イタリアン料理に欠かせないバジルは、家庭菜園でも人気です。ここではバジル栽培の肥料の与え方について、地植え、プランター別にわかりやすく説明します。
そもそもバジル栽培では肥料は必要?
ハーブ類は肥料分があまりなくても育つものもありますが、バジルは肥料を好みます。香りがよく大きな葉を収穫したいのであれば、肥料は必要です。
植え付けやタネまきする前に、土壌に肥料を施しておき(元肥)、生育中には肥料切れをおこさないように追肥をして育てる必要があります。
バジルは肥料不足になると、葉が黄色くなったり下葉が落ちたりします。バジルは肥料過多になると葉にエグミがでたり、最悪の場合は根が傷んでかれてしまうとがあります。肥料は適期、適量与えましょう。
バジルに肥料を与えるタイミングと頻度
バジルは植え付け時に肥料を施しますが、追肥はいつ、何度行えばよいのでしょうか。追肥は育てる場所や環境によっても変わりますが、下記は一般的なタイミングと頻度の目安です。
栽培方法 | 追肥のタイミングと頻度 |
---|---|
地植え(種を直まきした場合) | 1回目 間引き後 2回目 収穫後 |
地植え(苗を植え付けた場合) | 1回目 植え付けから2~3週後 2回目 収穫後 |
プランター | 1回目 種まき、植えつけ1ヵ月後 その後は1ヵ月に1度、収穫が終わるで |
バジル栽培の肥料の与え方
育て方によって肥料の与え方は変わるため、地植え・プランター(鉢植え)、水耕栽培別に説明します。
地植え
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。畑の元肥は土づくりと一緒に行いましょう。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥が、ここでは作物の下に肥料がくるように溝を掘り、肥料を埋め込んで与える溝施肥の方法を説明します。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gまいておきます。
- 1から2~3週間ほどたってから、畝幅70㎝の畝を作ります。
- 畝の中央に深さ20㎝ほどの深さに溝を作り、1㎡あたり牛ふん堆肥0.5ℓを入れ、その上に有機配合肥料50gを入れ土を戻し、高さ5cm~10㎝ほどの畝を立てます。
- 穴開きマルチを張り、種を直まきするか、苗を植えつけます。
土づくり
元肥は、土づくりと一緒に行いましょう。バジル栽培に適した土壌ph5.5~6.5で酸性土壌に弱い性質を持ちます。日本の土壌は雨や肥料などにより酸性に傾いていることが多いので、酸性に傾いている土壌は石灰などを使い酸度調整をする必要があります。
土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図ります。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
追肥
タネを直まきした場合には、間引き後に追肥をしましょう。間引きは本葉4枚ころと、本葉8~10枚のころの2回に分けて行います。間引き後株元に、化成肥料をばらまいておきましょう。その後は収穫しながら育てる場合は、収穫の後、油かすや化成肥料を畝や通路にまいて、中耕して株に土寄せしておきましょう。
苗を植えつけた場合は、植えつけから2~3週間ほどたったら追肥を始めます。化成肥料を畝や通路にまいて、中耕して株に土寄せしておきましょう。収穫しながら育てる場合は、収穫の後、化成肥料を畝や通路にまいて、中耕して株に土寄せしておきましょう。
プランター・鉢植え
プランター栽培の場合肥料は、元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
追肥は、元肥の肥料が切れるのが1ヵ月程度ですので、種まき、植え付けから1か月後から始めましょう。化成肥料10g程度を株元に散布するか、液体肥料を水やり代わりに与えます。目安は化成肥料であれば1か月に1度、液肥であれば2週間に1度施肥します。
バジル栽培におすすめの肥料
バジル栽培では、家庭菜園では肥料の三大要素(窒素、リン酸、カリウム)がバランスよく入った肥料がおすすめです。葉を収穫するので、葉肥と呼ばれる窒素が多い肥料でもよいでしょう。
栽培期間が長いので、元肥にはゆっくり効果の出る緩効性肥料を施し、収穫が終わるまで追肥を施します。
畑などの地植えには、ゆっくり効果がでて長く続くので有機肥料がおすすめです。
有機肥料は臭いや虫が発生することがあるので、プランター栽培では有機配合の化成肥料がおすすめです。水を好むので追肥には、水やり代わりに与える液体肥料もおすすめです。
バジルにおすすめの肥料の種類や商品などについてはこちらで詳しく説明しています。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
バジルは、収穫しながら育てるため肥料切れには注意が必要ですが、肥料を与えすぎも注意が必要です。肥料を多く与えたり濃度が濃かったりすると、肥料やけを起こして枯れてしまうことがあります。
同じく、ハイドロカルチャーの場合は、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、またカビが生えたりしてしまうことがあります。水が常に容器に満たされた状態で風通しの悪い所に放置すると起こりやすいため、下記のことを心がけて育ててください。
- 水分が切れてから水を与えるようにする
- 風通しの良い場所に植物を置くようにする
肥料は生育に合わせて与えるのが基本です。バジルは肥料が切れると下葉の方から色が緑色から黄色に薄くなります。また緑色が濃くなりすぎて、葉が固くなったら肥料の与えすぎです。目安の回数だけでなく葉の様子もみて随時肥料を与えましょう。
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
バジルの栽培について
バジルはシソ科メボウキ属の植物で熱帯が原産です。暑さには強いですが寒さには弱く、多年草ですが日本では冬越しをしない一年草とされています。種類も豊富でスーパーなどで見かけるスイートバジルの他にも、レモンバジル、シナモンバジル、ガパオに使われるホーリーバジルなど、自分で育てるのであれば普段みかえない種類のバジルも栽培が可能です。
また夏野菜のトマトやピーマンのコンパニオンプランツとしてもバジルはおすすめです。一緒に育てると、害虫を寄せ付けなくなり生育を良くする効果もあるので人気の夏野菜と一緒に育ててみるのもよいでしょう。
バジルをたくさん収穫するには、肥料の他にも摘芯をしたり、乾燥を嫌うので水切れをおこさないようにすることも大切です。土を使わない水耕栽培も人気があります。