スギナの特性
まずはスギナの特性について説明します。除草剤を使う上で植物の特性を知ることはとても重要です。その特性により、効果的な除草剤を選ぶことができます。
スギナは多年草で、一部の地下茎からでも繁殖し、少し経っただけでスギナだらけになるくらいの高い繁殖力を持っています。地下茎を伸ばして地中に根びこってしまうため、引っこ抜いても、地下茎の一部は地中に残存し、またそこから繁殖するため、本質的な駆除にはならないケースが多いです。地下茎の張り巡らし方を指して「地獄草」とも呼ばれます。
また、草刈などで衝撃を与えると胞子を撒き散らして、より多くのスギナの繁殖を産んでしまうという、誠に厄介な難防除雑草の代表格です。
ラウンドアップの特性
ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。現在販売されているのは、「ラウンドアップマックスロード」です。原液とすでに希釈されているタイプ(AL剤)があります。
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
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概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | × | × | × |
ラウンドアップマックスロードの成分は「グリホサートカリウム塩」で、旧ラウンドアップは、「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
ラウンドアップは原液タイプは農耕地で使用できますが、希釈済みのAL剤は非農耕地用ですので間違えないようにしましょう。
ラウンドアップの効果
ではスギナには除草剤のラウンドアップは使えるのでしょうか。答えはスギナの除草にラウンドアップはおすすめです。ラウンドアップはスギナがすでに生えている場所の除草に使うことができます。
除草剤は簡単には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。ラウンドアップは、「茎葉処理剤」で主な成分は「グリホサート」です。
グリホサートの大きな特徴としては、すでに伸びている雑草の葉茎を枯らす効果と、接触した茎葉から植物全体に広がる、吸収移行性をもっているため根も含めて全体を枯らす効果があります。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
スギナは地下茎が厄介で、地下部をしっかりと枯らすことが重要なので、地下部の根や地下茎まで効果が効いて全てを枯らす、グリホサート系のラウンドアップは効果的です。
ラウンドアップの使い方
スギナの除草剤としてラウンドアップを使う場合は、ラウンドアップマックスロード原液の場合は25倍に希釈して使います。時期は春にスギナが20㎝~30㎝に生えそろった時に、節から薬剤がしたたり落ちるまでしっかり散布します。
茎葉処理剤の除草剤は、従来雨にながされやすく、早朝にまくと朝露で効果が落ちるといわれてきましたが、ラウンドアップマックスロードは、朝露に強く雨も薬剤をまいてから1時間ほどたてば効果が低下しないため、飛散防止のため晴れた日の早朝にまくとよいでしょう。
専用ノズル
除草剤は、噴霧機やジョウロなどでまくことができますがラウンドアップ専用の除草剤ノズル「ラウンドノズルULV5」もあります。除草剤ノズルは通常の防除用のノズルにくらべて薬剤の粒径が大きいためドリフト(飛散)しにくいのが特徴です。
「ラウンドノズルULV5」は、従来よりも少量の除草剤で効果を維持して散布できるノズルで、圧倒的な小水量で散布を行うことができ、少ない散布量で済むため、作業時間の大幅な短縮になる優れものです。
尿素で除草効果UP
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
その他 スギナに効果的な除草剤
最もメジャーなラウンドアップがスギナの除草に効果的なことは説明してきましたが、この他にもグリホサート系の除草剤には、ラウンドアップのジェネリック品の「サンフーロン液剤」などがあります。成分は、旧ラウンドアップと同成分のグリホサートイソプロピルアミン塩です。
またラウンドアップはスギナが生えてきたら使う除草剤ですが、草が生えてきていない時期に散布し、地面に膜を張って、新しく生えてくる雑草を抑える土壌処理剤もあります。土壌処理剤には住友化学園芸の「クサノンEX粒剤」などがスギナに使えます。
スギナの除草方法については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。