ここでは、ブドウ(葡萄)に発生しやすい病害虫と、それを防除するためのおすすめ農薬を紹介します。
より詳しいぶどう(葡萄)の情報は、農家web防除暦をご利用ください。
ブドウに発生しやすい病害虫とおすすめ農薬
うどんこ病
うどんこ病とは?
うどんこ病はウドンコカビ科の糸状菌によって起こる病害の総称で、糸状菌が繁殖して、葉や茎がうどん粉をかけたみたいに、はじめは白い斑点から、末期は光合成を阻害するくらいに葉全体が白くなる病気です。英語では、「Powdery mildew」と呼ばれます。
うどんこ病は他の灰色かび病などとは異なり、寄生した植物に拒絶反応を起こさせないため、枯らさない、という特徴があります。このため、うどんこ病が蔓延して作物が全滅、ということにはならないのですが、植物と共存する共生菌のため、繁殖しやすく、しぶとくて完治し辛い病気です。
枯れなくても、うどんこ病にかかった農作物は商品にならないので、農家の方にとって厄介な病気であるのは間違いないでしょう。
さらにうどんこ病が蔓延すると、糸状菌を食べるハダニなどが増加し、食害や灰色かび病などのキズ感染性の、被害の大きい病原菌が侵入し、二重感染を引き起こします。
最近はうどんこ病に耐性を持つ品種も広がっていますが、特にイチゴやウリ科の植物(メロン、スイカ、きゅうり、カボチャ、ズッキーニ)、トマト、ぶどう、ナスなどが被害作物として有名です。
うどんこ病と一言で言っても、作物毎に菌は違うことに注意しましょう。ムギのうどんこ病は水に弱いですが、キュウリやピーマンにつくうどんこ病は水に強かったりします。このため水をかけても大半は防ぐことはできないなど、注意が必要です。
ブドウで、うどんこ病防除に使えるおすすめ農薬
灰色かび病
灰色かび病(白斑葉枯病)はカビ(糸状菌)によって起こり、灰色の粉(分生子)が生じてしまう病害です。通称、灰カビ病とも呼ばれます。
春から秋にかけて発生(4~11月)し、ある程度の温度と多湿な環境で多発生します。梅雨時期は特に発生が目立つ病害です。
灰色かび病はほとんどすべての野菜や花を冒すばかりでなく、多くの果樹や畑作物、林木までも冒し、その範囲はかなり広いのが特徴です。
灰色かび病が発病すると、花びらや蕾(つぼみ)にシミができたり、下葉に小さい白っぽい色の小班ができたり、果実の一部が灰色のシミを形成したり、葉の一部が灰色、黒、褐色に変色して枯れたようになります。
ブドウで、灰色かび病の防除に使えるおすすめ農薬
べと病
べと病は卵菌のうちツユカビ科(Peronosporaceae科)に属する菌による病害に対して名づけられる植物病害です。「露菌(ろきん)病」とも呼ばれます。
水滴と合わさって拡大していくため、雨が続くと多発すること、また葉が湿るとベトベトになることから「べと病」と呼ばれています。
ベト病は非常に広い範囲の植物に感染しますが、特にウリ科、アブラナ科野菜(キュウリ、タマネギ、ほうれん草、ブドウ、レタス、メロン、キャベツ、ブロッコリー、すいか)・ブドウなどで大きな問題となる病気です。
ブドウでべと病の防除に使える、おすすめ農薬
黒とう病
黒とう病はブドウではよく発生する病気で、葉や新梢、果実に黒い黒褐色の斑点が生じ、亀裂や成長不良をもたらします。
病原菌は菌糸の形で越冬し、主に雨によって各部位に拡散し、感染していきます。できるだけ初期に発生を抑えたい病気です。
ブドウで黒とう病の防除に使える、おすすめ農薬
晩腐病(おそぐされ病)
晩腐病はブドウの代表的な病気で、淡褐色の小さい斑点が果実に生じ、後に果実全体に広がって腐敗してしまう病気です。病斑からオレンジ色のネバネバした塊を出し、やがて果実はシワシワになってしまいます。
病原菌は潜伏して越冬し、主に雨によって飛散し感染を拡大させます。薬剤だけでは完全に防除することが難しい、非常に厄介な病気です。雨よけ処理や有袋栽培等、耕種的、物理的防除も組み合わせて、総合的に防除することが必要です。
ブドウで晩腐病の防除に使える、おすすめ農薬
その他、ジマンダイセン(マンゼブ)も多くの殺菌に使える殺菌剤です。積極的に活用していきましょう。
ブドウネアブラムシ
アブラムシは直接植物の汁を吸うことで作物に害を与えるだけでなく、排泄物を作物にかけ、黒いすす状のカビを増殖させたり、光合成が妨げられて作物の生育を悪化させます。
また、アブラムシはウイルスを運びます。口針を植物に探り挿入するため、ウイルスを持っていると口針から簡単にウイルスの感染が広がってしまうのです。アブラムシから広がるウイルスで有名なのは、モザイク病です。その中でも特に、キュウリモザイクウィルス(CMV)、カブモザイクウィルス(TuMV)が代表例と言えるでしょう。
ブドウで、ブドウネアブラムシを防除する、おすすめ農薬
チャノキイロアザミウマ
アザミウマは直接植物の汁を吸うことで、その傷が農作物、蕾が大きくなるにつれ、非常に見た目が悪くなることや、作物の萎縮、変形、変色の原因となり、出荷できない物が増える(花木だと開花しないものが増える)といった食害があります。
また、最も厄介なのは、アザミウマはウイルスを運ぶということです。アザミウマは、果菜類、葉菜類、根菜類、豆類を含むほとんどの野菜や果樹、花きとさまざまな作物の茎葉、花弁を吸い漁りながらウイルスを広げていきます。一度、保毒すると、ウイルスを一生まき散らしてしまうのです。
ブドウで、チャノキイロアザミウマを防除する、おすすめ農薬
ハダニ類
ハダニはダニの仲間で、クモの仲間、ハダニ上科に属します。体長は0.3~0.8mmと非常に小さく、吐糸管から糸を出すため、英名は「Spider mite」と呼ばれています。ハダニの種類は非常に多く、主なものでは、ミカンハダニ、カンザワハダニ、ナミハダニなどがいます。農業上でよく問題になるハダニは赤いアカダニ(ミカンハダニ、カンザワハダニ、リンゴハダニなど)を指すことが多いです。(チャノホコリダニは乳白色です)
高温と乾燥した環境を好み、雨が苦手なため、ハウスはハダニが繁殖する格好の場所と言えます。ハダニは卵期間2~3日、幼虫~若虫期間6~7日で成虫になる、蛹を経ない不完全変態で、成長サイクルが早く、大量発生しやすい害虫です。
ハダニは直接植物の葉、果実の汁を吸うこと(吸汁)で、小さな白班が点々とできてしまいます。吸汁が増えると植物の株、葉茎の伸長が悪くなり、最悪、落葉したり、枯れてしまいます(枯死)。
1箇所に大量発生するとハダニの移動性が高まり、あっという間に周りに被害が広がっていきます。このため、早期発見、早期防除が非常に大事です。
ブドウで、ハダニを防除する、おすすめ農薬
カイガラムシ類
カイガラムシは直接植物の汁を吸う(吸汁)ことで、その傷が農作物、蕾が大きくなるにつれ、非常に見た目が悪くなることや、農産物の萎縮、変形、変色、斑点の原因になるといった食害があります。
またアブラムシやコナジラミのように、甘露の排泄物を葉や枝、幹に付着させる事で表面に「すす病」が発生して黒く汚れてしまいます。
その他、ぶどうには、アメリカシロヒトリ、ブドウトラカミキリ、コガネムシ類、ハスモンヨトウ、ケムシ類、スカシバ類といった病害虫も発生します。ケムシ類やスカシバ類にはフェニックスフロアブルなどが効果的です。
ブドウで、カイガラムシ類を防除する、おすすめ農薬
また、農薬の使用には展着剤を活用できると、より大きな効果が見込めます。積極的に活用するようにしたいですね。
その他ブドウに関する情報
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