大根を育てるのに肥料はどのように与えたらよいのでしょうか。この記事では地植え、鉢植え(プランター)で育てる場合の大根の肥料の与え方について、わかりやすく説明します。
大根栽培の肥料の与え方のポイント
畑などの地植えでは有機肥料がおすすめですが、未熟な堆肥や肥料をつかうと大根がまた割れを起こす岐根(キネ)になってしまうことがあるため、完熟した肥料を使いましょう
家庭菜園では「秋まき栽培」がおすすめですが、寒冷地では「夏まき栽培」暖地では「春まき栽培」も可能です。春まき栽培の場合は肥料を少なめに7割程度を目安に与えましょう。
大根はホウ素が不足すると、艶がなくなり、根の部分が生育不良になり芯部が褐色になったりスが入ったりします。米ぬかや油粕などの有機肥料には微量要素が含まれているため、不足の心配はあまりありませんが、化成肥料のみを使う場合は、ホウ素が配合されているものを使いましょう。
大根栽培の肥料の与え方
大根の肥料時期(タイミング)
大根の作型は、「春まき栽培」「夏まき栽培」「秋まき栽培」「冬まき栽培」と1年を通して栽培が可能です。どの時期の栽培でも、肥料のタイミングは基本的には同じです。
元肥は地植えの場合はタネをまく2週間前までに、土づくりと一緒に行っておきます。追肥は、本葉が5~6枚になったころ、間引きが終わったら追肥します。本場が15枚~20枚程度になり、根の部分が肥大してきたころに2回目の追肥を与えることもあります。
地植えの肥料の与え方
大根の地植えの元肥には、全面施肥で行うことが多いようですが、根に肥料が当たると大根は未熟堆肥や、肥料の塊などが根にぶつかると、大根がまた割れを起こす岐根(キネ)になってしまうことがあるため、溝施肥が主根にあたらないよう溝施肥で行う方法もあります。
(下記の施肥量は、秋まき栽培を基準としています)
元肥① 全面施肥
元肥の方法で、畑全体にまんべんなく肥料を与えることを全面施肥(全層施肥)といいます。多くの野菜に使われる元肥の方法です。種まきの2週間前までに行っておきます。
- 栽培するスペース(畝)を決め、深さ30~40㎝ほどに深く耕し、土や石などを取り除きます。
- 堆肥(牛糞など)1㎡あたり2kgを畝全体にまきます
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに有機肥料や緩効性の化成肥料をを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 畝幅60cm~70㎝の平畝を作ります。
元肥② 溝施肥
元肥の方法で、畝の中央に溝を掘って肥料を埋め込んで与えることを溝施肥といいます。畝に1列でつくる一条植えなら、株と株の間に肥料を施します。1~4までは土づくりですので、種まきの2週間前にはおこなっておいてください。
- 栽培するスペース(畝)を決め、深さ30~40㎝ほどに深く耕し、土や石などを取り除きます。
- 堆肥(牛糞など)1㎡あたり2kgを畝全体にまきます
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- 畝幅60cm~70㎝の平畝を作ります。
- 深さ3~4㎝ほどの溝へ30㎝おきに、化成肥料を1握りいれます。タネまきは、肥料を入れた溝から1㎝以上離れた場所に点まきしてください。
追肥
追肥は、2回目の間引き後に与えます。
間引きは2回行います。1回目の間引きは、本葉が2枚にそろった頃、1カ所につき3株に間引きます。2回目は、本葉が5~6枚になったら1本立ちさせます。子葉は、ハート形で左右そろっているものが正常です。追肥は速効性の化成肥料を畝肩に一握りほどまいて中耕して、周りの土を株元に寄せて株を固定する土寄せします。
9月下旬に種をまいて収穫が1月になる場合は、耐寒性の低下防止のために追肥の30日後に、追肥します。施肥の仕方は1回目と同様です。
プランター・鉢植えの肥料の与え方
元肥
プランターや鉢植えで大根を育てる場合は、深さが30㎝以上の大型のものを使いましょう。用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土3などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
追肥
追肥は、種まきから20日後、35日後ぐらいに行うとよいでしょう。速効性の化成肥料を株の周りに施して、たっぷりと水を与えてください。根や株に触れないように注意しましょう。
間引きは、庭植えと同様でもよいですが。生長に合わせて間引き、葉が10枚になるころに株間が15㎝~20㎝ほどになるのを最終とすると、葉っぱを多く収穫することもできます。
土壌について
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。大根は根が直根性のため、発芽後に最初に伸びる根がストレスなく、深く伸びることが重要。そのためには、土壌をやわらかくし、水はけをよくすることが大切です。
深さ30㎝~40㎝ほど深く細かく耕し、畝を間引き後に土寄せすることで水はけがよくなります。堆肥や有機物は完熟のものを使い、腐熟していないものを使う場合は種まきの1か月前には施して耕しましょう。畑などで、前作に堆肥などが施してある場合は堆肥は不要です。
土壌pHは、5.5~6.5でよく生育しますが、弱酸性を好み酸性に強い性質を持つので、石灰は施さなくても大丈夫です。特に高温期の作型は、phが高いと病気の発生にもつながる可能性もあるので、注意が必要です。
育てる時期で変わる肥料の量
大根の作型は、「春まき栽培」「夏まき栽培」「秋まき栽培」「冬まき栽培」と1年を通して栽培が可能です。この育てる時期によって肥料の量は変わります。
大根は高温期に成長が早まって、肥料を多く吸収しやすくなります。この頃にチッソを与えすぎると、葉が大きくなりすぎて、根が成長しなくなったり、空洞病や、軟腐病などの病気にもかかりやすくなります。
秋まき栽培を基準とすると、春まき栽培の場合は肥料を少なめに7割程度で大丈夫でしょう。肥料を減らすことで成長をゆるやかにしてずっしりとした大根を収穫することができます。
大根におすすめの肥料
大根には、庭植えの元肥には有機肥料の油粕、鶏糞、米ぬかなどを原料としたぼかし肥料などが使えます。化成肥料には肥料メーカーが販売している、大根専用の肥料や野菜の肥料などが便利です。
また液体肥料はプランター栽培で使えるほか、肥料不足の時の緊急対策としてもつかうことができます。
まとめ
ここまで大根の肥料のやり方について説明してきました。大根は意外と肥料食いです。ポイントは生長初期から中期に肥料を必要なだけ与えてあげることです。肥料は与えすぎても、肥料やけや、葉が育ち根が育たたないなどの問題もおきます。
大根は種から植え替える必要もなく、初心者の人でも栽培しやすい根菜です。記事は青首大根をベースに書いておりますが、二十日大根などさらに栽培期間の短い大根などもあります。大根は葉っぱなども楽しめるのでぜひ、挑戦してみてください。