にんにくは栽培期間が長いため、肥料切れをおこすと球の生育に影響がおきます。この記事では、にんにくの栽培において肥料切れが起こると、どのような症状がでるのか、間違えやすい症状や、対処法をわかりやすく説明します。
にんにく葉が黄色くなる原因
にんにくは葉が黄色くなったら肥料が不足していると、よく聞きますが実は、にんにくの葉が黄色くなるのは、他にも原因があります。肥料不足と勘違いして肥料を与えると逆効果のこともあります。主な原因を説明します。
水分不足
春先に土壌が乾燥していると、葉が先が黄色くなり枯れる症状がみられます。生育時期の春先に水が切れると、せっかく伸びた根が乾燥によって切断され、栄養を吸収することができません。また水切れによる病害虫の被害も起きやすくなります。
4月中旬のりん片分化気から6月中旬までの2か月は水切れしないようにしましょう。1回にたくさん与えるより、少量多数与える方が効果的です。
病害虫
病害虫によっても、葉が黄色くなったり枯れたりします。対応としては、見つけたらすぐに駆除する。また殺虫剤や殺菌剤も有効です。また前作で被害が出ている場合は土壌消毒なども必要です。
病気
にんにくは、窒素肥料が多いと「さび病」が発生しやすくなります。また越冬後に高温や多湿になると、「葉枯れ病」や「春腐れ病」にかかりやすくなります。これらの病気は、葉が枯れるだけでなく黒や白色の斑点がでます。葉先だけでなく、葉全体をみて病気かどうか判断しましょう。
また連作によって、「黒腐菌核病」にかかることもあります。これは根にゴマ粒状菌核がついて、葉は黄色くなり生育が悪くなり、萎れたりします。根が被害にうけているようでしたら、掘り下げて焼却しましょう。
害虫
にんにくは、高温期に「ネギコガ」による食害をうけたり、連作した畑などで「イモグサレセンチュウ」が寄生します。イモグサレセンチュウが寄生していると、生育後期に下の葉から黄色くなり、上部に移り最後には枯れてしまいます。種球に寄生していることが多いため健康な、植え付け前に対応が必要です。
根腐れ
ネギは乾燥に強いですが、多湿には弱い作物です。特に根深ネギの栽培においては通気性の良い土壌が必要不可欠となります。水のやりすぎや、土寄せによって根が傷むと根腐れがおきて葉の根元から腐って枯れてきます。土寄せは真夏には行わず、一度に多く土寄せしないことがポイントです。
庭植えの場合、育苗が終わったら基本的に水やりの必要はありません。また土壌も通気性のよい土にしましょう。プランターなどでは、水不足により葉がしおれたり葉先がかれたりします。用土の表面が乾いていれば、鉢底が水が染み出るぐらいの量の水やりをしましょう。
肥料不足
新葉の生長が遅くなり、下葉のほうから黄色くなり全体の緑が薄くなっている場合は肥料不足の可能性があります。追肥をきちんとしているのにこれらの症状がでるときには、土壌酸度が高くなっている場合もあります。
肥料過多
にんにくに限らず、植物は肥料は不足しても枯れることはあまりありませんが、上げすぎると肥料焼けして枯れてしまうことがあります。肥料を過剰施肥すると、根が傷み肥料やけを起こして、葉先が黄色くなることがあります。また、生育後期にチッソが多すぎると、葉色が濃くなり、茎葉が弱くなって風に倒れやすくなります。また葉の縁が二重にみえる「二重葉」が発生しやすくなります。
肥料を与えているのに症状が出る場合は、一つ引き抜いてみて根を観察してみましょう。根が途中できれて褐色になっている場合は根に障害があります。追肥せず、水をたくさん与えて肥料分を流しましょう。
収穫間際の葉枯れ
成熟期になると、根の活力が低下し葉が枯れてきます。これが正常です。この時期には水やりも控えます。この時期に、枯れている葉が少ない場合に水やりをすると、球割れが多くなるため注意が必要です。
その他の肥料不足の症状
生育が悪い
にんにくの葉の枚数は、品種によって違いますが10枚前後です。冬の前に寒冷地では2枚~3枚、暖地では5枚程度になるように育てます。
そのためには、地域にあった品種を選ぶ、植え付け時期を適期に行うことが大切です。越冬前に葉の展開が少ないようなら肥料不足の可能性があります。寒冷地で休眠直前に肥料を与えても、根が吸収できずに肥料過多になる可能性もありますので、追肥のタイミングで肥料を与えましょう。
球が肥大しない
収穫した後、球が大きくならなかった場合は肥料不足の可能性もあります。もちろん他に気象条件や、病気、水分不足、植え付け時期、品種選びなどにも影響します。
初めて植えつける畑などの場合は、リン酸が足りないこともあります。リン酸の吸収を高めることはにんにくの球の肥大に影響を及ぼします。黒ボク土壌などの火山土壌ではリン酸の肥料効果が低いので、多めに元肥で施しておきましょう。土壌酸度調整に、ようりんなどを使うのもよいでしょう。
対処法
上記で説明したとおり、肥料不足以外にも葉が変色したり、枯れたりする要因は多くあります。病害虫などは病斑や斑点、食害等で判断がしやすいと思いますので、殺菌剤・殺虫剤などを使って対応しましょう。
肥料については、畑や庭植えで土づくりをして、しっかり追肥しているにもかかわらず症状が出ている場合には、追肥をすると逆効果になることもあります。まずは土の乾燥や過湿、根の様子も確認しましょう。また土壌のphによって肥料のバランスが崩れてしまうこともありますので、まずは土壌phを計測し、低い場合には石灰資材を使ってバランスを整えましょう。
プランターの場合は、庭植えにくらべ水やりにより肥料が流れ出てしまう可能性もあります。まずは病害虫や根腐れの症状がないか確認し、薄い液体肥料を与えてみましょう。いづれにせよ枯れた葉は取り除きます。
追肥する場合は、少量与えて様子をみて与えていきましょう。一度に多く追肥すると肥料やけなどのリスクも大きくなります。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH 6~7を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
追肥におすすめの肥料
固形肥料
追肥には、速効性の化成肥料がおすすめです。NK化成肥料と呼ばれる窒素とカリ分だけを含んだ肥料や、化成肥料8-8-8などの普通肥料でもよいでしょう。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデン液肥」やハイポネックスジャパンの「ハイポネックス原液」などがあります。
にんにくの肥料の与え方
地植え
元肥は種球(りん片)をまく2週間前までに、土づくりと一緒に行っておきます。土を30㎝ほど深く耕して、堆肥と緩効性肥料をいれて掘り起こした土とよく混ぜておきます。
追肥は、暖地栽培であれば、12月下旬に1回目を、2回目は2月中旬から3月中に2回目を行います。寒冷地では12月に追肥しても寒さで肥料を吸収することができないため、3月下旬~4月上旬に1回目を、さらに5月上旬にもう一度速効性の肥料を追肥します。
鉢植え・プランター
鉢の場合は8号~9号、プランターであれば横幅60㎝以上のものを使いましょう。用土は野菜の培養土が便利。元肥入りのものは肥料が入っているため追加で与える必要はありません。自分で配合する場合は、赤玉土7、腐葉土3などの配合がよいでしょう。元肥には、緩効性肥料を用土に混ぜて施します。
追肥は、種をまいて1か月ほどしたら、1回目の追肥を行います。2回目は、3月~4月に茎が伸びてきたら追肥します。粒状の化成肥料をばらまくか、固形肥料を置き肥します。液体肥料を水やり代わりにあたえてもよいでしょう。
この他にもおすすめの肥料や、専用肥料などニンニクの肥料のについてはこちらも参考にしてください。