米ぬかを使ったぼかし肥料と堆肥の簡単な作り方を紹介します。必要な材料や発酵の手順、使い方まで、初心者でも実践できる方法を解説します。
米ぬかで作ることができるぼかし肥料・堆肥
米ぬかは、そのまま肥料として使えるほか、下記肥料のように米ぬかを発酵させることで肥料にすることもできます。
今回は、米ぬかを使ったぼかし肥料や堆肥の作り方を紹介します。
一般的な米ぬかぼかし肥料の作り方
ぼかし肥料を作るにあたって、原材料や発酵菌などが必要になることはすでにお分かりいただけたと思いますが、その他にも必要なものがあります。下記を例に、ぼかし肥料づくりの準備をしてください。
- スコップ、移植ゴテなど
- ビニールシート(原材料と発酵菌の混合などに使用)
- 衣装ケース、発泡スチロール、ジップロック、ビニール袋など(限られたスペースで発酵を進める場合)
上記のものに加えて、pH計やEC計などがあると、発酵の目安や含有されている養分濃度の確認ができるので便利です。
米ぬかぼかし肥料は、好気性発酵でも嫌気性発酵でも作ることができます。どちらが良いか?という議論はよくあるのですが、難しい化学の話となるため今回は省略します。
嫌気性発酵でも好気性発酵でも得られる肥効(肥料の効果、養分)はほぼ同じです。今回は、好気性発酵の場合では必要となる切り返しなどの作業が不要で手間がかからず、効率よく微生物を増やすことができる発酵促進剤を使った嫌気性発酵での作り方を紹介します。
米ぬかぼかし肥料の作り方手順
- 米ぬかなど原材料と水を混ぜ合わせます。
- 容器へ格納します。
- 保管、発酵させます。
- 完成の確認をし、乾燥させ、保管します。
下記に、詳しい手順が掲載されていますので参考にしてください。完成した米ぬかぼかし肥料は、元肥・追肥、どちらの用途としても利用できます。
米ぬかとヨーグルトで作るぼかし肥料の作り方
米ぬかを使ったぼかし肥料は、身近なものを使っても簡単に作ることができます。その一つとして、ヨーグルトを使って作るぼかし肥料があります。
原材料となる有機質資材とヨーグルトの薄め液を用意します。原材料については、下記の通りでなくてもOKです。米ぬかをベースに、相性の良いものを組み合わせてみてください。米ぬかだけで作ってみても良いでしょう。
材料 | 使用割合(米ぬかを100%としたとき) | 例 |
---|---|---|
米ぬか | 100% | 1kg |
油かす | 約30〜40% | 300g |
貝化石(カキ殻石灰) | 約30〜40% | 300g |
ヨーグルトの薄め液は、下記を目安にしてください。ヨーグルトに水を加えてよく混ぜます。下記の配合も必ずうまく行くというわけではないので、時期や気候、土地に合わせて独自のレシピを作ってみると良いでしょう。
材料 | 使用量(米ぬか1kgあたり) |
---|---|
水 | 100ml〜300ml |
ヨーグルト | カレースプーン3〜5杯程度 |
ぼかし肥料を作るときには、水分量の調整が一番大事なので、まずはヨーグルトの薄め液を少なめに作って、あとから水で水分量を調整するのも良いでしょう。
作り方の詳細は、下記の記事に掲載されていますので参考にしてください。
米ぬかと他の有機物を混ぜて堆肥にする
米ぬかと他の有機物を混ぜて、分解・発酵させることで堆肥にすることができます。堆肥は、肥料としての効果だけではなく、土壌の物理性の改善(土がふかふかになる)に繋がります。混ぜ合わせる有機物としては、下記のようなものが挙げられます。
- 広葉樹などの落ち葉
- 籾殻(もみ殻)
- コーヒーかす(コーヒー殻)
米ぬかとコーヒーかすを混ぜて肥料(堆肥)にする手順を詳しく解説していますので、気になる方は覗いてみてください。
米ぬかとは
米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。リン酸が多く含まれ、糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
米ぬかは脂質を多く含み、有機物に含まれる炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の比を表すC/N比(炭素率)が高いため、土壌中での分解が相対的に遅いので、そのまま使用するよりもぼかし肥料の原材料として使用するのが一般的かと思います。
米ぬかはコイン精米機やJAのライスセンターでもらえることもありますし、資材として販売されていることもあります。
参考:ぼかし肥料とは
ぼかし肥料とは、油かすや米ぬか、籾殻(もみ殻)、鶏糞(鶏ふん)など複数の有機質資材を配合させたものに土(土着菌)や発酵促進剤などを加えて、発酵させた肥料のことを指します。昔は有機質を土などで肥料分を薄めて肥効を「ぼかす」としていたことから、ぼかし肥料という名前がついたと言われています。
ぼかし肥料は、昔の農家では自分たちで独自で作っていましたが、化学肥料が発明されて窒素、リン酸、カリウム(加里)などの養分が手軽に補えるようになったことから、製造、使用されることも少なくなりました。しかし、近年は可能な限り化学肥料を使わない栽培方法(特別栽培や有機栽培)が人気となり、再び「ぼかし肥料」に注目が集まっています。
発酵させることにより、有機肥料(有機質肥料)に比べて植物が吸収することができるアンモニア態窒素、硝酸態窒素に無機化されるため、施してからすぐに肥料が効き始める速効性が備わっています。緩効性、遅効性という有機肥料の特長に、速効性を併せ持つことによって、より使い方の幅が広がる肥料となっています。
また、自分でぼかし肥料を作ることもできます。正直、良質なぼかし肥料を作るのは結構難しく手間のかかる作業なので、家庭菜園や園芸などで有機栽培に挑戦されたいという方は購入されることをおすすめします。