び方
芝生向けのスプリンクラーには、いろいろな種類があることがお分かりいただけたと思います。それでは、そのようにスプリンクラーを選べばよいのでしょうか?
庭などの小規模の芝生における私のスプリンクラーの選定基準は、主に2つあります。
- 形状や広さに合わせて選ぶ
- 価格で選ぶ
上記の他にも蛇口やホースとの接続性(コネクタがあるか、接続口が合うかなど)も気にすると良いでしょう。
芝生の形状や広さに合わせて選ぶ
スプリンクラーの特性と庭の形状・広さをしっかりと理解して適切な製品を選ばなければ、せっかくスプリンクラーを導入しても結局は手散水の部分が多くなるといった状況に陥ります。まずは、しっかりと芝生の形状や広さを確認し、それに見合ったスプリンクラーを探しましょう。
おそらくご家庭の芝生は、長方形に敷かれていることが多いと思います。まずは、各辺を巻尺やメジャーで計測し、サイズ感を把握しておくことが重要です。
芝生のサイズ感がわかったら、いよいよスプリンクラーを選定します。先述したスプリンクラーの特性を踏まえつつ、適切なスプリンクラーのタイプを選びましょう。長方形の庭には、回転式や噴水式のスプリンクラーはあまり適していません。最も適しているのは、首振り式スプリンクラーでしょう。
このような考え方で、まずはスプリンクラーの種類を選定してみてください。
価格で選ぶ
大事な点として、「コスト」ということもあるのではないでしょうか。散水スプリンクラーの商品も様々なものがあり、値段もピンからキリまであります。
私が今まで見聞きした限りですと、散水の商品はやはり「価格が品質を物語る」ような気がします。そして、信頼と実績のあるメーカーの商品のほうが価格としては高いです。
多少価格が高い製品は、目詰まり防止の機能が付いていたり首振りが丁寧であったり細かなことが満足できるものが多い印象です。
逆に安いものは散水はできるものの、調節機能がうまく働かなかったりします。耐久性の面でも心配が残ります。
予算にもよりますが、可能な限り信頼と実績のあるメーカーのものを購入するのが良いと思います。
芝生向けスプリンクラーのおすすめ商品
芝生向けスプリンクラーのおすすめ商品をまとめました。それぞれの特徴も記載していますので、導入の参考にしてください。
項目 | ガルディナ(ガルデナ) スプリンクラー アクアズーム | ケルヒャー 首振りスプリンクラー | タカギ オシレートスプリンクラー | 岩崎製作所 万能型スプリンクラー | セフティー3 メタルスプリンクラー | タカギ トリプルアームスプリンクラー | カクダイ 万能スプリンクラー |
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概要 | |||||||
特徴 | 角度調整機能、目詰まり防止フィルターが付いた商品。散水範囲が25㎡〜250㎡で広く対応できる優れもの。信頼と実績のガルディナ(ガルデナ)製。 | 散水用の首振りスプリンクラー。最大220㎡の長方形領域に散水可能で、レバー操作で簡単に散水角度を調節できる。 | 長方形に散水し、散水範囲を調整できる商品。信頼のタカギ製。 | 散水範囲と距離を調節できる回転式スプリンクラー。水粒子の大きさも調節できる。 | 広い範囲に散水できる回転式スプリンクラー。メタル製なので上部で長持ちするのが特徴。 | 散水範囲を調節できる回転式スプリンクラー。 ヘッドのアームには中心部から先端まで3箇所ずつ散水穴が開いているのでスプリンクラーの近くもむらなく散水可能。 | 散水範囲を調節できる回転式スプリンクラー。地面に挿すだけで固定でき、ラクに散水可能。 |
向いている土地 | 長方形の芝生や細長い芝生など | 長方形の芝生や細長い芝生など | 長方形の芝生や細長い芝生など | 広い芝生や円形の芝生 | 広い芝生や円形の芝生 | 広い芝生や円形の芝生 | 広い芝生や円形の芝生 |
上記の商品以外にもたくさんの商品がありますので、ホームセンターやネットショップを見て回るのも良いでしょう。
スプリンクラーを使った自動灌水装置(自動水やり)
せっかくスプリンクラーを導入したのであれば、潅水の自動化も検討してください。
スプリンクラーを使う場合は水やりを自動化するのがおすすめ
スプリンクラーを導入しても、蛇口をひねらなければ水やりはできません。手散水よりもかなりラクにはなりますが、更に水やり作業をラクにしたいです。そのようなときは潅水の自動化を検討してください。水やりが自動化できることで下記のようなメリットがあります。
- 真夏など頻繁に水やりが必要となるときに、忘れずに定期的な水やりができる。
- 旅行など長期間不在となるときでも、水やりを継続することができる。
自動灌水装置は簡単にDIYできる
「自動灌水装置を作るのは難しそう…」「自動灌水装置をDIYするにしても高いのでは…」と感じる方も多いと思いますが、そんなことはありません。いまではタイマー装置も安く販売されていますし、タイマー装置・ホース・スプリンクラーまでセットで販売されていることもあります。気軽に手を伸ばせるDIYですので、ぜひ自動化に取り組んでみてください。
タイマーでの水やりだけではなく、雨センサーを取り付けて雨の日の水やりを自動的にスキップできるものもあります。
スプリンクラーを使った自動潅水装置には、下記のものが必要です。
- スプリンクラー
- ホース
- タイマー装置
- タイマー装置と蛇口、タイマー装置とホース、ホースとスプリンクラーのコネクタ
これさえあれば、簡単に自動潅水装置が組み立てられます。それぞれの製品を購入するときには口径(接続口の大きさ)をよく確認し、適合するものを購入してください。それが面倒なときには下記のようなセット商品を購入すると良いでしょう。
芝生の水やりについて
芝生の水やりは、休眠期を除き定期的に必要です。特に真夏など乾燥しやすい状況下では、1日に1回以上の水やりが必須となります。また、高麗芝(コウライシバ)や野芝(ノシバ)などの日本芝と西洋芝では耐候性が異なったりします。芝生の水やりの考え方については、下記の記事を参考にしてください。