ブロッコリー栽培では、雑草が繁殖するとブロッコリーの生育に影響を与えたり、病害虫が発生しやすくなったりします。この記事では、ブロッコリー栽培に適用のあるおすすめの除草剤や効果的な使い方について説明します。
ブロッコリー栽培の除草剤の効果的な使い方
ブロッコリー栽培で除草剤を使う場合は、まず雑草を生えないようにするのが基本です。定植前後の雑草が発生前に、「土壌処理剤」と呼ばれる雑草の発生を抑制する除草剤を散布します。
ブロッコリーは苗の植え付けから収穫までの期間は、早生種で60日程度、中性種で80日程度です。土壌処理剤の効果が続くのは、除草剤の種類にもよりますが30日~45日ほどのため、その後は違う種類の土壌処理剤を散布する、または雑草が生えてきたときに直接雑草の茎や葉に散布して枯死させる「茎葉処理剤」の除草剤を散布します。
除草剤は、それぞれの薬剤ごとに使用期間、使用回数が決まっています。収穫が近づくと使えない除草剤も多いため、それまでにしっかりと雑草を防除しておくことが大切です。
ブロッコリー栽培におすすめの除草剤
トレファノサイド乳剤・トレファノサイド粉剤
有効成分 トリフルラリン44.5%(乳剤)・トリフルラリン2.5%(粒剤)
トレファノサイド乳剤・トレファノサイド粒剤は、ジニトロアニリン系の除草剤成分トリフルラリンを有効成分とする土壌処理剤です。一年生イネ科雑草、広葉雑草の抑制に効果が期待でき、ブロッコリーには定植前(植穴掘前)に、全面散布して使います。ツユクサ科、カヤツリグサ科、キク科、アブラナ科には効果が劣ります。
土壌処理剤を2回散布する場合はこちらを1回目に使用できます。トレファノサイドの有効成分は日光の強い光にあたると分解・帰化しやすいので夕方や曇りの日の散布が効果的です。
乳剤と粒剤はどちらがいいの?
土壌処理剤のトレファノサイドには乳剤と粒剤がありますが、どちらを選んだらよいのでしょうか。
乳剤と粒剤どちらにも適用があれば、どちらをつかっても効果に違いはありません。水で薄めて使う乳剤は、経済的に使うことができます。土壌処理剤は土が乾燥しているとムラがでやすく処理層ができるのに時間がかかったり処理層が薄くなったりします。水で希釈して使う乳剤は粒剤よりそのリスクは低いといえます。
一方粒剤は、そのまま土に散布するだけですので希釈の手間も計算も不要です。また散布後に雨が降ると乳剤の方が処理層が崩れやすいので、粒剤の方がよいという農家の方もいます。
フィールドスターP乳剤
有効成分 ジメテナミドP – 64.0%
フィールドスターP乳剤は、酸アミド系の非ホルモン・吸収移行型のジメテナミドPを有効成分とする土壌処理型の除草剤です。一年生イネ科雑草、カヤツリグサ、スベリヒユ、ヒユ類などの広葉雑草に効果が期待できます。アカザ科、タデ科およびアブラナ科には効果が劣ります。ブロッコリーには、定植後(雑草発生前)、ただし収穫30日前まで使えます。ブロッコリーには夏場は薬害がでやすいため、寒冷地の春まき栽培や、夏まき栽培の場合には、2回目の土壌散布剤として使用がおすすめです。
ワンサイドP乳剤
有効成分 フルアジホップP 17.5%
ワンサイドP乳剤は、選択制の茎葉処理型の除草剤です。一年生および多年生のイネ科雑草に高い効果を発揮します。効果がでるのは遅いですが(完全に枯れるまで15日~20日)吸収移行性があるため、根まで枯らすことができます。また散布後の雨にも強く薬液が乾いてしまえば雨の影響を受けにくいのも特徴です。
ブロッコリーには雑草が大きくなってきてから、「雑草生育期(イネ科雑草3~5葉期)但し、収穫30日前まで」に使える除草剤で、選択制除草剤のため全面散布しても、ブロッコリーにはほとんど影響がありません。ただしイネ科のスズメノカタビラ、広葉雑草には効果が劣ります。
グルホシネート系除草剤
有効成分にグルホシネートを含む除草剤は、非選択性の接触型の茎葉処理剤です。イネ科、広葉、一年生、多年生を問わず、ほとんどの雑草に効果を発揮します。ブロッコリーには収穫前日まで使うことができます。非選択性のため、ブロッコリーに薬液がかかるとブロッコリーも枯れてしまいます。農作物にかからないように散布しましょう。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
収穫前日まで使える便利な除草剤で、速効性もあります。しかしかなり強力な除草剤で、普通物ですが毒性も高いため使用には十分な注意が必要です。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
除草剤の種類と特徴
除草剤の使い方がわかったところで、除草剤の種類について説明します。除草の種類や効果を知ることでより効果的に除草剤をつかうことができるようになります。
除草剤には大きく分けて、成長した葉や茎に散布して雑草を枯死させる「葉茎処理剤」と、雑草が生える前や生長初期に、土に散布して雑草の発芽や成長を抑制したり、根から薬剤を吸収させて枯死させる「土壌処理剤」があります。
土壌処理剤
土壌処理剤は、粒剤や乳剤などがあり雑草の生育前や生育初期に土壌に散布して使います。
雑草の発生前に土にばら撒くことで、土壌に処理層を形成して、その処理層に雑草の発芽が触れると発芽できずに、雑草の成長を阻害します。また雑草の生育初期に、土にばら撒いた薬剤は、土から水と一緒に雑草の根に吸収され、生育初期の雑草であれば、枯死させることもできます。
畑に使われる土壌処理剤は、作物の生育には影響を及ぼさず雑草の生育を止めることができる便利な土壌処理剤が多くあります。
葉茎処理剤
葉茎処理剤は液体タイプに多い除草剤で、ある程度成長した雑草の葉や茎に散布して、雑草を枯死させます。葉茎処理剤の中には、薬剤が接触した葉や茎だけを枯らす接触型の除草剤と、葉や茎に薬液を散布するだけで、根まで枯らすことができる吸収移行性を持った除草剤があります。
根まで枯らす除草剤には有効成分にグリホサートが入っており、ラウンドアップなどの商品があります。また接触型の除草剤はいろいろありますが、バスタやザクサなどのグリホシネート系の除草剤や、最近よく見かけるお酢の除草剤も接触型の除草剤です。
茎葉処理剤には、非選択性の除草剤が多く、薬液が作物にかかると枯れてしまうものが多くあります。広範囲に散布する必要がある場合には、選択制の除草剤をつかうことで作物に薬液がかかっても、薬害がおきず全面散布が可能です。
非選択性と選択性とは
除草剤には、接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」、特定の植物を枯らさず、雑草のみ枯らすことができる「選択制除草剤」があります。
選択制の除草剤は、畑などでは薬液が作物にかかっても作物は枯らさず、雑草だけ枯らすことができる便利な除草剤です。
この他ブロッコリー栽培に使える除草剤について
この他ブロッコリーに適用がある農薬を調べる場合には、「農家web 農薬検索データベース」からも簡単に探せます。成分、適用表やHRACコードもわかります。