芝生に生える雑草を効果的に駆除するため、選択性除草剤が推奨されます。土壌処理剤と茎葉処理剤の使い分けが重要で、芝生の手入れや除草剤の使用には適切な時期と方法が必要です。
商品名 | シバキープエースシャワー | シバキープⅢ粒剤 | シバキーププラスα(肥料入り) | グリーンアージラン液剤 | シバゲンDF | MCPP液剤 | ザイトロンアミン液剤 | 2,4-D「石原」アミン塩(24d) |
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概要 | ||||||||
販売元 | レインボー薬品(株) | レインボー薬品(株) | レインボー薬品(株) | 石原バイオサイエンス(株) | 石原バイオサイエンス(株) | 丸和バイオケミカル株式会社 | 石原バイオサイエンス(株) | 石原バイオサイエンス(株) |
有効成分 | アシュラム MCPP | メコプロップPカリウム塩 DBN | トリアジフラム DBN | アシュラム | フラザスルフロン水和剤 | メコプロップ(MCPP) | トリクロピル(PRTR・1種) | 2,4PAジメチルアミン塩 |
タイプ | 葉茎処理剤 | 土壌処理剤 | 土壌処理剤 | 葉茎処理剤 | ハイブリッド | 葉茎処理剤 | 葉茎処理剤 | 葉茎処理剤 |
芝生にはどんな雑草が生えてくるのか
芝生に生える代表的な雑草としては、スズメノカタビラ、ハマスゲ、オヒシバ、メヒシバ、スギナ、ドクダミ、セイタカアワダチソウ、カタバミ、オオアレチノギク、シロツメクサ(クローバー)、トクサススキの穂、ツメクサなどが挙げられます。下記ではそれぞれの特徴と駆除、防除方法を徹底解説していますので、ご参考ください。
除草剤の種類①発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」 特徴と見分け方
まず、除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。
「茎葉処理剤」は、散布された薬剤に接触した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。実際に除草剤を手にとっても、明確に「土壌処理剤」なのか「茎葉処理剤」なのかわからないケースがありますが、そんな時は、「土壌散布」と書かれているものは、「土壌処理剤」、「茎葉散布」と書かれているものは「茎葉処理剤」と判定してもらって間違いありません。
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」 使う時期は違うの?
「土壌処理剤」を使用する時期は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない耕耘後、または播種(定植)前後になります。既に大きくなってしまった雑草や、塊根、塊茎から出ている雑草を枯らすことは期待できません。
対して「茎葉処理剤」は、雑草が発生して育っている時期に使用します。葉や茎にしっかりかかると効果が出るため、あまりにも雑草が繁茂していると、全てにしっかり除草剤がかからず、残ってしまうこともあります。このため、どちらしても、雑草が茂る前に対策することが重要です。
それぞれ使用する時期が異なるので、上手く使い分けることが重要です。
除草剤の種類② 非選択性か選択性か非選択性と選択性の違い
次に、除草剤は接触した全ての植物が枯れる「非選択性除草剤」(ラウンドアップ 、サンフーロン、バスタなど)か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。
枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。芝生に使用する除草剤は、芝生を枯らさないようにして、他の雑草のみを枯らせる必要があるので、選択性除草剤を選んでください。
芝生除草剤の注意点 どんな芝生でも使えるの?
日本で販売されている芝生用の除草剤は、主に日本芝(高麗芝(コウライシバ))の使用を想定しています。西洋芝に使えるかどうかは、商品によって異なるので、商品説明を必ず確認してください。
また、ベントグラスのように薬剤に強くない種類の芝もあります。このタイプの芝は除草剤を撒くことはできません。草刈りや草取りで対応するか、液体の葉茎処理剤系の除草剤を雑草に直接ハケなどでハケ塗りしてください。
除草剤はいつ撒けばいいの?
「土壌処理剤」を使用する時期は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない時期になります。このため、撒く時期の目安としては、施肥を行ってある程度経過した4月〜5月初旬くらいになります。
「茎葉処理剤」は、雑草が発生して育っている時期に使用します。葉や茎にしっかりかかると効果が出るためです。このため、撒く時期の目安としては、雑草がある程度生長する5月半ばから、雑草の様子を見て断続的に使用することになります。
つまり、雑草が発生する前に土壌処理剤を上手く使い、発生する雑草の総量を抑え、それでも生えてきた雑草をピンポイントで葉茎処理剤で退治するようにすると、除草剤の使用を最小限にすることができます。
芝を枯らさない、芝用のおすすめ選択性除草剤!!
茎葉処理剤系
シバキープAL (レインボー薬品(株)) (液剤)
成分 MCPP(フェノキシ酸系)
日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)とケンタッキーブルーグラスに使用できます。シロザ、コニシキソウ、タデ類、イヌビユ、ブタクサ等の一年生広葉雑草に効果を発揮し、スギナもしっかりと枯らします。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株)、理研グリーン)
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
ザイトロンアミン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 トリクロピル(PRTR・1種)
ザイトロンは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、広葉雑草に高い効果を発揮する選択性の葉茎処理剤です。多年生の難防除の広葉雑草にも強い除草効果が期待でき、10〜15日でしっかり効果が出ます。逆にイネ科雑草には効果がないため、イネ科雑草の駆除には別の除草剤が必要になります。
MCPP液剤 (丸和バイオケミカル株式会社)
成分
メコプロップ(MCPP)
説明
成分は、メコプロップ(MCPP)で、メコプロップ(MCPP)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。
広葉雑草、特にクローバーなどの一年生の広葉雑草、またスギナに代表されるトクサ科の雑草に強い効果を発揮し、逆にイネ科雑草には効果がないため、芝生で安心して使用できます。
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、浸透移行性があるため、幅広い処理適期を有し、非常に使い勝手が良い液剤です。
高麗芝や野芝などの「日本芝」や「バミューダグラス(バーミューダグラス)」、またケンタッキーブルーグラスと、幅広い芝で使用することができます。
2,4-D「石原」アミン塩(24d)
2,4-D「石原」アミン塩は、石原バイオサイエンス(株)が販売している、茶褐色液体色)の選択制除草剤です。成分は2,4PAジメチルアミン塩49.5%で、人畜毒性、環境影響が少なく、ホルモン・吸収移行型の茎葉処理剤です。オーキシン様の作用をもち,雑草の茎葉や根から吸収され,体内の植物ホルモンバランスを攪乱させることで生理的な障害を与え,茎葉を捻転(よじれ)させるなどののちに枯死させます。
広葉雑草によく効き、イネ科雑草には効果が弱いこと、日本芝だけでなく、センチピードグラスに対しても安全性が高く、養生中の雑草管理にも使えるのが特徴です。
このほか、シバニードアップ、シバニードグリーン(住友化学園芸)などがあります。サーファクタントなどの展着剤や、散布を効果的にする噴霧器(スプレイヤー)について詳しく知りたい方は下記をご参考ください。
土壌処理剤系
シバキープⅢ粒剤 (レインボー薬品(株))
成分 メコプロップPカリウム塩、DBN(ニトリル系)
パラパラまくだけで日本芝(コウライシバ)の中に生えた雑草に効く顆粒の除草剤です。芝生は枯らさず、生えてくる雑草をしっかり抑えることができます。効果も約4ヶ月も持続します。
シバキーププラスα(肥料入り) (レインボー薬品(株)) (粒剤)
成分 トリアジフラム(トリアジン系)、DBN(ニトリル系)
この商品は、除草効果に加え、チッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウムの三大要素のほか、二次要素であるマグネシウムまでも含有し、除草しながら施肥できる商品になります。
この他、よりグレードの高い「シバキープpro」があります。
土壌処理剤は顆粒、粒状のものが多く、以下に顆粒の芝生用除草剤をまとめているので参考にして見てください。
ハイブリッド系(葉茎処理剤系+土壌処理剤系)
シバゲンDF (石原バイオサイエンス(株)) (粒剤)
成分
フラザスルフロン水和剤
説明
ゴルフ場の芝生の除草を目的として開発された製品です。葉茎処理効果と土壌処理効果を併せ持つため、時期に関係なく使用できます。
また、除草対象の雑草は最も幅広く、イネ科、カヤツリグサ科、広葉タイプの一年生雑草から、多年生雑草まで効果を発揮します。芝生に生える厄介な雑草の代表種、スズメノカタビラやメヒシバ、また地下茎を作るハマスゲ、ヒメクグ、チドメグサ、カタバミもしっかり枯死させます。
更に、ゴルフ場用に開発されているだけあって、日本芝(野芝(ノシバ)や高麗芝(コウライシバ))のみならず、ティフトンで有名なバミューダグラスなどの西洋芝(ベントグラスは除く)、また近年繁殖させ易さで普及しているセンチピードグラスでも使用できる、おすすめの除草剤です。
除草剤の効果を引き出す展着剤
展着剤とは、界面活性剤や接着剤となるパラフィンや樹脂酸エステルを有効成分としたもので、薬剤の付着性や浸達性を高めたり、溶けにくい水和剤や乳剤などの混用性を高めて、除草剤の効果のムラを減らす働きをしてくれます。
下記は除草剤との併用に非常におすすめの展着剤です。
商品名 | サーファクタントWK、30 | クサリノー |
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概要 | ||
タイプ | アジュバント (除草剤) | アジュバント (除草剤) |
補足 | クチクラワックスを溶解して表皮細胞中へ農薬を浸透させる。 グリホサート系、グルホシネート系除草剤だけでなく、芝生に使うMCPPなどの選択制除草剤の効果も高める。また、土壌処理型除草剤の葉面吸収も促進させる等、かなりの種類の除草剤で使用可能。 | ジクワット、パラコート、プログリックスLなどのカチオン型茎葉処理剤に適合し、効果を高める (アルソープ30も同様の効果) |
製造、販売元 | 丸和バイオケミカル | 日本農薬 |
展着剤についてより詳しい情報は、ぜひ下記を参考にしてください。
薬害を避けるために、適用表を確認して正しい希釈率、水量で使用するようにしてください。
まとめ
以上のように、除草剤といっても、各メーカー、また同メーカーでも性質や機能、成分によって様々な種類があることがわかりました。除草剤は農薬のため、使用する際は必ず、手袋、軍手にマスク、そして長靴を身に付け、安全に配慮して、適切な量を使用するようにしましょう。
除草することで、本来草に付く害虫の出現を減らし、従来使用していた殺虫、駆除のための農薬の噴射など使用を減らすことができます。除草剤の種類を正しく理解して、雑草の発芽前に土壌処理剤で予防して、その後、できる限りピンポイントで葉茎処理剤を効率的に使って、草むしりから解放されましょう。
芝生のおすすめ肥料、手入れに関する記事は下記を参考にしてください。