梅雨になると、ピンクや青色の美しい花を咲かせてくれる紫陽花(アジサイ)は、日本だけでなく世界中で愛されている花木です。庭木や鉢植えとしても人気が高い草花で、日本だけでなく世界中で栽培されています。
紫陽花は実生(種まき)、さし木、とり木で増やすことができますが、さし木が簡単で切り花からも増やすことができます。園芸本などでは土(赤玉土や鹿沼土)で挿し木するのが一般的ですが、水栽培での水差し(水挿し)でも行えます。
この記事では、水栽培で増やす紫陽花の挿し木の方法や成功率を上げるポイント、鉢上げの方法など初心者の人でもわかりやすく説明します。
紫陽花の挿し木の時期と、さし木について
水挿しの時期
紫陽花の挿し木は、生育期に今年伸びてきた新しい枝を挿して増やす「緑枝挿し」と休眠期の冬に剪定した枝を使って増やす「休眠挿し」があります。
水栽培での挿し木は、今年伸びてきた新しい茎を使った「緑枝挿し」がおすすめ。5月中旬~7月下旬までが適期です。
休眠挿しは、土に挿し木して増やすのがおすすめです。剪定した枝から増やせ、緑枝挿しよりも容易に発根します。
さし木の選び方と準備
さし木(挿し穂)は、苗から取る場合は開花が終わった後、春から伸びた新しい枝を使います花芽が付いていないものが良いでしょう。日当たりの良い場所で育った苗の枝で、節と節の間が詰まっているものを選びましょう。
切り花の場合は、切り取ってから時間が経てば経つほど、成功率は下がります。花屋さんで買う場合には入荷したばかりの枝を選んで購入してください。花屋さんに聞いてみましょう。いただいた花も切り花の場合はいただいたらすぐに、花が付いている上部を切り取り、下の茎を使って挿し木します。切り取った花は小さなコップに飾れば花も楽しめます。
枝は、節が2節~3節ほどついている状態で、8㎝から10㎝に切り分けます。一番上部の葉を2枚だけ残し、下の葉は切り取ります。残した葉からの蒸散を防ぐため、半分から3分の1残して切り取ります。下の茎はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。切ったらすぐに水揚げするので先に水を用意しておきましょう。
紫陽花の挿し木の手順(水栽培)
上記の挿し穂が準備できたら、挿し木を始めましょう。手軽に家にあるものでできます。発根促進剤は絶対必要ではないですが、あると格段に成功率があがります。
準備するもの
- 紫陽花の挿し穂
- 花瓶やコップ(ペットボトルを切ったものなどでも可能。透明な方が根が見えてよい)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤)
手順
- コップやガラスの器に、メネデールを100倍に希釈した水を入れます
- 8㎝から10㎝ほどに切りそろえた、挿し穂を入れます。切り口を斜めに切ったらすぐ水に入れましょう
- 置き場所は、室内の明るい日陰で管理します。(夏は窓辺に置くと温度が上がるので注意)
- 水は2日に1度かえましょう。発根するまでメネデールを100倍~200倍に希釈した水を使います。
- 1カ月程度で発根します。根がしっかり伸びてきたら鉢上げします。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。
植物活力素 メネデールは、発根だけでなく発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。液肥でも農薬でもないためいつでも使うことができます。
紫陽花の水挿しには、水揚げのときにメネデールをいれる。また水やりのときには発根まで2~3日に一度メネデールを薄めた水で水やりをするとよいでしょう。
土や土の代わりの培土を使う場合にはルートンも使えます。ルートンは、さし木、さし苗の発根を促進させる植物成長調整剤です。粉末状ですので枝の切り口3㎝ぐらいを水に浸して、粉末をまぶして使います。
成功のポイントまとめ
- さし木の時期は、5月下旬から7月下旬
- さし木にする枝は、日当たりの良い場所で育った、節と節の間が詰まっているもの
- 切り口はスパッと切って、切り口を大きくする。
- 発根促進剤を使用する
- 水は2日に一度、直射日光には当てない。
鉢上げ(土への植え替え)
根がしっかり伸びてきたら、鉢上げして土に植え替えましょう。通常土にさし木した紫陽花は、翌年の3月までしっかり根を育ててから鉢上げした方が、成功率が高いといわれています。
根は水や栄養を取るために伸びて生長します。しかし水栽培の場合は根が水に直接ついているため水や栄養を取りやすいため根が発達しにくいので、冬の休眠期に入る前9月上旬までには、鉢上げをしたほうがよいでしょう。庭植えにする場合もまずは、鉢植えにして1年ほどたってから庭植えにします。
準備するもの
- 発根した紫陽花
- ポットや鉢(3号鉢程度のもの)
- 用土(赤玉土7・腐葉土3などの配合土)
- 鉢底石
手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- 紫陽花の苗をいれ、根を広げます
- 3の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
- 肥料は根付くまで与えません。冬に入り休眠期にはいるので翌年3月頃から与えましょう。
紫陽花の用土について
紫陽花の用土は、水はけのよい用土を選びます。自分で配合する場合は赤玉土小粒7・腐葉土3などの配合がよいでしょう。市販のアジサイ用土も便利です。紫陽花は土壌がアルカリ性になるとピンクや赤色になり、酸性になると青色になるといわれています。
赤色にしたい場合は、赤玉土4・腐葉土4・バーミキュライト2の配合にし、青色にしたい場合は腐葉土をph無調整のピートモスにするとよいでしょう。花つきをよくしようとリン酸の多い肥料を与えると赤くなってしまうので注意が必要です。とはいえ品種や環境により100%色がコントロールできるわけではありません。
その他アジサイの肥料について
さし木で増やすことができたら、肥料を与えて美しい花を咲かせましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。紫陽花は比較的さし木の成功率が高い植物です。水栽培での挿し木でしたら根の様子も見え、家庭でも簡単に手軽でできるのでおすすめです。切り花でも始められるので一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
それぞれの環境によっても、発根や育て方は変わるもです。うまくいけば翌年に花が咲くこともあります。失敗して枯れてしまうこともあるかもしれませんが、試行錯誤するのも植物を育てる楽しみの一つです。ぜひこの記事を参考にして、美しい紫陽花をふやしてみてください。
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