コニシキソウ(小錦草)は北アメリカ原産のトウダイグサ科の雑草です。
道ばた、畑地、畦畔、河川敷、芝生に発生し、踏み付けに強く、地面を這うように密生することから防除が困難な雑草の一つです。ここでは、コニシキソウを、どうやって駆除し、防除していくのか、おすすめの除草剤も踏まえ、説明していきます。
コニシキソウの特性
科 | トウダイグサ科 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Euphorbia maculata L.、Chamaesyce maculata |
別名 | アカクサ |
コニシキソウは原産地が北アメリカで日本全土に広がったと言われている外来種です。種子で繁殖する夏生一年生草本で、空き地や庭、駐車場、畑地といろんな場所で生育します。逆にニシキソウは在来種で、現在はコニシキソウの方がニシキソウよりも多く分布するようになっています。
茎は暗紅色で地面を這うように四方に広がるのが特徴です。分枝を繰り返し節から発根します。全体は白い毛に覆われており、茎を切ると切り口から白い液(乳汁)が出るのが特徴です。7月から10月にかけて暗紅色の雄雌花を多数付けます。
ニシキソウとよく間違えられますが、ニシキソウは茎が濃赤色で葉の表面に斑紋(斑点)がない(コニシキソウは黒斑、また赤紫色の斑点があります)ことで見分けがつきます。またオオニシキソウ(大錦草)はコニシキソウに比べかなり大きく、地面に這うコニシキソウに比べて直立、斜めに茎が立ち上がっているために、これも区別がつきます。またコニシキソウよりひと回り小さいハイニシキソウもあります。
芝生の隙間に生えると地面を這う形状や根がちぎれやすいことからなかなか防除、駆除するのが難しい、厄介な雑草です。
コニシキソウの駆除方法
中耕・培土での駆除
生育期の中耕・培土は効果があるので、積極的に行い、防除するようにしましょう。
根がちぎれやすく抜きにくいため、生長したコニシキソウを引っこ抜く、刈るのは大変です。除草道具については下記を参考にしてみてください。
除草剤での駆除
土壌処理剤
コニシキソウは出芽深度が浅い一年草のため、発生前、発生初期に、播種後、土壌処理剤で防除するのが効果的です。
ゴーゴーサン乳剤、ゴーゴーサン細粒剤F
ペディメタリンを成分とし、選択性の土壌処理剤の代表的な除草剤です。イネ科雑草と広葉雑草両方の一年草に効果を発揮します。キャベツ、白菜、レタス、にんじんと非常に多くの作物で使用することができる除草剤です。
乳剤は、撒いた後に大雨が降ると被膜が破れてしまう為、天気が心配なときは細粒の方を使用した方が良いでしょう。
フィールドスターP乳剤
酸アミド系の除草成分ジメテナミドPを有効成分とする野菜・畑作用土壌処理型除草剤です。ノビエ、メヒシバ、オヒシバなどの一年生イネ科雑草をはじめ、カヤツリグサ、ヒユ類、スベリヒユに効きます。キャベツ、ブロッコリー、玉ねぎ、大豆、枝豆、とうもろこしや馬鈴薯に使用可能です。
葉茎処理剤
コニシキソウが生長してしまった場合は、生育初期に茎葉処理剤を用いて駆除することになります。作物、芝の心配がある場合は、下記のような選択制の除草剤を使用すると良いでしょう。
アージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
アージランはアシュラムが成分で一年生、多年生雑草を問わず、広範囲の雑草に効き、多年生雑草の地下茎まで枯死させる優れものです。芝を枯らさず、芝に生える雑草の広範囲に効くため、芝生での除草によく使われますが、畑でも、さとうきび畑やほうれん草、おかひじき、しそ、桑などの作物で使用可能な強力な葉茎処理剤です。
オヒシバ、メヒシバ、スズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
また、芝生に生えたコニシキソウを駆除したい場合は、シバゲンなどもおすすめです。芝生に生えた雑草を駆除する方法については、是非下記を参考にしてみてください。
作物の心配がなければバスタ、ザクサのような非選択制のグルホシネート系除草剤、またラウンドアップ、サンフーロンといったグリホサート系もおすすめです。
グルホシネート系の代表的な除草剤
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV8 | グリホエースプロ | はやわざ | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | (株)ハート | (株)ハート | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCP A |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
葉茎処理剤など薬剤の使い方は下記を参考にしてください。
その他の駆除方法
熱湯をかける
その他植物全般を枯らすのに効果がある方法として、枯らしたい植物に熱いお湯、つまり熱湯をかける方法があります。
確かに、熱湯を浴びた植物はその箇所が焼けて、枯れますが、地下茎や根までは浸透しないため、地上部にしか効果が出ません。また、土壌に熱湯をかけることで、土壌内部の細菌などに悪影響が出てしまいますし、熱湯を雑草にかけることは大量に行うことは難しく、費用対効果も合わないかと思います。このため、オヒシバを駆除するために熱湯をかけることはお勧めできません。
塩を撒く
最近、塩を撒くことで、除草することを勧めている記事、また除草塩という商品などが見受けられます。確かに塩分濃度が高くなると雑草は枯れるので、除草の効果はありますし、塩は非常に土壌に残留、蓄積するので、雑草が新しく生えてくることも防ぎます。
しかしながら、塩は土の中で分解されないため、半永久的に効果が持続します。このため、未来にわたって植木や花などはもちろん、野菜や穀物などの作物が一切育たたくなってしまうのです。また、土壌はつながっています。雨などで塩が流れ出て、隣の土壌にも多大な被害を及ぼします。
このため、除草に塩を使うことはくれぐれも避けてください。
(農耕地以外での)コニシキソウの防除方法
除草剤(土壌処理剤)での防除
土壌処理剤は、まだ雑草が生えてきていない、また草丈が低い時期に散布し、地面に膜を張って、新しく生えてくる雑草を抑えるものになります。春先などにしっかり撒けば、長期間防ぐことができます。ここでは、代表的なおすすめの土壌処理剤をご紹介します。
クサノンEX粒剤 (住友化学園芸(株))
ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、スギナ・ススキ・ヤブガラシ、シロツメクサ、ヒメジョオン、シロザ、アレチノギクなど各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王(フマキラー(株))
カダン除草王の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、ブタクサ、ツユクサ、カヤツリグサ、コニシキソウ、ハコベ、エノコログサ、カラスノエンドウなど一年生雑草といわれる一般的な雑草から、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、スギナ、カタバミ、オオイヌノフグリ、オオバコといった多年生広葉雑草、ススキ、チガヤといった多年生イネ科雑草、ササ類など枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
ネコソギパワー粒剤 (ネコソギトップW) (レインボー薬品(株))
アミカルバゾン、ブロマシルを成分とし、粒のまま地面にパラパラ撒くタイプの粒状の除草剤で、除草効果が約5~9ヶ月間という非常に長期間持続するのが特徴です。1~2週間で枯れ始め、30日前後でほとんど枯らすことができ、成分が土壌に一定期間とどまるので、新しい雑草の発生を予防できます。
防草シートでの防除
コニシキソウをしっかりと駆除した後、その場所に防草シートを貼ることが可能であれば、防草シートを貼ることは、非常にに有効な防除になります。防草シート(除草シート)は、光をほぼ遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制するもので大変有効です。
防草シートについては、下記のコンテンツに詳しく説明していますので、防草シートを貼ることが可能な方は、是非参考にしてください。
まとめ
北アメリカ原産のコニシキソウは、早めの土壌処理剤でしっかり防除したいところですね。
その他の庭や畑に生える雑草にお困りの方は、難雑草(イタドリ、スギナ、竹、苔、イヌビエ、イボクサ、イヌタデ、ヤブガラシ、チドメグサ、クローバーなど)水稲での水田雑草(クログワイ、チガヤ、オモダカなど)の駆除、除草についてまとめた下記コンテンツをどうぞご参考にしてみてください。
また、除草、草刈りのための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。