草刈り鎌は、一見同じような形に見えますが実は刃の形や厚み、柄の長さなどが異なり、それにより用途が変わります。鎌は用途に合ったものを選び、正しく使うことで効率よく安全につかうことができます。
ここでは、手軽に使える小さな鎌から、立ってつかう大鎌まで、草刈り鎌のタイプ別に特徴や使い方をわかりやすく説明します。
草刈り鎌の使い方
鎌は大きく分けると、片手で草を刈る柄の短い「片手鎌」と、両手をつかって草を刈る柄の長い「大鎌」に分けられます。鎌によって使い方が変わるのでタイプ別に説明します。(草刈の種類については、下段に説明があります)
片手鎌(三日月鎌・ノコギリ鎌・信州鎌)の使い方
ねじり鎌以外の三日月鎌、ノコギリ鎌、信州鎌などは、刃が横についています。一番スタンダートな鎌の使い方から説明します。
- 鎌は利き手で使います。背丈の高い草は、利き手とは反対の手でしっかりと草を握ります。このとき手首をひっくり返して、親指を下にして草を握りるとしっかり草が握れ、次の作業にも映りやすいので効率的です。
- 鎌は下の方をしっかり握ります。雑草の根元部分(成長点の下)に刃を当てて、右前方から左後方に引いて刈り取ります。(左利きの方は左前方から右後方)
- 刈り取った草はその場に置いてそのまま、左から右に進んでいきます。
片手鎌(小鎌)の使い方
小鎌は一般的な鎌と同様にも使えますが、基本的に小鎌は背の高い草に向いているので、低い草を刈るときの使い方を説明します
- 背の低い草を切るときは、無理に草を持つ必要はありません。
- 鎌は下の方をしっかり握り、草の根っこの部分を削り取るように小鎌の刃をいれて、ザクザクと右上から左下に(左利きの方は左上から右下に)手首を効かせて、テンポよく刈り取ります。ツタなどがあり、草がつながっている場合には、左手で草を引っ張ってむしり取りながら刈ると刈りやすくなります。
- ある程度刈り取ったら、草を除いて刈残しがないか確認しましょう。
片手鎌(ねじり鎌)の使い方
草刈りというより、草削りをして草を刈る、ねじり鎌の使い方を説明します。ねじり鎌も基本的には背の低い草の草刈りに向いています。
- 草の根元に、刃を差し込み、そのまま土と一緒に草を削りとります
- 根が深い場合には、鎌を90度回転させて、草の根元に差し込みねじって水平にしてから刈り取ると、力を入れずに深く掘り起こすことができます。
- ねじり鎌をつかって、抜いた雑草を集めることもできます。
大鎌(刈払鎌)の使い方のコツ
ホーや三角ホーは、鍬に似た形状ですので、ねじり鎌と同様に草を削りとって雑草を駆除します。刈払タイプの大鎌は、コツがいります。
- 両手でしっかり持ち、刃先から横に滑らせるように振る。刃全体で切ろうとすると余分な力も必要になり、草が横に倒れて切れないことがあります。
- 大きく左右に振れば、刈幅は大きくなりますが体力も使います。体力のない人は、小さく振り大鎌の重さをうまく使いましょう。
- 通常の鎌と違い、地際まで刈り取るものではありません。高刈りにも向いています。
草刈り鎌の種類
片手鎌
鎌は実は地方によって、使われている刃の形が違います。代表的な鎌について説明します。
三日月鎌
刃が三日月の形になっているこの形の鎌は、全国で使われている最も一般的な形です。背丈のある草もスパスパ切れる切れ味のよい鎌です。刃の薄い「薄鎌」は刃の先が薄く切れ味がよいので、やわらかい草に向いています。ススキなどの硬い草には、「中厚鎌」が刃が固く、耐久性も高いのでおすすめです。
三日月鎌(薄鎌) | 三日月鎌(中厚鎌) |
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ノコギリ鎌
刃の部分にノコギリのようなギザギザがついている鎌。イネや麦などの繊維が強い草を刈るのに最適です。草刈りにももちろん使えますが、収穫にも使われる鎌です。
小鎌
関東でよく使われる、刃渡りが短い鎌です。刃が短いので狭い場所でも使え、背の低い草を刈るのに向いています。刈り取るだけでなく、土ごと削ることもできます。刃が小さく手軽いので女性でも使いやすい鎌です。
ねじり鎌
関西地方でよく使われる草刈り鎌です。三日月型のように鎌の刃が横にあるのではなく、クワのように下を向いているのが特徴です。刃の部分が柄に対してねじれています。刃先を土にさして、背の低い草をひっかけて、土ごと削って草刈りします。刈るというより草削りの道具です。腕や手首に負担が少ないのも特徴です。
信州鎌
信州で作られ、信州や茨城、千葉などでも使われる鎌です。刀の背の部分は厚く、刃の部分は非常に薄くつくられているため軽量で丈夫です。刃が少し浮き上がっているのが特徴で、刈った草が下ではなく、手元側によって落ちます。長野の伝統的な「信州打刃物」の一種です。
大鎌(立鎌)
刈払鎌
刈払鎌は、通常の鎌に長い柄がついたタイプの鎌で、大鎌というとこちらがイメージされます。山林などで使われるものは造林鎌とも呼ばれます。刃を横にすべらせて草を刈り取ります。使い方に少しコツがいりますが、使い慣れれば広い場所の雑草を刈り取ることもできるので、燃料も不要で、振動もないので刈払機より好む農家さんもいます。
ホー(窓ホー)
ホー(hoe)とは英語で鍬(クワ)の意味で、ねじり鎌のように、半月型の刃が鍬のように下向きについています。草が絡まないように半月型の頭の中央に穴が開いていることから窓ホーとも呼ばれます。立鎌や草刈りホーとも呼ばれます。立ったまま草刈り、草削り、土寄せができます。
三角ホー
三角ホーは、名前のとおり刃の先が尖った3角形の形をしており畑などでよく使われます。除草の他・掘り起こし・土ならしができます。先が尖っているので、草を根っこから掘り起こしやすい形です。刃の横の部分で土を均すこともできます