人参(にんじん)は発芽さえすれば栽培も簡単ですが、雑草が生えると病害虫の被害や、収穫にも影響を与えます。この記事では、人参(にんじん)の栽培につかえるおすすめの除草剤や、効果的な使い方についてわかりやすく説明します。
人参栽培にはどんな除草剤がよいのか
人参栽培で除草剤を使う場合は、まず雑草を生えないようにするのが基本です。定植前後の雑草が発生前に、「土壌処理剤」と呼ばれる雑草の発生を抑制する除草剤を散布します。
人参は種まきから収穫までの期間は、品種によって異なりますがミニニンジンなどは70日程度、育てやすい西洋種で100日~130日程度です。土壌処理剤の効果が続くのは、除草剤の種類にもよりますが30日~45日ほどのため、その後は違う種類の土壌処理剤を散布する、または雑草が生えてきたときに直接雑草の茎や葉に散布して枯死させる「茎葉処理剤」の除草剤を散布します。
人参は、種まきから発芽まで時間がかかり、生育初期の生長も遅いため、人参が大きくなる前に雑草が生えてしまうことがあります。そのため、土壌処理剤と茎葉処理剤の両方の効果を持つ「茎葉兼土壌処理剤」が使われます。
除草剤は、それぞれの薬剤ごとに使用期間、使用回数が決まっています。収穫が近づくと使えない除草剤も多いため、それまでにしっかりと雑草を防除しておくことが大切です。
すでに人参の畑に雑草が生えてしまっている場合には、茎葉処理剤をつかって除草しましょう。
人参栽培におすすめの土壌処理剤
ゴーゴーサン乳剤・細粒剤
有効成分 ペンディメタリン 30.0%(ゴーゴーサン乳剤)、2.0%(ゴーゴーサン細粒剤F)
ゴーゴーサン細粒剤F・ゴーゴーサン乳剤はBASF社が開発したジニトロアニリン系の除草成分ペンディメタリンを有効成分とする、主に畑作に使う除草剤で、人参栽培に広く使われている土壌処理剤です。一年生イネ科雑草、広葉雑草の両方の効果があり、45〜60日間と長期間効果が持続します。人参には、は種後出芽前(雑草発生前)に土壌に全面散布してつかいます。土壌が乾燥している場合や、砂地などでは乳剤がおすすめです。
コダールS水和剤
有効成分 プロメトリン 20.0%、メトラクロール 30.0%
コダール水和剤は、2種類の有効成分を配合した畑用の土壌処理剤です。幅広い畑の一年生雑草(イネ科、カヤツリグサ科、広葉雑草)に効果があり、難防除雑草である帰化アサガオ類の発芽・生育を抑える効果も高い除草剤です。人参には、は種後出芽前(雑草発生前)に土壌に全面散布してつかいます。
人参栽培におすすめの葉茎兼土壌処理剤
ロロックス水和剤
有効成分 リニュロン(化管法1種) 50.0%
ロロックス水和剤は、さまざまな野菜に使える畑作用の葉茎兼土壌処理剤です。人参には、播種直後と、にんじん 3~5 葉期(収穫30日前まで)に使えますが、播種直後より中間除草剤としてにんじん3葉~5葉期によく使われます。特に広葉雑草に効果が高く、一部の雑草には効果が弱い、またはムラがあるためイネ科に強いナブ乳剤などと混合して使うとより効果が高くなります。
ワンクロスWG
有効成分 フルアジホップP7.0%、リニュロン 30.0%
ワンクロスWGの有効成分は、ロロックス水和剤と同じ、特に広葉雑草に対して高い除草効果を持つリニュロンと、イネ科雑草に強いフルジアップPが2つの配合された葉茎兼土壌処理剤です。播種直後と、にんじん 3~5 葉期(収穫30日前まで)のどちらか1回使えますが、にんじん3~5は期の中間除草剤としてよく使われます。細粒を水に希釈して使います。
人参栽培に効果的な除草剤の使い方
土壌処理剤の使い方
土壌処理剤は、播種直後(種まき後すぐに)全面に土壌散布します。ラベルに決められた薬量を守って散布します。乳剤は希釈して使います。
- 雑草発生前に散布すること。すでに生えている雑草には効果がありません
- 播種後は、しっかり覆土をして鎮圧し水やりをした後、表面が乾いたら除草剤を散布します。
- 人参の芽が出た後は薬害が生じるため、発芽前に散布しましょう。
- 水で希釈するタイプは噴霧器(散布機)を使って散布しましょう。ジョウロでの全面散布は薬量を超える可能性があります。
- 使い方は除草剤によって異なります。しっかりラベルを読んで使いましょう。
葉茎兼土壌処理剤の使い方
葉茎兼土壌処理剤は、播種後にすぐ散布して土壌処理剤としても使えますが、人参の生育期に使うのがおすすめです。
- 人参の葉が4葉期が最適です。小さすぎると薬害が生じ、大きすぎると枯れるのに散布量が必要になります。
- 全面散布が可能です。雑草の生育初期に散布しましょう。あまり大きくなると効果が劣ります。
- 人参の品種により薬害が生じる可能性があります。ロロックス、ワンクロスは特定の品種(ベータ312)の生長期には使えません。
- 高温期に使うと薬害が生じるので、使わないようにしましょう。
- 使い方は除草剤によって異なります。しっかりラベルを読んで使いましょう。
人参栽培におすすめの茎葉処理剤
人参栽培には土壌処理剤・葉茎兼土壌処理剤がおすすめですが、すでに生えている雑草には茎葉処理剤をつかって除草しましょう。人参栽培に使えるおすすめの茎葉処理剤を紹介します。
ナブ乳剤
有効成分 セトキシジム 20.00%
ナブ乳剤は、畑作のイネ科雑草に使われる選択制の茎葉処理剤です。人参には直接かかっても影響がないため、雑草への茎葉処理だけでなく、薬液がかかることを気にせず全面散布することが可能です。浸透移行性に優れているので、葉や茎に散布するだけで根まで枯らすことができます。
イネ科以外の広葉雑草やカヤツリグサ科には効果がないため、それらの雑草が生えている場所にはロロックス水和剤と混用して使うのがおすすめです。ロロックス水和剤はカヤツリグサ科には効果にムラがあるので展着剤を使うとよいでしょう。
グルホシネート系除草剤
有効成分にグルホシネートを含む除草剤は、非選択性の接触型の茎葉処理剤です。イネ科、広葉、一年生、多年生を問わず、ほとんどの雑草に効果を発揮します。1~3日で効果が発現し、5 ~ 20 日で完全な効果がでる強力除草剤ですが、吸収移行型ではないため、地下部 、つまり根までは枯死しません。収穫前日まで使えるものもあります。非選択のため、畑地、圃場での散布の際に、農作物にかからないよう注意が必要になります。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
グリホサート系除草剤
有効成分にグリホサートを含む除草剤は、非選択性の茎葉処理剤です。イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~7日、そして完全 な効果に10日~2カ月ほどを要します。
グリホサート系の除草剤は、葉や茎に薬液をかけるだけで根まで枯らす効果があるので、人参の栽培中ではなく、耕起前までに大きくなってしまった雑草に散布して使いましょう。畑で使えるグリホサート系の除草剤は下記のものなどがあります。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 |
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概要 | ||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ |
サンフーロンはラウンドアップ のジェネリック商品になります。
その他人参(にんじん)に適用がある除草剤
この他、人参(にんじん)に適用がある除草剤は、農家web 農薬検索サービスからも探せます。