ピーマンの種まき(播種)と育苗の方法について、解説します。
ピーマンの種まき(播種)方法
種まきの方法は大きく2つあります。
- ポットに種まきをする
- 育苗箱に種まきをする
栽培する苗の数や条件に合わせて選択しましょう。また、ピーマンの種子は「嫌光性種子」と呼ばれ、光に当たると発芽が抑制される種子のため下の手順の通り、覆土をしましょう。
ポットに種まきをする場合
- 12cmポット(4号ポット)に指で深さ1cm程度の穴をあける。
- 3粒〜4粒ほど種を播く。
- 上から5mmほど覆土する。
- 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。
育苗箱に種まきをする場合
- 育苗箱に培養土を入れる。条間8cm程度空けるように、深さ1cmほどの溝を作る。
- 溝に5mm間隔くらいで種を播く(条播き)。
- 上から5mmほど覆土し軽く手で抑える。
- 土全体が湿って色が変わるくらいまで水やりをする。
発芽適温は地温で30℃〜33℃です。ポットの場合も、育苗箱の場合も適温となるように工夫をしましょう。苗床をトンネルなどで保温すると良いでしょう。
播種から発芽まで、概ね5日〜7日程度かかります。
ピーマンの発芽を促すには?発芽に必要なことは「保温」
ピーマンの発芽を促すためにいちばん重要な要素は「保温」です。


ピーマンの発芽適温は地温で30℃〜33℃で、育苗適温は生育ステージによって異なります。
暖かい時期であれば自然に発芽しますが、栽培に合わせて3月頃に種まき(播種)をする場合はなかなか発芽しづらいと思われます。そのような場合にはヒーター内蔵の発芽育苗器「菜・友・器」などを購入すると便利です。
セルトレイや育苗箱などに種まき(播種)をして、発芽育苗器にセットすることで最適な温度に保ってくれます。発芽もきれいに揃えることができます!
また、発芽育苗期の温度管理には、トンネルや苗キャップ(ホットキャップ)などを使用し、それでも温度が足りないときには農電マットを購入することをおすすめします。
ピーマンの育苗方法
発芽したあとは「間引き」や「移植(鉢上げ)」などの作業を行い、苗を育てていきます(育苗)。
育苗期間の温度管理はおおむね、15℃〜30℃です。育苗の際には、栽培中の生育適温よりも少し高めを保ちます。
育苗においては、昼夜の温度変化を生長に合わせて広げていきます。苗を周りの環境(気温、湿度)に合わせていくイメージとなります(順化)。そのため、発芽から一週間が経過した頃から、少しずつ外気と同じ気温に合わせていくと良いでしょう。
育苗期間の適切な温度推移の例を示しますので、育苗管理の参考にしてください。
ステージ | 種まき〜発芽 | 発芽後3週間程度 | 本葉1枚〜2枚程度 | 本葉3枚〜6枚 | 本葉7枚〜10枚 | 本葉11枚〜13枚 |
---|---|---|---|---|---|---|
日中温度 | 30℃〜33℃ | 30℃前後 | 30℃前後 | 28℃前後 | 28℃前後 | 28℃前後 |
夜間温度 | 22℃〜24℃ | 22℃〜24℃ | 22℃前後 | 20℃前後 | 18℃前後 | 15℃前後 |
地温 | 30℃前後 | 25℃〜28℃ | 26℃ | 22℃前後 | 18℃前後 | 15℃前後 |
作業 | ・種まき | ・水やり ・間引き | ・水やり ・間引き ・鉢上げ(移植) | ・水やり | ・水やり | ・水やり ・施肥(肥料) ・定植 |
また、水やりは発芽後2〜3日は乾燥に注意しながら頻繁に行い、少しずつ頻度や量を減らして培地表面が少し乾いているくらいの環境に慣れさせていきましょう。
苗の間引きと移植
ポットに種まきをした場合
- 一番目の本葉が出始めた頃に間引きをします。9cmポットに2本程度の苗を残すようにしましょう。
- 二番目の本葉が出始めた頃にさらに間引きします。9cmポットに1本の苗を残すようにしましょう。またこのときに、さらに大きなポットへ移植して育苗します。12cmポット(4号鉢)を用意し培養土を敷き詰め、移植しましょう。
育苗箱に種まきをした場合
- 一番目の本葉が出始めた頃に間引きをします。苗の間隔が2cm程度、空くように間引きをしましょう。
- 二番目の本葉が出始めた頃にさらに間引きをします。12cm(4号鉢)ポットを用意し培養土を敷き詰め、1つのポットに対して1本の苗を移植します。
間引き・移植をするときには極力、根を傷めないように気をつけましょう。間引きをするときに根を痛めてしまいそうであれば、間引きの対象となる苗をハサミなどで切ってしまっても大丈夫です。
また、移植をしたあとは必ず一度水やりをたっぷりしましょう。土がよく馴染み、根が張りやすくなります(活着が進む、根張りが良くなるなどとも言います)。


購入した苗も、小鉢(3号ポットくらい)に植わっていることが多いので、4号以上のポットに移植して育苗適期になるまで育てましょう。
育苗期間中の水やりと肥料
育苗期間中の水やりは必須です。ただし、水やりをしすぎると軟弱な苗となってしまい、その後の生育に影響が及びます。そのため、土の表面が乾いている、もしくは日照りが強くなりそうなときに朝1回、たっぷりと水やりをしましょう。昼に確認をして土の表面が乾いているようであれば追加で水やりをしても大丈夫です。
育苗期間中の施肥(肥料やり)は肥料入りの育苗培養土であれば必要ありません。もし肥料成分が含まれていない培養土を使用している場合には本葉8枚くらいのときから週1回程度、液体肥料を薄くかけると良いでしょう。また、本葉が黄色くなってきている場合には窒素成分が不足していると思われますので、同様に施肥すると良いでしょう。
- 水やりはしっかりとする、ただしやり過ぎないようにしましょう。
- 施肥はほんの少しで十分です。窒素成分が与えすぎると花や実が付きづらい苗になってしまうの注意しましょう。
種まきからは難しい、そのようなときには苗を購入しましょう
種まきの時期を過ぎてしまったり、病気に強い健康な苗を手軽に手に入れたい場合はホームセンターや園芸店で購入することをおすすめします。ホームセンターや園芸店には様々な品種の苗が取り揃えられていますので、どの品種を育てようかと楽しみながら選択すると良いと思います。
ピーマンの苗の選び方
ホームセンターなどで苗を購入する場合、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか。良い苗を見極めるポイントは主に7点あります。
- 節と節の間が詰まっていてしっかりしている
- 茎が太く、緑色が濃い
- 葉の緑色が薄くない
- 病害虫の被害に遭っていない(葉に穴などが空いていない)
- すぐに定植したい場合は、一番花(苗の下の方に咲く一番目の花)が咲いているものを選ぶ
- 二葉が付いている
- 小さな苗は避ける
上のポイントに当てはまる苗がない場合もあります。ホームセンターなどで販売されている苗は一番花が付いているものは少なく、それよりも若い苗(若苗)が販売されていることがほとんどです。
若苗は9cmポットに植えられていて本葉が5から6枚程度のものも多いです。その場合には若苗をそのまま植えつけ(定植)せずに、本葉が11枚〜13枚程度、花が1〜2花程度咲くまで育苗することをおすすめします(あくまでおすすめなので、若苗をそのまま植え付けても栽培はできます)。
若苗をそのまま植えつけてしまうと吸肥力が強くなり、樹ボケ(苗が強くなりすぎて茂りすぎてしまう)して花落ちや実の付きづらいピーマンになってしまいます。育苗の方法は「2. ピーマンの育苗方法」を参考にしてください。
いつまで育苗する?植え付けの時期


本葉11枚から13枚になったころが植え付け(定植)のタイミングです。その頃には花が1〜2花ほど咲いていると思います。植え付けの方法など、栽培の流れは下記の記事を参考にしてください。