ホーリーバジルは、イタリア料理などによく使われるスイートバジルより香りが強く、タイ料理のガパオライスに使われるバジルです。日本では流通量が少なくスイートバジルで代用されていることも多いホーリーバジルですが、家庭では手軽に種子から水耕栽培で育てることができます。
この記事では、ホーリーバジルの種まきや苗から始める水耕栽培について、ペットボトルとスポンジで育てる方法について、わかりやすく説明します。
ホーリーバジルの水耕栽培について
ホーリーバジルの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
ホーリーバジルはインド語でトゥルシー、タイ語でガパオと呼ばれます。タイ料理のガパオライスは本来はホーリーバジルを使います。スイートバジルより香りが強く、加熱に強く風味が飛びにくいのが特徴です。バジルの中でも薬効が高く、インドでは「不老不死の霊薬」とされ聖なる植物として崇められています。
アフリカが原産で、暑さには強いですが寒さには弱く、多年草ですが日本では冬越しをしない一年草とされています。春から夏にかけて生育が旺盛で、害虫も付きにくく、病気も少ない栽培しやすいハーブです。露地栽培や鉢植えの他、水を好むため水耕栽培でも育てることができます。
学名 | Ocimum basilicum |
属名 | シソ科メボウキ属(オキウム属) |
原産地 | アフリカ |
樹高 | 30cm~60cm |
生育適温 | 20℃~25℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「神聖」「祝福」「好意」 |
ホーリーバジルの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
葉物の野菜は水耕栽培向きで、大葉やルッコラ、バジルなどは生育がおう盛で丈夫なため、初心者の方でも育てやすいハーブです。少量ずつ収穫して、いつでもフレッシュな香りを楽しめるためハーブの水耕栽培は人気があります。
ホーリーバジルの水耕栽培は、播種(タネまき)、挿し穂、苗から始められます。苗は植え付け時期になるとホームセンターなどでも手に入ることもあります。スーパーなどでも売られているバジルからでも挿し木は可能ですが、スイートバジルがほとんどです。種子から育てるのも難しくないので、インターネットなどでも手軽に入る種から始めるとよいでしょう。
挿し木から始めたいのであれば、こちらの記事も参考にしてくあさい。
タネまきから始める水耕栽培
時期
ホーリーバジルを育てるのに適している時期は春から夏の間です。通常、バジル栽培は4月頃〜5月頃に種をまき、7月頃〜10月頃に収穫をします。
室温を調整することで寒い時期でも育てることは可能ですが、部屋の温度には注意が必要です。発芽適温は20℃〜25℃前後、生育適温は20℃〜25℃前後なので、適した環境の場所、季節で栽培をしてください。
発芽適温 | 生育適温 |
---|---|
20〜25℃ | 20〜25℃ |
準備するもの
- ホーリーバジルの種子
- スポンジ(キッチン用のスポンジでOK 。メラニンスポンジは不可。やわらかめがおすすめ)
- 水
- ラップもしくはティッシュペーパー
- 竹串(爪楊枝でも可)
- 500mlのペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- カッターもしくはハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を2~3粒差し込みます。あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。7日~15日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
1つのスポンジから複数の芽が出て場合は、一番大きな苗を残して間引きしましょう。もったいなからといって残しておくと大きく生長しません。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7摘心
草丈15cm~20cm程度になったら、収穫を兼ねて先端の枝を切り取る摘心をします。新芽を残してカットすると、脇芽が増えて収穫量が増えます。
- 手順8収穫
葉が大きくなったら、使う分だけ収穫しながら育てましょう。枝の途中から収穫して脇芽を残すと、収穫量がふやせます。花芽がつくと葉が固くなるので、葉の収穫を楽しみたいなら早めに切り取りましょう。
苗から始める水耕栽培
土で育たったポットから水耕栽培を始めるのは簡単です。早く収穫したい人や水耕栽培を早く始めたい人におすすめです。
時期
ホーリーバジルの苗は、園芸店やホームセンターなどで4月頃から出回ります。苗を買ったらすぐ水耕栽培が始められます。寒いと生育がよくないので5月以降に購入したほうが、栽培が簡単です。
準備するもの
- ホーリーバジルの苗
- スポンジ(なくても可)
- ペットボトル (苗の大きさに合わせたもの)
- 水耕栽培用肥料
- 水
手順
- 手順1根を洗う
ポットから苗を取り出し、土をほぐして落とします。その後、水でよく洗い流します。シャワータイプやキリなどを使って、根をほぐしながら土をよく落としましょう。
- 手順2ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは不要です。ペットボトルの下部に水をいれておきます。
- 手順3ペットボトルにセットする
切り取ったペットボトルの上部を飲み口を下にして、飲み口から根がでるように苗をセットします。
苗が大きく根が全部出ない場合は、飲み口の部分をカットして、根が傷つかないようにして下にだします。この時、苗の根元に中央に切り目を入れたスポンジを挟んで調整することができます。
- 手順4肥料を与えて育てる
水耕栽培用の肥料を水にいれて、育てます。明るい窓辺などでに日当てて育てます。日光に当たると藻が発生するのでアルミホイルなどで、ペットボトルをカバーするよよいでしょう。
培養液(肥料を入れた水)は、3日に1度は替えましょう。この時、ペットボトルが汚れていたら洗い流します。
- 手順5摘心
草丈15cm~20cm程度になったら、収穫を兼ねて先端の枝を切り取る摘心をします。新芽を残してカットすると、脇芽が増えて収穫量が増えます。
- 手順6収穫
葉が大きくなったら、使う分だけ収穫しながら育てましょう。枝の途中から収穫して脇芽を残すと、収穫量がふやせます。花芽がつくと葉が固くなるので、葉の収穫を楽しみたいなら早めに切り取りましょう。
ホーリーバジルの水耕栽培の育て方
容器
ホーリーバジルは、特別な設備がなくとも十分収穫が楽しめます。ペットボトルを加工した栽培キットは、さまざまな野菜や観葉植物の挿し木などにも使えます。ペットボトルの容量は500ml~1ℓ程度のものを使うとよいでしょう。容器が大きいほど苗は大きくなります。
透明な容器は、光にあたることでアオコ(藻)が発生します。根に藻がつくと根から酸素を呼吸できなくなり、生育に影響を及ぼします。容器は必ず遮光して育てましょう。アルミホイルなどで容器を包むほか、見た目が気になるならペットボトルカバーや、好きな柄の布やバンダナなどを巻いても。
栽培環境
ホーリーバジルは、日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。ただし夏の直射日光に当てると、水耕栽培の場合は水の温度が上がりすぎることがあります。また葉が固くなるので半日陰で育てましょう。
高温性のハーブのため、15℃以下になると生育が悪くなります。室内であれば秋ごろまで収穫を楽しむことができます。なるべく窓際に置いて日に当てて育てましょう。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
肥料について
水耕栽培でホーリーバジルを育てる場合には、水だけでは育ちません。肥料が必要です。水耕栽培用の肥料を使って育てましょう。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
種の取り方
ホーリーバジルは本来多年草ですが、高温性のハーブのため日本では一年草として扱われます。翌年も収穫したいのであれば、花を咲かせて種を取りましょう。
ホリーバジルは紫色の花を咲かせます。花が散り、全体が乾燥して茶色くなってきたら花穂を切り取ります。指でしごいて殻を外し、殻をもみほぐすと中から種子がでてきます。目の細かい網などで、殻やゴミなどを取り除きましょう。タネはビニール袋にいれて、翌年の春の種まきの時期まで冷蔵庫に保管しておきましょう。
まとめ
ホーリーバジルは、コンパクトに育つので水耕栽培にもおすすめです。スーパーなどではスイートバジルがほとんどで、あまり見かけないのでぜひ自分で栽培して、本場のガパオライスを作ってみてはいかがでしょうか。
バジルは、キッチンハーブとして大葉と合わせて人気の夏のハーブです。エアーポンプなどを使えば、より大きく育ちます。いろいろな品種を栽培して味を比べてみるのも楽しいです。ぜひ手軽に始められる水耕栽培で、ホーリーバジルの収穫を楽しんでください。
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