マメ科の枝豆は、根に根粒菌がついて窒素を発生させるため通常の野菜と少しやり方が異なります。ここでは枝豆の植え付け時の元肥や追肥のやり方について、栽培(地植え・プランター)別に説明します。
枝豆栽培の肥料の与え方のポイント
枝豆は肥料の与えすぎに注意が必要な作物です。肥料の与え方のポイントは、下記のとおりです。
- 窒素分が多いと、つるボケがおきて実付が悪くなるので窒素分は控えめに施します。
- 花が咲くころの追肥は、生育をみて追肥をするか決めます。草丈が40cm以上になっているようなら追肥は不要です。
- 生育の初期はゆっくりと効果のある緩効性肥料を施肥しましょう。
元々畑で野菜を作っていた場所で育てる場合は、肥料がいらないこともあります。判断に迷ったらこちらの記事も参考にしてください。
枝豆(エダマメ)の肥料の与え方
では実際にどのように肥料をやるのか、説明していきましょう。肥料のやり方は育て方によってもいろいろありますが、基本的な施肥の仕方について説明します。
地植えの場合
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥があります。豆類は全面施肥が一般的ですが、家庭菜園では溝施肥でも行われます。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
元肥① 全面施肥
元肥の方法で、畑全体にまんべんなく肥料を与えることを全面施肥(全層施肥)といいます。多くの野菜に使われる元肥の方法です。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰をまいておきます。
- 1から一週間後に完熟堆肥(牛糞など)1㎡あたり1kgを畝全体にまきます。
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに緩効性肥料15g程度をを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 畝幅50~60cm、高さ10㎝の畝を作ります。
- 肥料を施してから7日~10日ほどたってから種をまきます。
元肥② 溝施肥
元肥の方法で、作物の下に肥料がくるように溝を掘り、肥料を埋め込んで与えることを溝施肥といいます。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰をまいておきます。
- 畝幅70㎝の畝を作ります。
- 畝の中央に深さ20㎝ほどの深さに溝を作り、完熟堆肥(牛糞など)と有機肥料や化成肥料を入れ土を戻します。
- 3から1~2週間ほどたったら、種をまきます。
追肥
追肥は、花芽がついたころに行います。このとき、葉色(葉の色)を確認しましょう。葉色が薄く生長が遅い場合には追肥の必要性がありますが、葉色が適度に濃く生長が盛んな場合には追肥は必要ありません。
枝豆(エダマメ)は、空気中の窒素を自分の養分として吸収することができます。そのため、追肥をするとしても少量で様子を見ましょう。過繁茂(葉や枝が多くなりすぎて混む様子)にならないように注意が必要です。
追肥を行うときは、マルチをめくって畝の肩に肥料を散布します。施肥量は、化成肥料15g程度が目安ですが、エダマメの生長や土壌の肥沃度によって調整してください。肥料を施したら、まいた肥料が隠れる程度に肥料と土を混ぜ合わせるように軽く耕しましょう。マルチングをしている場合は、マルチをもとに戻します。
鉢植え・プランター
鉢植えや、プランターなどで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1を混合します。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
プランターの場合は水やりなどで肥料が流れやすいので、地植えより追肥は多く与えます。枝豆の追肥は、液体肥料がおすすめです。花が咲いたら、最初の追肥をしましょう。水やり代わりに与えるか、薄めた液肥を直接葉や茎に霧吹きなどで葉面散布してもよいでしょう。その後、2週間後に同様に肥料を与えます。生育の途中で葉の色が悪くなるようなら、液体肥料を与えて様子をみるとよいでしょう。
土壌について
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。枝豆は、有機質が多く保水性がよい土が適しています。連作は嫌いますので、3年~4年の輪作にしましょう。他のマメ科(インゲン・エンドウ・ソラマメ)との連作もできません。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度(pH)は、6.0〜6.5です。土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
枝豆(エダマメ)におすすめの肥料
枝豆は、肥料過多になるとつるボケして実がつかないとよく言われますが、これはマメ科特有の性質にあります。マメ科の植物は、根っこに瘤(こぶ)のようなものがたくさんあります。これは根粒(こんりゅう)と呼ばれ、中には根粒菌という土壌微生物が共生しています。この根粒菌が植物に欠かせない窒素を作り出しているのです。
そのため普通の野菜と同様に窒素を与えると、窒素が多すぎて葉や茎が大きく育ちすぎて、そちらに栄養がいってしまうため実がつかなかったり、大きくならなかったりします。
そのため枝豆に与える肥料は、窒素を控えめにする必要があります。リン酸やカリウムは結実に必要な成分なので、窒素を控え、実をつけるのに必要なリン酸(P)と、根肥といわれるカリウム(K)を高めた肥料がおすすめです。
堆肥や石灰は根粒の働きをよくするので、土づくりに堆肥や苦土石灰を使います。生育初期に窒素が多いと、つるボケしやすいので、元肥には緩効性肥料が適しています。枝豆や大豆、マメ用の肥料がおすすめです。
開花の頃の追肥は、窒素分が多く必要なため速効性の化成肥料がおすすめです。
おすすめの肥料の種類の詳細や商品についてはこちらで詳しく説明しています。
その他 枝豆の肥料で気をつけるポイント
中耕・土寄せ
枝豆は根についた根粒菌の働きによりによって発生した窒素を元に成長します。根粒菌の働きを良くするためには、月に1回~2回ほど、中耕をし土寄せを行うと、働きが活性化して豆がぷっくりと太ります。
枝豆が大きくならないのは肥料過多?
窒素分が多いと、枝豆は大きくならないと上述しましたが、それ以外にも大きくならない要因はあります。まず最初に水分不足を疑いましょう。枝豆は水を好みます。梅雨明け後に土壌が乾燥すると実入りが悪くなることがあります。あまり乾燥が続くようなら、水やりをして敷きわらをしましょう。
またタネや発芽初期は、鳥や虫の食害を受けやすいのでトンネルなどで多い、鳥害や虫害を防ぎましょう。
まとめ
枝豆は、夏のビールのお供にかかせない野菜で、子供たちにも人気があります。つるボケさえしなけらば栽培期間も短く、育てやすい野菜です。採れたての枝豆の味は、格別です。収穫期間が短いので、タイミングを逃さないようにしましょう。
肥料を与えるかどうかは、土の状態や葉の様子などの観察が大切です。肥料は少な目が基本です。ぜひぷっくりと太った枝豆を楽しんでください。