カソロンとは、どんな除草剤?
カソロンは淡褐色 微粒の土壌処理剤に区分される除草剤で、特に果樹園農家にとっては非常にポピュラーな除草剤です。アグロ カネショウなどから販売されている製品です。
カソロンの有効成分、性状
- DBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル(PRTR・1種))・・・2.5%(粒剤2.5)、4.5%(粒剤4.5)、6.7%(粒剤6.7)
DBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル (別名: ジクロベニル)(PRTR・1種))とは、非ホルモン系の除草剤で,根部や生長点から吸収される移行型です。細胞分裂を阻害することで枯れさせる効果があります。
性状は、淡灰色細粒です。
除草剤カソロンはDBNの濃度によって、「粒剤2.5」、「粒剤4.5」、「粒剤6.7」の3種類の製品があります。
粒剤2.5 | 粒剤4.5 | 粒剤6.7 |
カソロンの特長
カソロンは土壌処理剤で、土壌に1cmほどの処理層を作って、雑草の種子の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があります。また,植物の根から吸収された場合は10~14日で枯れはじめ,60~90日間と長期間、雑草の発生を抑える効果があります。
最大の特徴はギシギシ、ヨモギ、スギナ、ヤブガラシなど、非常に厄介な難防除雑草に効果を示す点と、60~90日間と長期間効果が持続することです。
果樹園で使用されている方では、収穫期から90日間を逆算して、散布したりします。例えば、10月に収穫する場合は、7月に散布するという感じです。
使用するときに注意したい点
時期
カソロンは土壌処理剤なので、草丈20〜30cm以上、雑草が生長している場合は、効き目が弱くなります。このため、効果を出すためには、春期の発生始めから遅くとも初夏、梅雨に入る前頃までに使用する、または、草刈りをしっかり行った後で散布するようにします。
効果・薬害・毒性
カソロンはDBNの濃度によって、「粒剤2.5」、「粒剤4.5」、「粒剤6.7」の3種類があり、それぞれに「適用作物」と「適用雑草」も異なったりします。
種類 | 適用雑草 |
---|---|
粒剤2.5 | 水田一年生雑草,畑地一年生雑草,多年生広葉雑草,スギナ、マツバイ,ミズハコベ |
粒剤4.5 | 水田一年生雑草、畑地一年生雑草,多年生広葉雑草,スギナ,マツバイ,ミズハコベ |
粒剤6.7 | 水田一年生雑草,畑地一年生雑草、多年生広葉雑草,スギナ,マツバイ |
下記の有効成分を含む農薬の総使用回数(年限)は以下の通りなので、使用回数には注意してください。
- DBN 1〜3回
DBNの使用可能回数(年限)は、適用作物によって変わってきます。水稲、水田作物、桑、果樹は「1回」、イグサ、シチトウイは「2回」、日本芝、樹木等は「3回」なので、適用作物をよく確認するようにしましょう。
また、カソロンは土壌処理剤なので、撒く土壌はできるだけ湿っていたほうが、処理層がしっかり形成されるので効果が持続しやすくなります。雨上がりに散布できるとベストです。また、地面への活着も良いので、斜面でも効果を発揮します。広範囲に散布する場合は、散布機やスプレイヤーがあると便利です。
カソロンはスギナ、ヤブガラシなど難雑草に優れた効果を発揮しますが、イネ科雑草に対しては、効果が劣ります。イネ科雑草に困っている場合は、グリホサート系やグルホシネート系の非選択系除草剤や、アシュラムのようなイネ科雑草に効く除草剤を使用する必要があります。その場合は、下記を参考にしてみてください。
その他
除草剤全般の使用する際は、服装等、注意することがあります。下記記事に詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
まとめ
除草剤を上手に使うことで害虫の発生を減らし、殺虫剤の使用量を抑えることができます。田んぼに生えてくる雑草、また全般的な防除方法や除草道具については、下記を参考にしてみてください。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の希釈方法について
液体の原液の除草剤や液肥、薬剤は、水で希釈して薄めて使用する必要があります。下記では、展着剤、乳剤、水和剤などの希釈方法や、面倒な希釈倍率、水量、液量の計算を楽にする方法を説明しています。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。