クジャクサボテンはどのように育てたら、美しい花が咲くのでしょうか。この記事ではクジャクサボテンの花を美しく咲かせるための年間の管理から、水やりや肥料などの育て方の基本から植え替えや増やし方までわかりやすく説明します。
クジャクサボテンの育て方 年間スケジュール
クジャクサボテンは、春から夏に生育し、冬に休眠する多肉植物の夏型です。まずは年間の栽培スケジュールと季節ごとの管理について説明します。
- 春
- 夏
真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰で管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは春と同様に、土の表土が乾いたら鉢底から水が出るまで与えます。しかし頻度は春より減らします。 夏に根腐れすることが多いので梅雨と夏は、土が乾いたと思ったらもう2~3日まってから水やりをするとよいでしょう。
8月以降は肥料は必要ありません。
- 秋
9月は植え替え・剪定が可能です。水やりは10月頃から徐々に頻度を少なくし、冬の休眠期に備えます。
秋から霜が降りる前までは、よく日光に当てることで株がしまります。霜が降りる前に鉢を室内へ入れます。
- 冬
休眠期に入ります。開花株は12月~2月は断水します。生育株については完全に断水せず、乾燥気味に育てます。明るい廊下や窓辺などで、温度が一定になる場所で管理しましょう。あまり暖かい室内に置くと、株が休眠できなくなります。
きちんと休眠させることで、花つきがよくなります。
クジャクサボテンの育て方
それではここからは、クジャクサボテンの育て方について詳しく説明していきます。
クジャクサボテンの基礎知識
クジャクサボテンは、森林性サボテンで、サボテン科のエピフィルム属に属しており、原産地では雨の少ない山岳地帯や・岩石地帯に自生し、樹木に着生して育ちます。月下美人(ゲッカビジン)もシャコバサボテンの近隣種です。
クジャクサボテンは、ノパルホキア属を元に作られた交配種です。葉茎節は平たく、葉の縁は波型になり棘はありません。初夏に鮮やかな花をさかせます。多肉植物の一種で、夏型で春から夏が生育期で、冬に休眠します。ランのような花を咲かせることから、英語名はオーキット・カクタスと呼ばれます。
園芸分類 | 多肉植物 |
学名 | Epiphyllum |
原産地 | メキシコ南部~アルゼンチン |
草丈・樹高 | 50㎝~150㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「幸せをつかむ」「艶やかな美人」「儚い恋」 |
クジャクサボテンの種類(品種)
クジャクサボテンの花期は5月~6月が最盛期ですが、早咲や遅咲の品種もあります。
花期は5月から6月で、花色は白色・赤・紫・黄・ピンク・オレンジなど多彩。一色咲は少なく、複色が多いのが特徴です。また昼から夜に開花し、日中も咲き続けます。長いものは一週間程度咲く品種もあります 。
花の咲き方も、八重咲きや、トランペット吹き型などがあり、薄い花びらが重なった花を咲かせます。また交配が盛んで毎年多くの品種が生まれ、販売も品種別より色別などで販売されていることが多いです。
クジャクサボテンの品種や月下美人との違いなどは記事がありますので、興味がある方は読んでみてください。
栽培環境
生育期の春から梅雨までと秋は日当たりのよい、風通しのよい屋外で管理します。梅雨明けからは直射日光のあたらない半日陰で管理しましょう。場所を移せない場合などには寒冷紗などで遮光します。真夏の直射日光は葉焼けの原因にもなるので、気をつけましょう。
サボテンは元々メキシコなど日差しが強く温暖な地域に生息しているため、耐暑性はありますが、寒さにはあまり強くありません。霜の降りる冷え込む前には室内で管理してください。暖房が効きすぎた部屋ではなく、できれば玄関や廊下など、温度変化のない場所がよいでしょう。気温が5℃以下にならない場所で管理て、冬越しをします。冬でも暖かい日中は日に当てることで丈夫に育ちます。
水やり
多肉植物は、雨が少ない場所や岩場などに生育するものが多い植物で、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。だからといって、水やりが必要ではないわけではありません。
サボテンの水やりのポイントは、生育期と休眠期で水やりの方法を変えることです。サボテンは多肉の夏型なので、基本的には生育期の3月〜9月は、表面の土が乾いたら水やりをします。この時の水やりはジョウロで根本に水を与える灌水で、底から水が流れでるくらい与えます。休眠期にはいる10月ごろから水やりの回数を減らし冬場は断水気味に育てます。何度も開花を繰り返しているような親株は、12月から2月は断水し3月から徐々に水やりの頻度を増やします。生長中の苗は、完全断水せずに、断水気味に育てます。
クジャクサボテンは、夜間の暑さを嫌います。夏に根腐れすることが多いので梅雨と夏は、土が乾いたと思ったらもう2~3日まってから水やりをするとよいでしょう。与える時間にも気をつけましょう。早朝か夕方に与えます。
用土
一般の草花や観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。
クジャクサボテン専用の培養土が販売されているので、そちらが便利です。シャコバサボテン専用の培養土でもいいでしょう。専用の培養土を使う場合も鉢底には鉢底石を敷きましょう。自分で配合する場合には、赤玉土(中粒)5・腐葉土3・鹿沼土2や赤玉土5・腐葉土2・くん灰1・牛ふん(堆肥)2など水はけや通気性のよい土を好みます。川砂などの割合が多いサボテン用の土は、あまりおすすめしません。
肥料
砂漠などの栄養の少ない土でも育つサボテンですが、肥料をあげることで元気にすくすくと育ちます。
クジャクサボテンは花つきをよくするために肥料が大切です。元肥は植え付けや植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。クジャクサボテンは、4月下旬から7月に緩効性化成肥料を置き肥し、規定量より薄めに希釈した液肥を月に1回から2回につぼみが小さいうちに追肥します。開花中は肥料は一切与えません。
病害虫
クジャクサボテンは、カイガラムシ、ケムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生する恐れがあります。梅雨にはナメクジが発生して新芽や花芽を食害する恐れもあります。それぞれの害虫によって葉っぱを食い荒らしたり、ウイルスを伝染させたりと活動も異なり、幼虫や成虫などによって対応は変わります。見つけたら早めに取り除いてあげましょう。 カイガラムシは歯ブラシや布なのでこすり落とします。 殺虫殺菌剤なども有効です。
また湿気の多い場所に置いておくと、根腐れ病や茎枯れ病・茎腐れ病などにかかる恐れがあります。予防には、湿気の少ない風とおしの良い場所に置いてあげましょう。
剪定(摘心・切り戻し)
クジャクサボテンは、そのままにしておくと草丈(樹高)が大きくなりすぎることがあります。5月~7月頃に、葉先を摘心することで背丈を伸ばさないようにすることができます。
また5月~7月、または9月頃に室内に取り込む前に、枯れた茎や伸びた部分を整えて、切りそろえる切り戻しを行いましょう。 この時期でしたら適宜切り取ってかまいません。 茎節をハサミで切るか、若芽を手で切り取ります。切り取った茎節はさし木としてつかうこともできます。
支柱立て
クジャクサボテンは大型の品種は、支柱をして支えを取り付けます。アサガオなどのあんどん支柱を用いた「あんどんづくり」や、鉢にトレリスを立てて、茎節を止めていく「扇支柱仕立て」などの方法があります。
クジャクサボテンの植え替えの方法
クジャクサボテンは生長に合わせて、1年~2年に一度、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。根詰まりの防止にもなります。
植え替えの時期
開花株は、2年に1度開花が終わった5月~6月、もしくは9月から遅くとも10月上旬までに行います。若い苗は、生長が早いのでできれば1年に1度植え替えます。開花株は9月に植え替えを行うことで、花芽のころに休眠させることができるので花つきがよくなるという利点があります。
植え替えの手順
- 植え替える株を、鉢から抜き取ります。
- 底土をほぐして落とし、古根を1/3にカッターかハサミで切り詰めます
- 5日~7日間、そのまま陰干しして乾かします。
- 鉢底に鉢底石をいれて、用土に元肥を施して植えつけます。(浅植えがおすすめです)
- すぐにたっぷりと水を与えて、半日陰に2週間ほどおいてから通常の環境に戻していきます。
同時に、剪定や支柱立てをして鉢を整えてあげましょう。
クジャクサボテンのふやし方
クジャクサボテンは挿し木(さし木)でふやすことができます。時期は5月から7月ぐらいの生育期に行うとよいでしょう。
しおれていない元気な茎節を15㎝から30㎝ほどに切り取って、切り口を1週間ほど乾燥させます。さし床(赤玉土・小粒)に挿すと、1か月ほどで発芽するので、鉢上げして植え替えましょう。水やりは、すぐにせず挿してから10日から1週間ほどしてから与えます。開花までは2年~3年ほどかかります。
まとめ
大輪の華やかな花を咲かせるクジャクサボテンや、夜に白い花をさかせる月下美人は、観葉植物として人気が高くたくさんの品種があります。
春にイースターカクタス、夏にクジャクサボテンや月下美人、冬にシャコバサボテンなどを育てれば一年中花を楽しむことができます。ぜひお気に入りの品種を見つけて上手に育てて、美しい花を咲かせてみてください。