ハマスゲは関東以西でよく見られる、カヤツリグサ科の夏生多年生雑草です。日当たりのいい、川原や畦畔、アスファルトの割れ目、畑地、果樹園でよく見られます。切断すると、さらに増殖する、根絶が困難な雑草です。
ここでは、ハマスゲを、どうやって駆除し、防除していくのか、ハマスゲを枯らす除草剤を中心に説明していきます。
ハマスゲの特性
科 | カヤツリグサ科 |
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種類 | 多年草 |
分布 | 関東以西 |
学名 | Cyperus rotundus L. |
別名 | 香附子(コウブシ)、ヤカラ、クグ |
ハマスゲは種子と塊茎で繁殖する夏生多年草です。茎の断面は三角形になっていて、葉は線形で先は次第に尖っています。草丈は8~15cm程(長くて40cm)、茎葉の色は濃緑色で光沢があるのが特徴です。
ハマスゲは地中の親株の基部から何本もの根茎をだして、それが小株になって、その基部が新しい塊茎になって、と増殖を繰り返す、大変厄介な雑草です。草刈り機(刈払機)で刈る、刈り込む、またロータリー耕で根茎を刈り取り、切断すると、さらに増殖してしまいます。砂浜や川原、果樹園、畑地、芝地に多く見られます。
好適な条件では1個の塊茎から、なんと300個以上もの新塊茎が形成されます。根茎が耕起などで切断されると萌芽が促進されてしまいます。
ハマスゲとカヤツリグサの違い
ハマスゲとカヤツリグサは似ていますが、カヤツリグサは一年草ということもあり、防除方法は大きく異なってきます。このため、しっかり見分けることが大事です。
葉はハマスゲは硬く、カヤツリグサは柔らかいという違いがあります。そして、決定的な違いは、小穂の色で、ハマスゲは下記のように、濃い赤褐色、カヤツリグサは黄褐色で、大きく異なります。
ハマスゲの除草方法
塊茎を死滅させる
ハマスゲは地表部分を刈っても意味がなく、塊茎を死滅させないとまた発芽し、増殖する一方です。
ハマスゲの塊茎は-5℃に2時間以上さらされるか,水分が21%以下になると死滅します。このため、冬の寒い時期に耕起して掘り起こし、土表に晒させ乾燥させることで死滅させることができます。
除草剤での駆除
ハマスゲの防除は地下部の塊茎や根茎の増殖を防止することが大事です。このため、駆除に適した除草剤は、地下部の塊茎や根茎に効く葉茎処理剤が適しています。
非選択制(全ての雑草に効く)の除草剤を使うことができる場合は、下記のようなグリホサート系の除草剤がおすすめです。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | ネコソギロングシャワーv9 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | |||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
しかし、芝生ではグリホサート系は使えません。基本的には下記のような芝生に使える葉茎処理剤を散布を何度も行うことで全ての枯死、駆除を目指していくことになります。根茎が増殖していくため、地下部をしっかり枯らすことが重要です。
葉茎処理剤など薬剤の使い方は下記を参考にしてください。
防草シートでの防除
しっかりと駆除した後、その場所に防草シートを貼ることが可能であれば、防草シートを貼ることは、非常にに有効な防除になります。防草シート(除草シート)は、光をほぼ遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制するもので大変有効です。
防草シートについては、下記のコンテンツに詳しく説明していますので、防草シートを貼ることが可能な方は、是非参考にしてください。
まとめ
ハマスゲは、海岸の砂地に多く生育するので,ハマスゲ(浜菅)と名づけられたと言われています。その塊茎は香りがあって、香附子(コウブシ)と呼ばれ薬用にも重宝されています。
ハマスゲはスギナやヤブガラシ、ドクダミのように、地下茎、塊茎をロータリーなどで切断すると、より増殖してしてしまう、強雑草です。冬の耕起と茎葉処理剤をうまく活用して防除を行っていきましょう。
雑草をしっかり抑えることで病害虫の出現を減らし、殺虫剤、殺菌剤の使用、その後の草刈りを減らすことができます。
その他の庭や畑に生える雑草にお困りの方は、難雑草(イタドリ、スギナ、竹、苔、イヌビエなど)水稲での水田雑草(クログワイ、チガヤなど)の駆除、除草についてまとめた下記コンテンツをどうぞご参考にしてみてください。
また、除草、草刈りのための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。