初期剤とは
田んぼ(水稲)の除草剤には、散布時期により水稲の除草剤は、その散布する時期と効果により「初期剤」「中期剤」「後期剤」「一発処理剤」に区分されます。それぞれの除草剤に使用適期があり、この適期を外すと除草の効果が十分発揮できません。必ずその適期にあった除草剤を使いましょう。
初期剤とは、代かき後から田植前まで、または田植同時からノビエ1.5葉期までに使用する除草剤を指します。
ヒエ(ノビエ)の葉期の数え方
田んぼ(水稲)の除草剤には、移植後〇日もしくは、収穫前〇日などの記載と同時に、ノビエ〇葉期までと、除草剤の使える期間が、初めの日から終わりの日まで記載されています。この時期にキチンと散布することで除草剤は効果を発揮します。
この除草剤に書かれているノビエの葉期について、きちんと理解しておきましょう。ノビエの葉期とは、田んぼに生えている中でも一番大きく育ったノビエの葉数です。ノビエの平均の葉数ではないことに注意しましょう。
つまり、初期剤は、一番育ったノビエがまだ1.5葉期までに使用しましょう。ギリギリよりも余裕をもって散布するようにしましょう。
ヒエにおすすめの初期剤
問題になる雑草が、ヒエだけであれば、有効成分が1つの初期剤でも効果を発揮します。田植と同時に初期剤を散布します。初期剤は効果が15日~20日ほどと短いため、そのころに生える雑草がある場合は中期剤や一発剤を使って体系処理する必要があります。
ソルネット(粒剤)
有効成分 プレチラクロール 4.0%
ソルネットは、植代時から移植前7日まで、または移植時、移植直後からノビエ1葉期(ただし,移植後30日までに使用する)まで効果のある初期剤です。植代から移植まで6日以上の水田やアゼナ類,ホタルイの多発する水田において、一発処理剤・中期剤との体系処理剤として高い除草効果を示します。
エリジャンジャンボ(ジャンボ剤)
有効成分 プレチラクロール:15.0%
有効成分のプレチラクロールは、非ホルモン型吸収移行性の除草剤であり、雑草に対して主に幼芽部の
伸長を抑えて、成長を阻害して枯死させます。ノビエをはじめ抵抗性雑草のアゼナ類・ホタルイ等に高い効果を発揮します。雑草の発生前から生育初期に有効なので、ノビエの1葉期までに時期を失しないように散布してください。抵抗性雑草が多発している場合には、一発剤、中期剤を体系的に使って除草する必要があります。
初期には一発処理剤も使えます
一発処理剤は、初期剤より残存期間が30日~50日ほどと長く広範囲の雑草に効果があります。そのため1度の散布で初期剤と中期剤の両方の効果が期待できるため、省力化できる便利な除草剤です。一発剤には、移植後すぐにつかえるものと、数日たってから使うものがありますのでヒエの発生時期に合わせて使いましょう。
ホクト粒剤
成分 ピラゾフルフロンエチル0.070%、シハロホップブチル:0.60%、ジメタメトリン:0.20%、プレチラクロール:1.5%
ピラゾスルフロンエチルは、スルホニルウレア系化合物(SU)系の除草剤、通称SU一発処理剤の一つです。田植え後5日後を目安に、水田に撒くだけで、幅広い効果を発揮し、ノビエ、クサネム、アゼナ、カヤツリグサをはじめ、水田一年生雑草及び主要な多年生雑草に優れた効果を発揮し、更にアオミドロや表層はく離にも防止の効果が期待できます。
ジャンダルムMX豆つぶ250
有効成分 ピリフタリド:7.2%、メソトリオン3.6%、ピリミスルファン:2.0%
3成分を有効成分とする水稲用除草剤で、ノビエはもちろん、SU抵抗性の各種雑草や多年生雑草まで幅広い草種に高い効果を発揮します。移植後3日~ノビエ3.5葉期まで使えます。袋のまま、ひしゃくで散布するのに加え、動力散布機や無人航空機(ドローン)での散布も可能です。オモダカ、クログワイ、シズイ、コウキヤガラは発生期間が長く、これだけでは防除できないため、これらの雑草が発生する場合は、体系的に後期剤の使用が必要です。
初期剤の効果的な使い方
初期剤は、苗が健康である限り、処理期限内の早めに散布することが大事です。早めに散布して、一発処理剤の使える期間を確保する意味もあります。
また、散布の後、成分が水に吸着され終わるまでは、大体4日から1週間程度かかります。このため、散布して1週間は水を動かさないようにしましょう。
初期剤と合わせて使える効果的なテクニック
田植え直後から、しばらくの間、深水(10cmくらいが目安)を維持すると雑草が抑えることができると言われています。具体的には、初期剤を田植え前か後に使用し、イネが活着したら、畔(アゼ)を高くするなどして、この深水を1ヶ月くらい続けます。
こうすることで、雑草は浸水して成長が阻害され、稲はその間に成長し、雑草による実害が大幅に減ります。
ヒエが大きくなりすぎた時の対策
ヒエは1年生の雑草なので、今年育ったヒエは枯れます。しかし結実した株を放置すると種子が越冬して来年も多発生します。除草剤が効かずに残ってしまったヒエは必ず結実前に、刈り取りましょう。
刈り取ったヒエは、田んぼや畔などに放置せずに焼却等で処分します。翌年は早めに初期剤等でヒエの発生を防ぎ、中期剤、後期剤と体系的に除草剤を散布して数を減らしていきましょう。