除草剤というと、近年のグリホサート系除草剤にまつわる様々な話など、非常に危険なイメージをもたれている方も多いでしょう。ここでは、芝生用除草剤は犬、ペットに安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイントを解説します。
芝生用除草剤は犬などのペットに安全か?
芝生用除草剤の多くは、使用上の注意で、
- 散布区域に縄囲いや立て札をたて、散布中および散布後(最小限その当日)に関係者以外は立ち入らせないこと
- 皮膚についた場合は刺激性があるため、直ちに石鹸で洗い流すこと
- 散布時は農薬用マスクを着用すること
といった内容が多く記載されています。つまり、除草剤そのものに触れることは人、ペット含め危険性があり、また少なくとも散布した日は散布された芝生に立ち入ることは危険性があります。
そもそも除草剤は安全なのか
除草剤の種類でも、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」とタイプがあります。
また、除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。このため、更に「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。
また、枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあり、その機能は本当に様々です。
ですので、一概に除草剤を安全、危険とまとめることは出来ません。除草剤の種類については、下記に詳しく説明していますので、ご参考ください。
除草剤の安全性という観点では、農薬登録番号がある商品は、農薬取締法による審査を受け、合格している証になります。つまり、その効力、安全性、毒性、残留性などに関する試験成績を提出して審査を受け、行政庁(農林水産大臣)の承諾を取得していると言え、使用方法を守って使う限りは、安全性が担保されているものと言えます。
なので、安全性を気にする場合は、その商品に農薬登録番号があるかどうかをまず確認し、適用作物、使用方法をきちんと守るようにしましょう。
除草剤を使用する時に注意すること
除草剤を散布するときの服装
除草剤を散布するときはどういった服装を心がけるべきでしょうか。詳しくは下記に解説しているのでチェックしてみてください。
おすすめの芝生用除草剤
芝生用除草剤は芝生をからさずに芝生に生える雑草を枯らす優れた除草剤です。様々な種類があり、その中でもおすすめできる代表的な除草剤をご紹介します。
茎葉処理剤系
シバキープAL (レインボー薬品(株)) (液剤)
成分 MCPP(フェノキシ酸系)
日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)とケンタッキーブルーグラスに使用できます。シロザ、コニシキソウ、タデ類、イヌビユ、ブタクサ等の一年生広葉雑草に効果を発揮し、スギナもしっかりと枯らします。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株)、理研グリーン)
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
ザイトロンアミン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 トリクロピル(PRTR・1種)
ザイトロンは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、広葉雑草に高い効果を発揮する選択性の葉茎処理剤です。多年生の難防除の広葉雑草にも強い除草効果が期待でき、10〜15日でしっかり効果が出ます。逆にイネ科雑草には効果がないため、イネ科雑草の駆除には別の除草剤が必要になります。
MCPP液剤 (丸和バイオケミカル株式会社)
成分
メコプロップ(MCPP)
説明
成分は、メコプロップ(MCPP)で、メコプロップ(MCPP)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。
広葉雑草、特にクローバーなどの一年生の広葉雑草、またスギナに代表されるトクサ科の雑草に強い効果を発揮し、逆にイネ科雑草には効果がないため、芝生で安心して使用できます。
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、浸透移行性があるため、幅広い処理適期を有し、非常に使い勝手が良い液剤です。
高麗芝や野芝などの「日本芝」や「バミューダグラス(バーミューダグラス)」、またケンタッキーブルーグラスと、幅広い芝で使用することができます。
2,4-D「石原」アミン塩(24d)
2,4-D「石原」アミン塩は、石原バイオサイエンス(株)が販売している、茶褐色液体色)の選択制除草剤です。成分は2,4PAジメチルアミン塩49.5%で、人畜毒性、環境影響が少なく、ホルモン・吸収移行型の茎葉処理剤です。オーキシン様の作用をもち,雑草の茎葉や根から吸収され,体内の植物ホルモンバランスを攪乱させることで生理的な障害を与え,茎葉を捻転(よじれ)させるなどののちに枯死させます。
広葉雑草によく効き、イネ科雑草には効果が弱いこと、日本芝だけでなく、センチピードグラスに対しても安全性が高く、養生中の雑草管理にも使えるのが特徴です。
このほか、シバニードアップ、シバニードグリーン(住友化学園芸)などがあります。サーファクタントなどの展着剤や、散布を効果的にする噴霧器(スプレイヤー)について詳しく知りたい方は下記をご参考ください。
土壌処理剤系
シバキープⅢ粒剤 (レインボー薬品(株))
成分 メコプロップPカリウム塩、DBN(ニトリル系)
シバキープⅢは、レインボー薬品が販売するパラパラまくだけで日本芝(コウライシバ)の中に生えた雑草に効く顆粒の除草剤です。芝生は枯らさず、生えてくる雑草をしっかり抑えることができます。効果も約4ヶ月も持続します。
シバキーププラスα(肥料入り) (レインボー薬品(株)) (粒剤)
成分 トリアジフラム(トリアジン系)、DBN(ニトリル系)
この商品は、除草効果に加え、チッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウムの三大要素のほか、二次要素であるマグネシウムまでも含有し、除草しながら施肥できる商品になります。
この他、よりグレードの高い「シバキープpro」があります。
ハイブリッド系(葉茎処理剤系+土壌処理剤系)
シバゲンDF (石原バイオサイエンス(株)) (粒剤)
成分
フラザスルフロン水和剤
説明
ゴルフ場の芝生の除草を目的として開発された薬剤です。葉茎処理効果と土壌処理効果を併せ持つため、時期に関係なく使用できます。
また、除草対象の雑草は最も幅広く、イネ科、カヤツリグサ科、広葉タイプの1年生雑草から、多年生雑草まで効果を発揮します。芝生に生える厄介な雑草の代表種、スズメノカタビラやメヒシバ、また地下茎を作るハマスゲ、ヒメクグ、チドメグサ、カタバミもしっかり枯死させます。
更に、ゴルフ場用に開発されているだけあって、日本芝(野芝(ノシバ)や高麗芝(コウライシバ))のみならず、ティフトンで有名なバミューダグラスなどの西洋芝(ベントグラスは除く)、また近年繁殖させ易さで普及しているセンチピードグラスでも使用できる、おすすめの除草剤です。
このほかネコソギシリーズなどがあります。うまく使って、庭の芝生に生える雑草の草むしり、草刈りから解放されてください。