水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で野菜や草木を育てる養液栽培の一種で、固形培地を使用しないで栽培する手法のことを指します。水耕法、水栽培などとも呼ばれます。
水耕栽培キットは、100均で買えるものから、室内の日の当たらない場所でも大きく育てることができるものまで多くありますが、身近なもので自作することが可能です。
この記事では、水耕栽培のキットの自作方法についてわかりやすく説明します。
ペットボトルで作る基本の水耕栽培キット
まず初めに、ペットボトルを使った栽培キット。水耕栽培をしている人なら一度は作ったことあるのではといえる、基本の水耕栽培キットから紹介します。ペットボトルは野菜の大きさなどに合わせてましょう。
野菜やハーブを種まきからつくったり、観葉植物や花木の挿し木(水挿し)にも使えます。
用意するもの
- ペットボトル
- カッター
- スポンジ(キッチンスポンジでOK。柔らかいものを選びます。メラニンスポンジは不可)
手順
- ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットします。
種から育てるときは、十字に切れ込みをいれておきます。 - 1でカットしたペットボトルの部分の口の部分に2のスポンジをはめ込みます。
(種をまく場合は、スポンジは水を十分吸い込ませてから、十字の部分に種をまきます。) - 切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。
種をまいたら上にラップをして発芽まで待ちます。水位はスポンジが常につかるようにします。 - 根が伸びてきたら、スポンジは浸からないように水位を下げて、根から水を吸い上げるようにします。
さし木から始める場合は、水挿しして発根させてからスポンジにセットします。
バジルの水挿しの記事も参考にしてください。
スポンジとハイドロボールで作る水耕栽培キット
水耕栽培で人気のリーフレタスやベビーリーフなどは、たくさん収穫するとなると、ペットボトル栽培だと何個も作る必要があります。そこでおすすめのキッチンスポンジをそのまま使った方法です。
準備するもの
- スポンジ(キッチンスポンジでOK。柔らかいものを選びます。メラニンスポンジは不可)
- 容器(タッパーや、イチゴのパックなどスポンジがすっぽり入るもの)
- ハイドロボール小粒(事前に水洗いして汚れをとっておく)
- カッター
手順
- スポンジは、横に2列にカッターで深さ2㎝ほどの切り込みをいれます。
- 容器にスポンジをいれ、水をいれてスポンジに水を十分に吸わせます
- 切り込みに種をまいて、ラップで蓋をして発芽を待ちます。
- スポンジの下から根が出るところまで育ったら、スポンジの下にハイドロボールを、
深さ2㎝ほどいれてからスポンジをのせて栽培します。水はハイドロボールが浸る程度いれます。
ハイドロボールは正式名称をレカトンとよび、1つ1つの小さな丸いボールには細かな穴があいています。その穴の中に取り込まれた空気が、植物の根に空気(酸素)を運んでくれます。
水やりはハイドロボールが乾いたらでいいので、水やりを楽にし根が張りやすくなる効果もあります。
100均などで手軽に買えて、洗って再利用もできます
水切りカゴで作る水耕栽培キット
100均などでも売られている、卓上サイズの水切りカゴは、カゴの部分とプラスチック容器がセットになっているので水耕栽培するにに、適した容器です。ザルにハイドロボールを直接いれて、育てることもできます。
スプラウトなら、ザルとキッチンペーパーだけでも育てることができます。スプラウトとは、スプラウトとは発芽してから数日たった新芽のことで、カイワレ大根や、ブロッコリースプラウト、豆苗などがあります。
準備するもの
- 水切リカゴ
- キッチンペーパー(スポンジでもOK)
- 霧吹き
手順
- ザルの部分に、キッチンペーパーを敷きます。
- キッチンペーパーの上に、スプラウトの種をまきます。
容器の床面積の7割程度、かさならないように並べます。 - 霧吹きで種の上から、水やりをします。毎日種がかわかないように与えます。
- 発根が全体にそろってきたら、ザルを外し容器に薄く水を張って水やりをして育てます。
日照とLED植物育成ライトについて
水耕栽培は、室内でも家庭菜園が楽しめますが、植物にとって日光がないと、光合成ができないため大きく育てることができません。ずっと日の当たる場所で育てる必要はありませんが、野菜の栽培などでは日照時間は1日、葉菜類で3時間、実もので5時間は必要です。
水耕栽培は、直射日光に当てると容器内の水の温度が上がりすぎてしまうため、真夏などは室内の窓際の明るい場所で育てましょう。育苗しているときに、ヒョロヒョロと苗が徒長してしまうようであれば、日照不足です。
LEDライトを使えば、室内でも日照不足を解消できます。LEDライトは、植物育成用のもの使いましょう。タイマー機能や光が調整できるものあります。
容器の遮光について
ペットボトルや、果物のが入っていた入れ物などの透明な容器は、日光に当てて育てると藻(アオコ)が生えてしまいます。見た目が悪くなるのももちろんですが、根に生えると植物の成長を阻害します。
容器をアルミホイルなどでくるんで、遮光しましょう。ちょっと見栄えが気になるときは、ペットボトルであれば、大きめのマグカップや陶器のコップなどにいれる、もしくはペットボトルカバーやバンダナなどでくるんであげてもおしゃれに見えます。遮光シールなどを使って工夫しましょう。
また水を換える時には、容器もこまめに洗いましょう。
エアーポンプ
エアーポンプは、水耕栽培に必須ではありません。しかしエアーポンプを使うと、植物の成長に必要な酸素が根に届くようになり、土壌栽培よりも早く大きく育てることができます。本格的な水耕栽培をしている人は、エアーポンプをうまく使って収穫量を増やしています。
エアーポンプは、水耕栽培用か熱帯魚用のものが使えます。容器の容積にあったポンプを選びましょう。
エアポンプと自動給水機能がついた水耕栽培キットもおすすめ。水畑シリーズは値段がミニなら2600円ほどと手頃です。
エアーポンプを使った自作の水耕栽培キットについては、トマトの水耕栽培の記事にのっています。
水耕栽培の肥料
水耕栽培で野菜などを育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
植物別 自作の水耕栽培キット
キュウリやイチゴ、トマトなどの実ものを水耕栽培で育てるには、少し難易度があがります。これらの栽培方法や栽培キットの記事も参考にしてください。