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リン酸肥料

リン酸肥料の効果的な使い方

リン酸肥料について知りたい方向けのバナー リン酸肥料

この記事では、リン酸肥料の効果的な使い方、リン酸が持つ肥料としての効能など詳しく解説します。

リン酸とは

リン酸(P)は、肥料の三要素の一つで植物の遺伝情報の伝達やタンパク質の合成などを担う核酸の重要な構成成分となります。施肥を考える上では、「実肥」と呼ばれ、開花・結実を促すためにリン酸が必要となります。また、植物全体の生育や分げつ、枝分かれ、根の伸長など様々な要素に関わっています。

リン酸肥料の使い方

ようりん

概要

ようりん(熔リン)は、リン酸と石灰を含むリン鉱石、珪酸(けい酸)と苦土(マグネシウム)を含む、けい酸苦土含有の鉱さいです。熔融方式によって製造されるリン酸肥料の総称とも言えます。

形状は複数あり、砂状、粒状があります。さらにホウ素・マンガンの入ったBMようりんがあります。

使い方

ようりんに含まれるリン酸は、く溶性リン酸であるため元肥(土作り)に使用することが一般的です。

特にようりんは、水稲で使用することでコストパフォーマンス良く土作りができます。稲作に必要な珪酸(ケイ酸)が豊富に含まれていることで倒伏や冷害に対する抵抗力を高め、副次的効果としてイモチ病にかかりづらくなります。また、ようりん施用によって、ようりんからのリン酸、苦土、ケイ酸に加えて、石灰、微量要素などが供給されることで、窒素含量が低下し食味が上がるという実例もあります。

もちろん畑でも使用することはできますが、リン酸としての効果が現れるのは遅くなるので、リン酸質肥料の効能を期待する場合は、過リン酸石灰(過石)等と合わせて使用すると良いでしょう。また、畑の場合はホウ素・マンガンが含まれているBMようりんがおすすめです。

実際に畑で使用する場合は、元肥を施す3〜4週間前に、土とよく混ぜておきます。リン酸は土の中を移動しにくいので、深く耕して下の方まで入れます。施用量は、畑の状態にもよりますが、まずはラベル等の記載に合わせましょう。

リン酸カルシウム(過リン酸石灰(過石)、重過リン酸石灰(重過石))

概要

リン酸カルシウム肥料の代表的な肥料は、過燐酸石灰(過石)と重過燐酸石灰(重過石)でしょう。

過リン酸石灰は、可溶性リン酸として15%、水溶性リン酸を13%以上含むことが保証されています。また、可溶性石灰、く溶性石灰、水溶性石灰、可溶性硫黄をそれぞれ1%以上含むことも保証されています。(出典:肥料の品質の確保等に関する法律に基づき普通肥料の公定規格を定める等の件 – 農林水産省公示

過リン酸石灰に含まれるリン酸は、水溶性リン酸が多いので、水に溶けて作物に吸収されやすいです。そのため、速効性のあるリン酸肥料として使用することができます。また、リン酸以外に、硫黄、石灰(カルシウム)、苦土(マグネシウム)、鉄などの多量要素・微量要素が含まれているので、それらの補給としても役立ちます。

過石と同様に主成分はリン酸一石灰であるが、リン酸含量が高く、可溶性リン酸は30%以上含まれています。

使い方

過リン酸石灰に含まれるリン酸は、大部分が水溶性であるため、リン酸質肥料の中でも肥効の高い肥料と言えます。元肥だけではなく、追肥としても使用することができますが、以下には注意が必要です。

  • 土壌pHが酸性に偏っていると、リン酸が土壌に固定されてしまうので、作物に適正なpHにしてから施用する。
  • 過リン酸石灰は硫酸根を含むので、老朽化水田には適さない。

施用量は、畑の状態にもよりますが、まずはラベル等の記載に合わせましょう。

亜リン酸

概要

亜リン酸肥料は、一般的なリン酸肥料とは異なります。

リン酸肥料には、過リン酸石灰(過石)、重過リン酸石灰(重過石)、熔成リン肥(ようりん)、重焼リン、燐安などがありますが、これらはすべて「正リン酸塩」が含まれています。正リン酸塩は、化学式で「H3PO4」と表されます。

一方、亜リン酸は正リン酸に比べて酸素が一つ少ない「H3PO3」と表されます。この差異は、大きな違いを生みます。亜リン酸は、正リン酸と比較して主に下記の違いがあります。

  • 溶解性が高い
  • 作物体内での移行性(移動のしやすさ)が高い
  • 土壌に吸着されにくい

亜リン酸はリン酸質肥料の中でも即効性の高い肥料と言えるでしょう。

また、亜リン酸肥料は病害発生の予防にもつながると言われています。

これらのことから、亜リン酸肥料は注目されています。

使い方

亜リン酸肥料は、粒状と液体肥料があり、それぞれ使い方が異なります。

粒状の場合は、土壌に散布したり、混和して使用します。植え付け時に植え穴に混和できるものも多いです。

液体肥料(液肥)の場合は、灌注処理・浸漬処理だけではなく、葉面散布剤として使用することもできます。

リンカリ肥料(リン酸カリウム)

概要

リンカリ肥料(リン酸カリウム肥料)とは、窒素(N)を除く、リン酸(P)、カリウム(K)を含む肥料のことを指す総称です。肥料の三要素の中で、リン酸とカリウムに特化した肥料と言えます。

肥料のパッケージや「生産業者保証票」、「輸入業者保証票」の表成分量には「N:P:K=0:20:10」のように窒素(N)は0と記載されています。

使い方

リンカリ肥料は、主に補助的に追肥で使うことが一般的です。堆肥など有機物や緩行性の化成肥料を中心に土づくりを実施し、花芽をつける時期や着果(着花)が悪いときにリンカリ肥料を使用すると良いでしょう。

また、窒素成分が含まれておらず、リン酸とカリウムを補給できるため、土壌中の窒素成分が高すぎて植物が徒長気味、茂りすぎているときにも有効でしょう。

施用量については、各商品によって保証成分量が異なるため、パッケージに記載の目安量を参考にすると良いでしょう。

(リンカリ肥料の使い方)準備中

リン酸質肥料の特徴と効果

先述したとおり、リン酸は植物にとって重要な三要素(三大栄養素)の一つです。リン酸が不足(欠乏)すると、花数が減少し開花・結実が悪くなったり、成熟が遅れてきます。肥料のラベルなどには化学式や元素記号で「P」と表される事が多いです。

リン酸は「実肥」と呼ばれ、その名の通り、開花・結実を促進したり、発芽や花芽の付きをよくする働きがあります。リン酸は、植物体内で以下のような働きを担っています。

  • 遺伝子の元になるDNA(核酸)の重要な構成成分としての働き。
  • 生物の細胞膜の構成成分としての働き。
  • 糖類と結合して生物体内でのエネルギーのやりとり(呼吸作用)。

植物では開花・結実を促進したり、根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働きがあります。 果実の成熟や品質の向上にも役立ちます。通常、植物を栽培する場合は必ず肥料として必要になる「三要素」のひとつです。

リン酸過剰は、通常の栽培では起きにくいことですが、極端に過剰な状態が続くと生育不良となります。特に、亜鉛、鉄、マグネシウムなどの微量要素の欠乏症状を引き起こします。

また、リン酸は土壌の酸度(pH)が7.0以上のアルカリ性になってくると石灰(カルシウム)と結合して吸収されにくくなります。土壌酸度(pH)が5.5〜6.5のとき最もリン酸が溶出されます。地温(土壌の温度)によっても作物の吸収効率が大きく変化し、地温20℃から10℃になると吸収効率が1/10程度になります。

土壌を適正な環境に整え、適量を必要なときに与え続けることが重要となります。

リン酸肥料の作り方

リン酸の含量が比較的多い有機質を組み合わせて、ぼかし肥料とすることでリン酸の多く含まれた肥料を作ることができます。また、ぼかし肥料にせずとも、それぞれをそのまま散布、混和しても良いでしょう。

詳しくは以下の記事を参考にしてください。

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