稲作につきものの水田雑草。水田には様々な雑草が生えます。その中でもクサネムは稲(イネ)よりも成長する大型雑草で、収穫時に種子の混入により米の品質低下をもたらす雑草として知られています。
ここではクサネムについて、特徴と、駆除、防除方法について、徹底解説していきたいと思います。
クサネムとは?
科 | マメ科 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Aeschynomene indica L. |
別名 | – |
クサネムはアジア,ヨーロッパ,アフリカの温帯から熱帯にかけた広い地域に分布しています。日本の水田,湿った畑地,湿地などあちこちで見られます。
クサネムの特徴
クサネムは水田,畦畔,湿地など、湿った場所に生える一年生雑草です。大型で、ネムの木のような葉っぱの形をしています。種子により繁殖し,5月頃に発芽します。開花は7~10月で,種子は9~11月に成熟し,黒色の種子の大きさが比較的玄米に近く,収穫時に混入すると機械的な除去が困難なため,夾雑物として、水稲農家にとって非常に困る害草です。
中干し後(7月中旬)に出芽、大量発生するケースも多々あります。種子が混入すると米の品質、等級の低下をもたらしてしまうので、しっかり除草することが重要になってきます。
クサネムを除草するポイント
クサネムは種子からの発芽時は除草剤に弱いため,この適期を逃がさずに一発除草剤などを使用するのが効果的です。初期に逃したものは中後期除草剤でしっかり除草しましょう。
また、畔(アゼ)際に定着したものは、種子をつける前に手で抜き取る等除草しましょう。
クサネムは湛水状態よりも湿潤条件・畑地状態を好みます。このため、耕耘・代かきを丁寧に行い、田面を平らにして土を露出させないように水管理するのも重要な防除方法です。
クサネムにおすすめの除草剤と具体的な使用時期
稲の生育初期、つまり田植え(移植)前後に、下記のような一発処理剤で抑えていく方法があります。特にピラクロニルは褐変作用を雑草に対して示す除草剤で、クサネムに対する効果が高いと言われています。おすすめの除草剤を紹介します。また、ベンゾビシクロンもクサネムに効果があります。
中期系はこちらおすすめです。
初期を過ぎてしまった場合は、初期剤や一発処理剤の後に使用する、中期・後期の除草剤を使うことになり、体型的に防除していく必要があります。
中期・後期の除草剤としては、下記がおすすめです。
このほか、アレイルSCなどがおすすめです。散布方法は、直播水稲に使えるかどうかや、落水散布又はごく浅く湛水(浅水)して散布など各農薬の使用方法を確認するようにしましょう。
重要なことは、どの雑草も成長、繁茂してからの除草は困難であるということです。地下茎を伸ばしたり、草丈が伸長する前、できるだけ初期に除草、防除することを心がけましょう。
また、田面散布の際は、田面の土壌表面がなるべく均一になるよう、ていねいに砕土・代かきし、均平となるように整地するのが重要です。(湛水散布の際は、入水等コントロール、水の出入りを止めて湛水のまま田面に均一に散布します。)
除草剤を使わない除草方法
農薬を使わずにヒエの発生を防いだり、除草したりする方法として、多くの農家さんが色々な方法を試しています。ヒエを防ぐためには様々な防除方法を複合的に行い、統合的に防除することが大事です。
ここでは、その方法を何点か紹介しますので、興味あるものがあれば、実行してみてください。
お酢を希釈して散布する
スーパーやドラッグストア、ホームセンターに売っている食酢をイネに影響がないよう酸度2・5%程度に希釈して散布すると、コナギ、イヌホタルイ、オモダカといった水田雑草を枯らす効果があるとして、お酢散布を行っている農家の方がいます。実際かなりの速効性が見られるようです。
出穂後のイネにかかると影響があるので、出穂後のイネにかけないようにするのがポイントです。(出穂前のイネには影響はあまりないとのこと)