マメ科のグリーンピースは、根に根粒菌がついて窒素を発生させるため、通常の野菜のように肥料を与えると実つきが悪くなることもあります。ここではグリーンピース栽培で重要な肥料について、おすすめの肥料や与え方についてわかりやすく説明します。
グリンピース栽培に適した肥料とは
グリーンピースは、肥料過多になるとつるボケして実がつかないとよく言われますが、これはマメ科特有の性質にあります。マメ科の植物は、根っこに瘤（こぶ）のようなものがたくさんあります。これは根粒（こんりゅう）と呼ばれ、中には根粒菌という土壌微生物が共生しています。この根粒菌が植物に欠かせない窒素を作り出しているのです。
そのため普通の野菜と同様に窒素を与えると、窒素が多すぎて葉や茎が大きく育ちすぎて、そちらに栄養がいってしまうため実がつかなかったり、大きくならなかったりします。
そのためグリーンピースに与える肥料は、窒素を控えめにする必要があります。リン酸やカリウムは過剰障害があまりないので、三大要素（窒素、リン酸、カリウム）がバランスが取れているものでも問題ありませんが。できれば窒素（N）を控え、実をつけるのに必要なリン酸（P）と、根肥といわれるカリウム（K）を高めた肥料が適しています。
グリーンピースにおすすめの肥料
有機質を含む土地を好むため、畑など地植えでは、元肥などで有機肥料を使い、追肥では速効性の化成肥料を使うのがおすすめです。最近では有機質を含む有機入りの化成肥料なども多く出回っています。
また豆専用の肥料であれば、グリーンピース栽培に適切な肥料分が調整されており、施肥量も記載されていることが多いため、簡単に使うことができます。
有機肥料
畑などの元肥には、油かすや米ぬか、鶏糞などの肥料をつかうこともできます。扱いは少し難しく、肥料効果が土の状況によって左右されるため使い方を間違えると悪臭や、害虫が発生してしまうこともあります。油粕は窒素が多いので、化成肥料と併用する必要があります。鶏ふんであれば単体でも使えます。有機肥料は完熟のものを使いましょう。
初心者の人には、肥料分が調整されているぼかし肥料や、有機100％肥料がおすすめです。
豆専用肥料
豆類の専用の肥料を使えば、窒素分が少なく配合されているのでつるボケの心配がありません。施肥量や与え方などもパッケージに書かれているので初心者の人にも使いやすい肥料です。
有機肥料90％の「いも・まめ 発酵有機肥料」や、有機配合の「東商 まめ肥料」は、窒素を控えてリンとカリを強めています。
野菜の肥料
各社からでている野菜用の肥料も使いやすい肥料です。基本的にはどの肥料を使っても問題ありませんが、葉物野菜用の肥料はチッソが多く配分されているので、注意しましょう。
プランターなどには、ハイポネックスの「今日から野菜 野菜の肥料」や「マイガーデンベジフル」などが少量で、元肥、追肥両方に使えて有機も配合されているので使いやすい肥料です。
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化成肥料
追肥には速効性の化成肥料がおすすめです。家庭菜園などでは、N-P-K＝8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよくつかわれます。グリーンピースだけでなく幅広い野菜の栽培に使うことが可能です。
肥料成分が多いと、肥料やけなどの心配があるので家庭菜園では8-8-8がよいでしょう。野菜の栽培本などで化成肥料と書かれているものは、化成肥料8-8-8を基準にしているものが多いです。
液体肥料
プランターの追肥には液体肥料がおすすめです。
液体肥料は、マイガーデンの「ベジフル液肥」や、ハイポネックスの「野菜の液肥」、葉面散布専用の液肥「ハーモザイム」などが使えます。化成肥料を使う時は、窒素分が多くない肥料を使うとよいでしょう。
グリンピース栽培と肥料時期
グリーンピースの生育適温は15℃～20℃と、比較的冷涼な気候を好みます。冬の低温にあうことで花芽をつけるので、秋に種をまいて冬越しをして、春から初夏に収穫するのが一般的ですが、収穫は少し遅くなりますが春に苗を植え付けて育てることもできます。
肥料は、植えつけ時に元肥を施した後は、花が咲き始めたら追肥をします。その後は2～3週間に1度生育をみて追肥をして育てます。
グリーンピースの肥料の与え方
では実際にどのように肥料をやるのか、説明していきましょう。肥料のやり方は育て方によってもいろいろありますが、基本的な施肥の仕方について説明します。
地植えの場合
元肥
苗を植え付け（定植する）前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥（もとひ・もとごえ）」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥があります。豆類は畑全体にまんべんなく肥料を与える「全面施肥」が一般的です。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース（畝）を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰をまいておきます。
- 1から一週間後に完熟堆肥（牛糞など）1㎡あたり2～3kgを畝全体にまきます。
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに緩効性肥料50g～70g程度をを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 畝幅70～80cm、高さ5～10㎝の畝を作ります。
- 肥料を施してから7日～10日ほどたってから種をまくか、苗を植え付けます。
土壌について
おいしい野菜をつくるには、土づくりは大切です。グリーンピースは、有機質が多く保水性がよい土が適しています。連作は嫌いますので、3年～4年の輪作にしましょう。他のマメ科（大豆・インゲン・ソラマメ）との連作もできません。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度（pH)は、6.0〜6.5です。土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図りましょう。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
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堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
追肥
苗の植え付け後（定植後）、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥（ついひ・おいごえ）」と言います。
追肥は花が咲き始めたら開始します。化成肥料を1㎡あたり40～50gを畝の周りにまいて、クワで土を耕す中耕をして、土と肥料をまぜて株元に土寄せします。その後も2週間～3週間に1度収穫をしながら同様の追肥をしましょう。
鉢植え・プランター
鉢植えや、プランターなどで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土2、バーミキュライト1を混合します。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
プランターの場合は水やりなどで肥料が流れやすいので、地植えより追肥は多く与えます。グリーンピースの追肥は、液体肥料がおすすめです。花が咲いたら、最初の追肥をしましょう。水やり代わりに与えるか、薄めた液肥を直接葉や茎に霧吹きなどで葉面散布してもよいでしょう。その後、2週間後に同様に肥料を与えます。生育の途中で葉の色が悪くなるようなら、液体肥料を与えて様子をみるとよいでしょう。
その他 グリーンピースの肥料で気をつけるポイント
グリーンピースの実がつかないのは肥料過多？
窒素分が多いと、つるぼけして実がつかないことがあると上述しましたが、それ以外にも花が咲かない理由はあります。収穫が遅れると、次の実がなりません。実が太りだしたらどんどん収穫しましょう。
またタネや発芽初期は、鳥や虫の食害を受けやすいのでトンネルなどで多い、鳥害や虫害を防ぎましょう。
肥料は絶対混ぜないで！
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
まとめ
グリーンピースというと、缶詰や冷凍のものを使うことが多いですが、採れたてのグリーンピースは、ゆでると甘くぷりぷりとした食感が楽しめます。グリーンピースは莢から取り出したときから鮮度がどんどん落ちるので、採れたてを楽しめるのは家庭菜園ならではの楽しみです。
エンドウは、このほかにも絹さやや、子供にも人気のスナップエンドウなどの栽培も人気です。ぜひ栄養満点の採れたてのグリーンピースを栽培してみてください。
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