ゼラニウムは、南アフリカ・ケープ地方が原産のフウクロウ科テンジクアオイ属(ペラゴニウム属)の植物で草丈は20㎝から100㎝になります。丈夫で育てやすいことから初心者の方にも人気があります。
ゼラニウムは種からも増やせますが、さし木で増やすのが簡単です。園芸本などでは土(赤玉土や鹿沼土)で挿し木するのが一般的ですが、水栽培での水差し(水挿し)でも行えます。
この記事では、水栽培で増やすゼラニウムの挿し木の方法や成功率を上げるポイント、鉢上げの方法など初心者の人でもわかりやすく説明します。
ゼラニウムの挿し木の時期と、さし木について
水挿しの時期
ゼラニウムの挿し木(挿し芽)は、真夏と冬を除けばいつでも行えますが、おすすめは春と秋です。冬でも暖房の利いている部屋の中でなら行うことができます。
水栽培での挿し木は、今年伸びてきた新しい茎を使ったほうが成功率が上がるため、生育の旺盛な春と秋に水挿しすると成功率が上がります。
さし木の選び方と準備
さし木(挿し穂)は、枝の一番上にできる芽(頂芽)を挿し穂にする「天芽挿し」か、茎の中間部分を切り取って挿す「管挿し」でも増やせます。
日当たりの良い場所で育った苗の枝で、今年伸びた元気な新しい茎を選びましょう。切り戻ししたものも使えますが、木質化しているものは発根率が下がるので複数用意するとよいでしょう。
切り花の場合は、切り取ってから時間が経てば経つほど、成功率は下がります。切り花の場合はいただいたらすぐに、花が付いている上部を切り取り、下の茎を使って挿し木します。切り取った花は小さなコップに飾れば花も楽しめます。
枝は、節が2節~3節ほどついている状態で、8㎝から10㎝に切り分けます。花芽があるものは切り取ります。一番上部の葉を2枚だけ残し、下の葉は切り取ります。残した葉からの蒸散を防ぐため、半分から3分の1残して切り取ります。下の茎はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。
通常さし木をする場合には、茎を切った後はすぐに水に浸けて水揚げしますが、ゼラニウムは茎が腐りやすいので、水揚げは行わず、半日から1日ほど風通しの良い日陰で乾かします。
ゼラニウムの挿し木の手順(水栽培)
上記の挿し穂が準備できたら、挿し木を始めましょう。手軽に家にあるものでできます。発根促進剤は絶対必要ではないですが、あると格段に成功率があがります。
準備するもの
- ゼラニウムの挿し穂
- 花瓶やコップ(ペットボトルを切ったものなどでも可能。透明な方が根が見えてよい)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤)
手順
- コップやガラスの器に、メネデールを100倍に希釈した水を入れます
- 8㎝から10㎝ほどに切りそろえた、挿し穂を入れます。
- 置き場所は、室内の明るい日陰で管理します。(夏は窓辺に置くと温度が上がるので注意)
- 水は2日に1度かえましょう。発根するまでメネデールを100倍~200倍に希釈した水を使います。茎の部分が腐りやすいので、たっぷり水をいれすぎないようにしましょう。水替えのときには、軽く茎のぬめりを取るように水で流します。
- 1カ月程度で発根します。根がしっかり伸びてきたら鉢上げします。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。
植物活力素 メネデールは、発根だけでなく発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。液肥でも農薬でもないためいつでも使うことができます。
最初の水挿しのときにメネデールをいれる。また水を交換するときには、発根まで2~3日に一度メネデールを薄めた水を使うとよいでしょう。
土や土の代わりの培土を使う場合にはルートンも使えます。ルートンは、さし木、さし苗の発根を促進させる植物成長調整剤です。粉末状ですので枝の切り口3㎝ぐらいを水に浸して、粉末をまぶして使います。
成功のポイントまとめ
- さし木の時期は、春か秋
- さし木にする枝は、日当たりの良い場所で育った、新しい茎を使う。
- 切り口はスパッと切って、切り口を大きくする。
- 発根促進剤を使用する
- 水は2日に一度、直射日光には当てない。
鉢上げ(土への植え替え)
根がしっかり伸びてきたら、鉢上げして土に植え替えましょう。通常土にさし木したゼラニウムは、翌年の3月までしっかり根を育ててから鉢上げした方が、成功率が高いといわれています。
根は水や栄養を取るために伸びて生長します。しかし水栽培の場合は根が水に直接ついているため水や栄養を取りやすいため根が発達しにくいので、冬の休眠期に入る前9月上旬までには、鉢上げをしたほうがよいでしょう。庭植えにする場合もまずは、鉢植えにして1年ほどたってから庭植えにします。
準備するもの
- 発根したゼラニウム
- ポットや鉢(3号鉢程度のもの)
- 用土(赤玉土7・腐葉土3などの配合土)
- 鉢底石
手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- ゼラニウムの苗をいれ、根を広げます
- 3の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
- 肥料は根付くまで与えません。冬に入り休眠期にはいるので翌年3月頃から与えましょう。
ゼラニウムの用土について
ゼラニウムの用土は、水はけのよい用土を選びます。市販の鉢植え用の草花用の土や、ゼラニウム専用の培養土などが便利です。自分で配合する場合は赤玉土小粒7・腐葉土3などの配合がよいでしょう。弱アルカリ性を好むので、庭などに地植えする場合には、苦土石灰を土に混ぜてPh調整しましょう。
その他ゼラニウムの肥料について
さし木で増やすことができたら、肥料を与えて美しい花を咲かせましょう。肥料は生育期の春と秋に、緩効性肥料や液体肥料(液肥)を与えます。おすすめの肥料や与え方については詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ゼラニウムは土でのさし木の成功率が高い植物ですが、水で茎が腐りやすいので、水挿しの場合は少し難易度があがりますが手軽にできて、根の生えている様子が見えるのも魅力です。切り取った部分が黒くなってしまってぶよぶよとしていたら、腐ってしまったので再チャレンジしましょう。
それぞれの環境によっても、発根や育て方は変わるもです。うまくいけば翌年に花が咲くこともあります。失敗して枯れてしまうこともあるかもしれませんが、試行錯誤するのも植物を育てる楽しみの一つです。ぜひこの記事を参考にして、ゼラニウムをふやしてみてください。